susumu が、
yuki に
初めて会ったのは
何気なく入った喫茶店、
はっきり言って一目ぼれだった。
今でも想いだせるけど
胸が キュッ-ト締め付けられて
両手で胸を 強く押さえていないと
どうにかなりそうな・・・
初めてのことだった。
その日から、
いかにもコーヒーが
大好き人間みたいな顔をして
喫茶店の扉を開けることが多くなった
口から出る言葉は、
注文の"ブレンド下さい"の一言
yuki が必ず店に居るとは限らず
必ず susumu の席に注文を取りに来るとも限らなかった
勤務のシフトも知らないから
無駄なコーヒーを飲むこともあったし
席を決めるときは、
なるべく yuki が動いてる近くに座ったりして
片思いの susumu はえらく真剣に
yuki を視線で追い続けていたんだ。
yuki って名前は、
胸につけたネームプレートから知っていたけど、
本名かどうか、
それ以外はもちろん何も知らなかった
susumu の片思いが少し前に動いたのは
特別な言葉ではないけれど、
「いつもありがとう、ございます。」の
yuki の一言だった、
いつも来る客への当たり前の言葉だけど
susumu には、それ以上の言葉に思えたんだ。
・・・・・「 コチラコソアリガトウ。 」・・・・・ってね。
それからだね
「 今日は忙しいそうだね 」 とか
「 昨日は休みだったの? 」 って
声を掛けれるようになってたし
返ってくる言葉の一言が、
susumu の一日の支えになってたんだ
その頃からなのかな..........
susumu の目的が yuki に会うことだということが
マスターや他の店員にも気づかれて
yuki が susumu の専属店員?になったのは
毎日の、短い会話の中で
yuki が本名であることも
学生でバイト生活であることも、
同じ 電車路線に住んでいることも
少しずつ yuki のことが分かったきたんだ
二人が、急に親しくなったのは
偶然一緒になった 電車の中だったね
後から分かって 二人で笑ったけど
二人とも 乗る時間や 車輌を変えて
一緒になることを 期待していたんだよね
二人で作った 偶然だ
電車で会えるようになってから
susumu は 喫茶店通いから足遠くなったんだ
もう 喫茶店じゃなくても会えるし
なにより 喫茶店で他の男からアプローチされる
yuki を見たくなかったからだった
歌の歌詞じゃないけど
♪授業を抜け出して 二人で出かけた...♪
? 初めから、授業をボイコットだったっけ。
いっぱい行ったね お金のかからない場所
夕日もみたし、朝日もみた、
何を話してたのか想いだせないけど
一日中 植物園のベンチに座っていたことも
何処でもよかったんだ
yuki と居るだけで
一緒に住むようになったのは
正月にどちらも帰省して
会えない日を過ごした その後からだった
もちろん、親には内緒でね
引越しの日は、朝から寒くって
雪が降りそうな日だったね
少ない荷物を何回かに分けて
yuki の住む部屋にコロがり込んだんだよね
susumu の部屋でも良かったけど
yuki が引っ越すと親に怪しまれるって言って
毎日 学校とバイトと 二人の生活
とっても、とっても幸せだって
susumu は思った
とっても、とっても幸せだって
yuki も言ってた
もう 二人で何処へも行かなくなったね
部屋で 一緒に居られたから
行くとすれば、近くのスーパー
そして、ちょっと遠かったけど銭湯
寒いから布団ひとつに 二人で入って
一冊の本を二人で読んだり
同じ音楽を聴いたり 歌ったり
同じ夢を作ったり
yuki って名前は、
生まれた日に雪が降ってたからって言ってたね
" 優生 "
yuki は ほんとに、優しく生きていた。
隣の部屋に 声が聞こえるって
笑いながら 声を押し殺して
いっぱい愛し合ったね
世界には二人しか居ないって
思える くらい
このまま、時間が止まればいいって
思える くらい
体 も 心 も ひとつに溶け合ってしまいたいって
思える くらい
いっぱい愛し合ったね
susumu の心の居場所は yuki の心の中
yuki の心の居場所は susumu の心の中
二人にふたつの心は必要なかった
でも・・・・・・・・・・・・・・・でも
いたずらな 三流映画のストーリのように
それは 静かに そして衝撃的にやってきた
微熱が続く・・・そして めまい・・・食事もとれない
yuki は ただの風邪だから寝てれば直るって
力なく微笑んでた。
風邪・・・・・・・・・・・・・・・なにか違う
嫌がる yuki を抱きかかえるように病院へ
長い待ち時間、分からない検査、検査、検査。
朝から一日いっぱい・・・・
やっぱり、風邪じゃない。
そして、医者からの伝えられた恐ろしい言葉
明日にでも入院するようにとの医者の説得を後に
二人で、重い足を引きずって
二人の部屋に
泣きじゃくる yuki に、
susmu は両親に病気のことを話すよう進めたんだ
yuki は、両親に話したら
絶対 別れ離れになるから嫌だと泣いたね
苦しい心を押し殺して
会えないのは少しの時間 早く病気を治して、
そしたら、”ずぅーと一緒”に居られるよって
朝まで、二人で布団に包まって 泣いたんだよね
そして、yuki は両親の元へ
別れの日、
yuki の両親に初めて会って
yuki のことを大切に思っていること
将来のこと 真剣に考えていること伝えたよね
でも
病気が完治するまでは、
会わせないと言われた時
yuki は泣いて懇願したけどだめだったね
susumu も病気を治すのが先決だと思ったから
でも
あの時・・・・・・・・・・・・・・・・・
隠れて送ってくれた何通もの手紙で
疑いが事実だったこと
苦しい闘病生活を送ってること
susumu からの手紙は一通も
yuki の手に届いてないこともわかったよ
本当は
励ますのは、susumu なのに
いつも、yuki は susumu の心配ばかりの手紙
がんばれの一言も届けてやれない苦しさ
手紙を抱きしめて
yuki の居ない部屋で
涙が止まらなかった
だんだん、手紙も遠くなって
それが何を意味してるか、
分かりたくなかった。
susumu は一度だけ
yuki の入院してる病院の部屋の前まで行ったんだよ
幾つもの病院を訪ねて やっとね
でも、”面会謝絶”の冷たい文字に
yuki の回復だけを祈って帰って来てしまったんだ
あの時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
yuki に一目ぼれしてから
2度目の春
yuki のおかあさんから手紙が届いたんだ
穏やかで 幸せそうな顔で
永遠の眠りにつきました・・・って。
あの時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あの時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あの時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
二人で過ごした あの時間
susumu は 今は 夢だと思っています。
だって、yuki は
もう、会えないところに居ますから
できれば時間を戻して欲しいけど
それもかなわぬことですから
susumu も ずいぶん年をとったから
当時の苦しさほどではないけれど
春が来る度
夏が来る度
秋が来る度
冬が来る度
yuki を想いだす度
yuki が抜けた心の隙間が
痛みます。
ごめんね、
なにもしてあげられずに
ずっーと、思っていたこと
言葉にします。