シン兄さんのお陰で腰が抜けて立たなくなっていた私は、ガンヒョンに発見された
「チェギョン!」携帯を握りしめたまま私を起こそうとする
「無理・・・。」両腕を使い立ち上がろうとしたが、ヘナヘナとする。
「どうしちゃったのよー。」真っ赤な顔をしている私を覗き込む
「男の色気に負けたー。」深い溜息と共に出た言葉は酷く艶のある声だと自分でも確認できた
狭い空間で、シンニーサンに背中を取られ、耳元で呟かれた何気ない言葉は、私の身体に雷に打たれたように全身に駆け巡る
今まで感じたこともなかった体の奥が痺れ渡る感覚
何度も何度も深呼吸を繰り返し、ガンヒョンに支えて貰いながら立ち上がった
「チェギョン、もう大丈夫なの?」
「うん。もう帰らないとね。」バンバンと太腿を叩いて足を一歩一歩歩き出した
ガンヒョンと別れた私は家に着き静かに入って行った。
何時も皆寝ている筈なのに、なぜかパパとママが玄関に走ってきた
「チェギョン!携帯見たの?」怒るママ
「何々、どうしたのよー?」カバンから携帯を出してみると、ママの着信がいっぱいあった。
気が付かなかった。
「もう、今日は大変だったんだから―。」ママが興奮しているし、パパも真っ赤になって
「チェギョン早く中に入りなさい」
居間のソファに座ると「今日凄かったんだから。」
「死んだおじいちゃんが何時も言ってたチェギョンには王子様がやってくるって言う冗談話。」ママ興奮して顔赤いよ。
「うん。よく言ってたよねー。」髪の毛を触りながら、髪の毛伸ばしておけって言われてたのに、切っちゃたもんなー。
「でね。今日王子様のお迎えが来たのよ。おじいちゃんの冗談は本物だったのよ。」パパとママのテンションが半端ない
「王子様?」パパとママは何言ってるんだろう・・・?王子様って物語や漫画の中にしか―ッ、嫌、ヨーロッパとか。嫌々この国にも本物がいたわ
「チェギョンは韓国の皇太子の許嫁だったのよ」
きょとんと目が点になる
「今日、コン内官って言う人が黒塗りの高級車3台でやって来て、この家の中におじいちゃんが持っていた許嫁の証の品々を持って明日「宮」に来て欲しいんだって。」
「ママ、なに冗談言ってるのよー。」現実離れした話を信じることが出来なく、否定の言葉が出る
「マジです。あんたは今日の光景を見ていなかったから、そんな事を言うかもしれないけど、これは現実です。」
ママの気迫に負けてしまった私は「でも、この国の皇太子ってまだ社交界デビューはしてないんだもんね。そんな知らない人の許嫁って嫌だよ。」
「確かに、でもそれは代々受け継がれてきたことだから仕方ないでしょう。
この国の皇太子は成人になるまで、表舞台に立たずに身を高め、社交界デビューする時には自分の妃と共に出るという習わし。」
「でも、なんでこんな庶民の私がー?」そこが一番の不思議やろ?
「おじいちゃんが、今の皇太子のお祖父様と親友だったからだ。」パパがポツリと言った。
「親友?嫌々、どうして庶民と宮のお方が?」
「お祖父様は今の皇太子のように、成人するまで一般人として暮らしていて、その時にうちのおじいちゃんと親友になったみたいた。で、時が来て身分を明かす時に、おじいちゃんと約束したそうだ。我らの友の証に子供同士を婚姻させようと。で、どちらの子供も男だったので、次の孫に白羽の矢があったんだ。」
「今の時代、そんなおじいちゃん達の決めたからって、婚姻って、そんなー私、高校生になったばかりだよ。」
「パパもママも私が結婚しても良いの?」
「おじいちゃんが亡くなったとは言え、親の言う事は絶対だ。チェギョンこの国ではそれが当たり前のことなんだよ。」
「由緒ある宮に嫁ぐなんて凄い事なんだから、うちのチェギョンは可愛いし良い子だから大丈夫!」確かにこの国では親の言う事は絶対だけどさー。
「この国の皇太子殿下と婚姻する事が韓国女子の憧れかもしれないけど、幸せになれるの?」シン兄さんへの実らない恋をしている自分が、皇太子殿下との婚姻をしても皇太子に悪いんじゃないかなー。
私の一言で、パパと、ママの動きが止まる。
「それはー。」二人の言葉は濁る。
シーンと静まり返った部屋に壁掛け時計の張りの音が響く
「チェギョン、私達シン家は幸せに暮らしているけどお金は無く貧乏だわ。そんなパパと私の願いはチェギョンにはもっと幸せになって貰いたい。良い服を着て良いモノを食べ、良い勉強もさせたい。だから、その願いが叶うなら藁にもすがりたい。」ママから出た言葉は、子を持つ親としての答えだろう
「パパもチェギョンが我が家の為にバイトをしているのを止めさせて、裕福な暮らしをさせたい。」ママとパパの親のキモチが溢れ出す
ようやく開いた口からは「突然の事で頭が良く回んない、明日の朝までいっぱい考えたい。」ノロノロと立ち上がると
「明日の7時に迎えの車が着て、12月31日に皇太子殿下にお会いするまでに、みっちりと作法を教え込まれるみたい。で、1月1日に皇太子と殿下とチェギョンの最終返事を聞くそうよ。
そしてこの事は公にしてはいけないので、誰にも言っちゃダメよ。ガンヒョンにもクラスの皆にも、隣のユル君にもね。」ママの真剣な顔に見送られ私は自分の部屋に行った。
自分の部屋と言っても、小学生の弟が屋根裏部屋みたいな所にいるから、完全に一人じゃないんだけどね。
自分のベットにドサッと雪崩れ込む
「疲れた。」何時も元気満々の私だが今日は一気にあり過ぎて疲れ切った。
ベットの枕元に置いていた、ハッピーとアルフレッドを抱き寄せギューっと抱きしめる。ハッピーが我が家に来てからギューっとするのをしていたが、シン兄さんのアルフレッドを預かってからは、一緒に抱き寄せている。
アルフレットに残る微かなシン兄さんの香り、鼻を大きく開いて、どこまでも吸い込み
フーッと溜息を吐く。
シン兄さんの事を諦めようとしているのに、帰り際にあんな事されるし、家に帰ってきたら凄い事を教えられるしーっ。
もー―、頭の中がグルグルと回る―。
頭は良い方じゃないから、考えても考えてもどうしたら良いのか。
この国では、親の言う事が絶対だから、素直に明日お迎えの車に乗らないといけない。
皇太子殿下の妃になるの?
相手の顔も知らないのに、本当は絶対にいやだ。
シン兄さん。カレの事を考えただけで、胸がギューっと苦しくなてしまう。
カレには結婚を考えている彼女さんがいるから、私なんかがどんだけ好きになったって、振り向いてくれない。
この皇太子殿下との婚姻がシン兄さんへの想いを断ち切る良い機会かもしれない。
バイトの時にシン兄さんが来てクリスマスパーティには絶対に来いよと念を推されたが、行けないよねー。
約束を破る事は嫌いだけど、これは仕方ないよね。
体を仰向きに直し、天井を見上げる。
弟の静かな息遣いが聞こえる。
私が皇太子殿下と婚姻すると、この家も楽になるだろう。おじいちゃんたちの約束のお陰でシン家は貧乏から脱出できる。
もーーっ、シン・チェギョン!悩む事なんかないよ。
急に体を起きあげて「これしかないじゃん!」と自分を納得させた。
時間通りに、黒塗りの高級車がやって来た。
白髪の人の良さそうなおじさんが降りてきて、私達に挨拶をする
「お迎いに来ました。例の物はお持ちでしょうか?」
暗いうちから起こされた私は居間のテーブルがガタついているのを座って気が付いた
「ママ、このテーブルの脚がおかしいよ。」
「おじいちゃんが預かっていた宮の指輪をテーブルの脚から取っちゃったからがたついちゃったのよー。」苦笑いのまま
テーブルの上には、ごつい指輪が置いてあった。
宮からの預かり物なのに、テーブルの脚のガタの直しに挟まれたいたなんて、私も苦笑いしたのを思い出す。
「貴方様がシン、チェギョン様ですか。これからは貴方様のお世話をさせて頂くコンと申します。」私の顔を眩しそうに見つめるおじさん。
「はい。今日は宜しくお願いします。」頭を深々と下げた。
「遺言には韓国一髪の毛の艶やかな子供と書かれていたのですがー、長い髪の毛ではないんですね。」少し残念そうな顔
「はい、事情があり切ってしまいました。」パパへの贈り物の為に髪の毛を切った私。
「そうですか、でもこの暗さの中でも輝いていらっしゃいます。お荷物はそれだけですか?」
「はい。」リュックの中には、ハッピーとアルフレッドが仲良く入っている
「それでは、参りましょう。」黒塗りの車のドアが静かに開く
パパとママの心配そうな顔。
「昨日はあんな事を言ったが、戻って来ても良いからな。」パパが泣きそうな顔で言っている隣でママも頷いている。
「行ってからのお楽しみだね。」私は二人に心配をかけたくなく、ワザと明るく言った。
こんな高そうな車に乗ったことのない私は、どうやって乗ったら良いのか、戸惑っていると
「そのままお乗りください。」おじさんの優しい声が私を誘導した。
「チェギョン!」携帯を握りしめたまま私を起こそうとする
「無理・・・。」両腕を使い立ち上がろうとしたが、ヘナヘナとする。
「どうしちゃったのよー。」真っ赤な顔をしている私を覗き込む
「男の色気に負けたー。」深い溜息と共に出た言葉は酷く艶のある声だと自分でも確認できた
狭い空間で、シンニーサンに背中を取られ、耳元で呟かれた何気ない言葉は、私の身体に雷に打たれたように全身に駆け巡る
今まで感じたこともなかった体の奥が痺れ渡る感覚
何度も何度も深呼吸を繰り返し、ガンヒョンに支えて貰いながら立ち上がった
「チェギョン、もう大丈夫なの?」
「うん。もう帰らないとね。」バンバンと太腿を叩いて足を一歩一歩歩き出した
ガンヒョンと別れた私は家に着き静かに入って行った。
何時も皆寝ている筈なのに、なぜかパパとママが玄関に走ってきた
「チェギョン!携帯見たの?」怒るママ
「何々、どうしたのよー?」カバンから携帯を出してみると、ママの着信がいっぱいあった。
気が付かなかった。
「もう、今日は大変だったんだから―。」ママが興奮しているし、パパも真っ赤になって
「チェギョン早く中に入りなさい」
居間のソファに座ると「今日凄かったんだから。」
「死んだおじいちゃんが何時も言ってたチェギョンには王子様がやってくるって言う冗談話。」ママ興奮して顔赤いよ。
「うん。よく言ってたよねー。」髪の毛を触りながら、髪の毛伸ばしておけって言われてたのに、切っちゃたもんなー。
「でね。今日王子様のお迎えが来たのよ。おじいちゃんの冗談は本物だったのよ。」パパとママのテンションが半端ない
「王子様?」パパとママは何言ってるんだろう・・・?王子様って物語や漫画の中にしか―ッ、嫌、ヨーロッパとか。嫌々この国にも本物がいたわ
「チェギョンは韓国の皇太子の許嫁だったのよ」
きょとんと目が点になる
「今日、コン内官って言う人が黒塗りの高級車3台でやって来て、この家の中におじいちゃんが持っていた許嫁の証の品々を持って明日「宮」に来て欲しいんだって。」
「ママ、なに冗談言ってるのよー。」現実離れした話を信じることが出来なく、否定の言葉が出る
「マジです。あんたは今日の光景を見ていなかったから、そんな事を言うかもしれないけど、これは現実です。」
ママの気迫に負けてしまった私は「でも、この国の皇太子ってまだ社交界デビューはしてないんだもんね。そんな知らない人の許嫁って嫌だよ。」
「確かに、でもそれは代々受け継がれてきたことだから仕方ないでしょう。
この国の皇太子は成人になるまで、表舞台に立たずに身を高め、社交界デビューする時には自分の妃と共に出るという習わし。」
「でも、なんでこんな庶民の私がー?」そこが一番の不思議やろ?
「おじいちゃんが、今の皇太子のお祖父様と親友だったからだ。」パパがポツリと言った。
「親友?嫌々、どうして庶民と宮のお方が?」
「お祖父様は今の皇太子のように、成人するまで一般人として暮らしていて、その時にうちのおじいちゃんと親友になったみたいた。で、時が来て身分を明かす時に、おじいちゃんと約束したそうだ。我らの友の証に子供同士を婚姻させようと。で、どちらの子供も男だったので、次の孫に白羽の矢があったんだ。」
「今の時代、そんなおじいちゃん達の決めたからって、婚姻って、そんなー私、高校生になったばかりだよ。」
「パパもママも私が結婚しても良いの?」
「おじいちゃんが亡くなったとは言え、親の言う事は絶対だ。チェギョンこの国ではそれが当たり前のことなんだよ。」
「由緒ある宮に嫁ぐなんて凄い事なんだから、うちのチェギョンは可愛いし良い子だから大丈夫!」確かにこの国では親の言う事は絶対だけどさー。
「この国の皇太子殿下と婚姻する事が韓国女子の憧れかもしれないけど、幸せになれるの?」シン兄さんへの実らない恋をしている自分が、皇太子殿下との婚姻をしても皇太子に悪いんじゃないかなー。
私の一言で、パパと、ママの動きが止まる。
「それはー。」二人の言葉は濁る。
シーンと静まり返った部屋に壁掛け時計の張りの音が響く
「チェギョン、私達シン家は幸せに暮らしているけどお金は無く貧乏だわ。そんなパパと私の願いはチェギョンにはもっと幸せになって貰いたい。良い服を着て良いモノを食べ、良い勉強もさせたい。だから、その願いが叶うなら藁にもすがりたい。」ママから出た言葉は、子を持つ親としての答えだろう
「パパもチェギョンが我が家の為にバイトをしているのを止めさせて、裕福な暮らしをさせたい。」ママとパパの親のキモチが溢れ出す
ようやく開いた口からは「突然の事で頭が良く回んない、明日の朝までいっぱい考えたい。」ノロノロと立ち上がると
「明日の7時に迎えの車が着て、12月31日に皇太子殿下にお会いするまでに、みっちりと作法を教え込まれるみたい。で、1月1日に皇太子と殿下とチェギョンの最終返事を聞くそうよ。
そしてこの事は公にしてはいけないので、誰にも言っちゃダメよ。ガンヒョンにもクラスの皆にも、隣のユル君にもね。」ママの真剣な顔に見送られ私は自分の部屋に行った。
自分の部屋と言っても、小学生の弟が屋根裏部屋みたいな所にいるから、完全に一人じゃないんだけどね。
自分のベットにドサッと雪崩れ込む
「疲れた。」何時も元気満々の私だが今日は一気にあり過ぎて疲れ切った。
ベットの枕元に置いていた、ハッピーとアルフレッドを抱き寄せギューっと抱きしめる。ハッピーが我が家に来てからギューっとするのをしていたが、シン兄さんのアルフレッドを預かってからは、一緒に抱き寄せている。
アルフレットに残る微かなシン兄さんの香り、鼻を大きく開いて、どこまでも吸い込み
フーッと溜息を吐く。
シン兄さんの事を諦めようとしているのに、帰り際にあんな事されるし、家に帰ってきたら凄い事を教えられるしーっ。
もー―、頭の中がグルグルと回る―。
頭は良い方じゃないから、考えても考えてもどうしたら良いのか。
この国では、親の言う事が絶対だから、素直に明日お迎えの車に乗らないといけない。
皇太子殿下の妃になるの?
相手の顔も知らないのに、本当は絶対にいやだ。
シン兄さん。カレの事を考えただけで、胸がギューっと苦しくなてしまう。
カレには結婚を考えている彼女さんがいるから、私なんかがどんだけ好きになったって、振り向いてくれない。
この皇太子殿下との婚姻がシン兄さんへの想いを断ち切る良い機会かもしれない。
バイトの時にシン兄さんが来てクリスマスパーティには絶対に来いよと念を推されたが、行けないよねー。
約束を破る事は嫌いだけど、これは仕方ないよね。
体を仰向きに直し、天井を見上げる。
弟の静かな息遣いが聞こえる。
私が皇太子殿下と婚姻すると、この家も楽になるだろう。おじいちゃんたちの約束のお陰でシン家は貧乏から脱出できる。
もーーっ、シン・チェギョン!悩む事なんかないよ。
急に体を起きあげて「これしかないじゃん!」と自分を納得させた。
時間通りに、黒塗りの高級車がやって来た。
白髪の人の良さそうなおじさんが降りてきて、私達に挨拶をする
「お迎いに来ました。例の物はお持ちでしょうか?」
暗いうちから起こされた私は居間のテーブルがガタついているのを座って気が付いた
「ママ、このテーブルの脚がおかしいよ。」
「おじいちゃんが預かっていた宮の指輪をテーブルの脚から取っちゃったからがたついちゃったのよー。」苦笑いのまま
テーブルの上には、ごつい指輪が置いてあった。
宮からの預かり物なのに、テーブルの脚のガタの直しに挟まれたいたなんて、私も苦笑いしたのを思い出す。
「貴方様がシン、チェギョン様ですか。これからは貴方様のお世話をさせて頂くコンと申します。」私の顔を眩しそうに見つめるおじさん。
「はい。今日は宜しくお願いします。」頭を深々と下げた。
「遺言には韓国一髪の毛の艶やかな子供と書かれていたのですがー、長い髪の毛ではないんですね。」少し残念そうな顔
「はい、事情があり切ってしまいました。」パパへの贈り物の為に髪の毛を切った私。
「そうですか、でもこの暗さの中でも輝いていらっしゃいます。お荷物はそれだけですか?」
「はい。」リュックの中には、ハッピーとアルフレッドが仲良く入っている
「それでは、参りましょう。」黒塗りの車のドアが静かに開く
パパとママの心配そうな顔。
「昨日はあんな事を言ったが、戻って来ても良いからな。」パパが泣きそうな顔で言っている隣でママも頷いている。
「行ってからのお楽しみだね。」私は二人に心配をかけたくなく、ワザと明るく言った。
こんな高そうな車に乗ったことのない私は、どうやって乗ったら良いのか、戸惑っていると
「そのままお乗りください。」おじさんの優しい声が私を誘導した。