昼飯を食べ終わり、ガンヒョン達とワイワイガヤガヤ騒いでいると。

メールの着信の音

ダースベーダーのあの名曲が鳴り響く。

「皇太子からだね。それにしても何でその曲なの?だんななのに?」

ガンヒョンは不思議がる。

「魔王だから・・・。」

「・・・・・。合ってるわ。」ガンヒョンはフッと大人びた笑いをした。

今すぐ中庭にタオル持って来いと言うメール。

「シン君が呼んでるから、ちょっと行ってくる。」

携帯をポケットに入れて教室を飛び出した。

魔王を好きになったあの子はMなのかな。とガンヒョンは思っているとチェギョンが教室に戻ってきた。

「ハンドタオル忘れたーっ。」とカバンから慌てて取り出し、もうその姿は教室から飛び出していった。

早くしないと魔王の機嫌が悪くなるわよとガンヒョンは笑う。






中庭には大勢の人達が集まっていた。

どうやら3on3をやっていたらしく、皆が休憩を取っていた。

カレの周りには、結婚しても変らず女子が溢れていた。

あまりにもの熱気に傍に行こうと言う気が起こらなかった私は、イン君と目が合った。
そして彼に手を振り木の陰に呼んだ。

「イン君これ、シン君に渡してくれる?」ハンドタオルを出した。

「何で?自分で渡せよ。アイツ待ってるぜ。」

「女子が怖い。」

二人の目線はこの時期なのに、異常に熱くなっている所を見る。

「そっかーっ。じゃあ。渡しておくよ。」

イン君が手を振って行こうとしたら。

「二人で何の相談してる?」

私の大好きな低い声が響くが、今はその声を聞いただけで冷や汗が出てきた。

魔王のように立って二人を見下ろしているカレの横を、インは「じゃあっ。本人が来たから後は任せた!」彼は急いで逃げ出した。

一人残された私は後悔した。

黙って渡しに行けばよかった。と空を見上げた。

「お前に持って来いって、メールしたはずだが?」魔王降臨はまだ続く。

「何か、傍に寄れなかった。」

「なぜ!?」
「だって、皆シン君が見たくて来ているのに、あたしが行ったら場が悪くなるだけだから・・・。」

笑いながら目線は下を向く。

カレの口からは溜息が出る。

「だからーー!ここは学校!シン君もあたしもここの中ではただの学生なんだから、学校生活楽しまなきゃっ!勿体無いよーーッ。」

私は無理やり笑顔を作り、カレの体を皆の方に押してあげた。

「ホラッ皆待ってる!」手を振ってカレを行かせた。

「シン・チェギョン!」

カレは中々私の名前を呼ばない。

そんなカレが私の名前を呼ぶのはあの時と、私の暴走を止める時だけ。

「ごめん、先生に呼ばれているの忘れてたーっ」

慌ててハンドタオルをカレに渡し、その場所から駆け出した。

後で怒られてもいい、今はあの中に入りたくない。

校舎に入り下駄箱に手を掛けたときに、いきなり手を掴まれた。

振り向くと、息を荒くして私を睨むカレが居た。

「皇太子様は人前で走ってはいけません。」小さい声で呟く。

「ここは学校。オレとお前はただの学生だ。」

カレは私に近づき髪にキスをする。

「逃げるな。オレから逃げるな!」

「・・・・。」

「返事は?」

「・・・うん。」

「オレとお前はただの学生だけど、夫婦なんだからもっと堂々としてろ。」

カレの言葉に落ち着く自分がいる。

カレの体に腕を回して「大好き。」