「遅い!」

ピンポーンとベルと共に開けた扉の向こうには、アイツがいた。

今の時間はPM16時少し過ぎたところ

「あっ、あのー。」

頬を赤く染めてマフラーをグルグル巻きにしている。

「でも、ちゃんと来たから許してやる。」

事故とかに巻き込まれたと心配していたので、来た事にホッとしていた。

ふと見下ろすと何時もの綺麗な髪の毛がグシャグシャになっていた。

「お前の髪酷い事になってるぞ。」

無意識にコイツの頭を直してあげようしたのに、ビクッと離れる。

その態度にカチンときたオレは、コイツの側にグイッとより髪の毛をガーッとかき混ぜた。

「何するんですかー!」

「ふん!オレの側から離れたからだ。」ニヤリと笑う。

オレの言葉を聞き益々赤くなる。

マフラーをギュッと上げて、自分の顔を隠そうとしていた。

「寒いだろ?中に入れ。」グイッと腕を掴み玄関の中に入れた。

「あったかーい。」

寒い所から暖かい所にきたコイツは茹で蛸みたいになっていたので、マフラーを外してあげた。

温度差で目がウルウルとして、頬も蒸気して艶やかに赤く。

そして、唇が男のくせに艶やかなピンク色のアヒル口。

なんだコイツ。

オトコのくせに、女以上に女顔。

ジーっと見ていたら

「何か付いてるんですか?」ハッと気がつき

「嫌、何でもない。とにかく上がれよ。」中に誘うが、コイツは。

「いえ、今日は鍵を返しに来ただけです。」鞄の中からこの間渡した鍵が出てきた。

その様子を見ていたオレはムッとしてしまい

「それはお前にあげたヤツだ。」手を取り中に無理矢理入れた。

「キャッ!」女みたいな声が聞こえ

「なんだその声は?女みたいだぞ。」こっちが驚いていると、玄関の扉が開いた。

「寒いー!」

体を小さくして中に慌てて入ってきた男カン・イン

「イン、遅いぞ。」

「悪い。明洞の道路が異常に混んでた。」

「あそこはいつも混んでるぞ。」

「じゃあ、何時も以上に混んでた。」ニヤリ。

二人で笑い合いインが部屋の中に入ろうとしたら

「お前誰?」

シン・チェギョンの姿を見つけたインが驚き指を指す

「えっ?えーっと。」急に言われたので、しどろもどろとしているから

「今度からオレたちの仲間だ。」

「は?仲間?あっ!そう言えば昨日ギョンが何かラインで言ってたな。」改めてジロジロと見ていた。

「ふーん。ここで話しするのも寒いから、中に入れば。」

インとオレは帰りますという言葉を連呼していたチェギョンを中に入れ、ソファに座らせた。

大きな戸棚を見て、目を輝かせるチェギョン。

「可愛い!」オイオイ目がハートになってるぞ。

そこには色々なテディベアが飾られておりアンティークや新品が、戸棚に置いてある。

ソファには、オレが小さい時にお爺様から貰ったテディベアが置いてある。

インも自分のカバンから、ブラックテディベアを取り出し

「窮屈だったろう?」毛並みを揃えて上げていた。

ソファに置いていたオレの小さい時からの親友を抱き上げ

「アルフレッドって言う名だ。」

10年以上一緒に過ごしてきた親友の体は、何度もほつれ破けオレが全部直してあげている。

「お兄さん達って。」チェギョンが驚きの顔をしている

「まーっ、さっしは付いていると思うけど。オレ達は、テディベア愛好会」

インとオレは堂々として言った。

チェギョンの目が落ちそうなくらいに見開いている。

「オレ達は、幼稚園の時からの付き合いで、皆、あっ後2人もいる。
小さい頃から4人でテディベアで遊んでいた。
段々成長すると共に、オトコはぬいぐるみを持ってはいけないと言われ続けたが、長年一緒にいる親友を離すことが出来なかった。

週に一回集まりお互いの親友の事や新しいテディベアを増やしたり、修理してあげたりと、ずーっと4人でやってきて誰も入れなかったのに、チェギョンを見てピンときた
俺達の中に入らないか?嫌,入れ」ニヤリと笑う

「ほらっ、いっぱい買って来たぞー!!」

聞いた事のある声に振り向くと、ギョンが中に入ってきた

「ギョン、僕の方が荷物多いんだから持ってくれてもー。」

ファンがいっぱいの荷物を抱えて入ってきた。

「お前は!俺のライバルじゃないか!何でここにいるんだ?」

凄い勢いでチェギョンに近づく。

「お前には話した筈だ」ギョンを止め、ジロリと睨む

「俺は反対だぞ!この事をガンヒョンに教えるかもしれない。そこからSNSで拡散されたらもう、お婿にいけない。」

悲壮感たっぷりの顔でチェギョンを見る

「チェギョンはそんな事しない。」オレはチェギョンの頭を撫でなでて庇う。

「珍しいね。シンがそこまで気にいるなんて。」ファンが驚く。

「ピンときたんだ。」チェギョンが茹でタコのように真っ赤になっている。

「まっ、俺達がどうこう言っても、シンはチェギョンの事を入れるっと言う事で、ようこそテディベア愛好会へ。」

インが右手を差し出しチェギョンを待つ。

「オイ!オレが最初だぞ!」

慌ててオレも右手を差し出した。

「シンが認めたから、イイ子に間違い無いだろ?」

ニコニコと笑いてを差し出したファン。

「俺は絶対に反対だぞ!ガンヒョンに知れたらー。」泣き崩れた。

「よし、決定」皆ギョンの意見を聞かずに決定する。

「じゃっ、夜ご飯の準備でもするかー」と皆で和み始めたら

「ちょっと待ってください!まだ入るなんて言ってませんー!」

チェギョンの大きな声がリビングに響いた。





キッチンに立っている私

夜ご飯のメニューのチーズダッカルビの支度をしている。

色々な材料が並べられているのを見て、こんな高級な食材を見た事がない。

チーズは何種類も何語か分からないし、我が家なんてスーパーで割引してあるのしか買った事がないのに。

そんな感じがしていたが、お兄さん達がお金持ちだって事を知る。

そして「何でこんな事になったんだろう。」小さく呟いた筈なのに

「俺達の秘密を知られたんだ。もう仲間にするしか無いだろう?」

キッチンの収納棚を開けながら優しく笑うインさん。

「それもあるけど、シンが珍しいよねー、今まで絶対に人を入れなかったのに。それも女の子だよ。」

うん?ファンさんが何気なく言った言葉に私の野菜を切る手が止まった。

「え!気がついていたんですか?」

自分が女だってことがバレたら、とんでも無いことが起こる。

「気がつくよ。こんなに可愛い子だよ。オトコな訳が無い。」ねーと笑う

「気が付かないのは、シンとギョンくらいだろう? ギョンは馬鹿なだけだが、いや言い方が間違った素直なだけだが。
シンは世間知らずなんだ。で、思い込みも激しいからチェギョンの事を男と思ってしまえばもうそのまま男と思ってしまう。だから、許してやってくれ。」

インさんがホットプレートを出した。

「俺達の秘密、チェギョンちゃんの秘密、シェアしないか。」

大きな目が好奇心で光る。

「そんな約束しなくても、おにーさん達の秘密は絶対に誰にも言いません。」

口にチャックをする。

「俺達もな。」ファンさんとインさんは顔を見合わせて頷く。

「じゃあ、とりあえず仲間になった事で準備を急ピッチでやろうね。」

ファンさんが私にホットプレートを持たせ「持って行って。」と声をかけてくれた。

「はい!」パタパタと隣のリビングにホットプレートを持っていった。