豪邸に着いた頃は雨は降っていなかったのに、雨の降りが強くなってきた。

上着を掛けて貰っていたが、やはり足元は雨しぶきで濡れ、二人の足音もこの雨のせいで消されてしまう。

車のドアを開ける音がして、私は車の席に乗せられた

ドアを閉め、准教授もドアを開けて乗り込んだ。

車に叩きつける雨の音は少し怖いが、准教授が傍にいてくれるので安心してしまう。

「ふーーっ。」深い溜息が吐き出された。

何か衣服の擦れる音がする。

「どうしてあそこにいたんだ?」スーツの上着をゆっくりと外す。

フロントガラスには滝のように流れ続ける雨が見えた

隣にはネクタイが外されベスト姿の准教授がいた。

「院長さんが、私とガンヒョンを誘ってくれたんです。」

グズグズと泣きながら言う度に、雨の雫は涙と同じように私を濡らしていく

「もう泣くな。化粧が落ちてるぞ。」雨で濡れてしまった髪型が男の色気を倍増させる。

そして優しく笑う顔を見つめると、あーー―っ、やっぱりさっきの男の笑いと全然違う

ティッシュを取り出し涙を拭いてくれている「あっ、自分で出来ます」ヒックヒックしながら言葉を言うが言いずらい

「キミをあそこで見た時には、ビックリした。自分の妄想が現実になったかと思って目が離せなかった」

「まだ2週間たっていないが、あの時の答えは・・。」

私が言おうとしたら

「あの時、キミの態度は僕への拒絶だった。何故か知らないが、キミの態度が変わってしまった。それが料理にも出ていた。だから、僕は慌ててキミにキスを残していった。
微かな希望を託して、もう一度僕の事を忘れないで欲しいと」

私のグシャグシャな髪の毛を直しながら一つ一つ私に伝えてくれている

准教授は自分のシートを後ろに下げて、助手席の私の手を取り「こっちにお出で」優しく引いてくれた。

幾ら広い車とはいえ、やはり車、身動きすには動き辛い。

足をぶつけながらも、准教授の膝の上に乗せられた。

見下ろす私に、見上げる准教授の顔が近い

「化粧されて綺麗になったキミも捨てがたいけが、僕は泣き腫らした素顔のキミの方が良い。」

「准教授。」そんな言葉、言っちゃたらもーっ。

この狭い空間に二人きり、2人の息が熱くなり始めていく

捲れたスカートの太腿を、優しく擦り始める

「密室の空間。ここには僕とチェギョンしかいない。」初めて私の名前、さん付けじゃない

「キミの今の答えは?」ジーッと私の事を見上げる

もう、この顔に見つめられたら、何でも従ってしまいそうになってしまう。

だから、太腿を擦っていた手が私のスカートの後ろチャックを外して肩を外していようが抵抗しなかった

ゴクンっ。

准教授の喉が鳴る音が響いた。

「実に、瑞々しい。」オトコの色気全開の准教授がゆっくりと私の身体を傾けていく。





何度も想いだし、真っ赤になってしまったあのキス。

淫らな唾液の音と、熱い息。

狭い車の中の窓ガラスが曇り始めていく。

永遠に続くかもしれないと思っていた濃厚なキスが止まり、私はボーッとだらしない口になったまま准教授を見つめる。

私の口元の滴っていた唾液を、准教授は舌先で舐めゴクンと味わった。

「すまない、限度を超えてしまったな。」

私は意識が朦朧としたまま、体の中心が熱く熱く火照る

もうダメ。

微かな意識があったが、もうカレの思うがままにただ鳴くばかりのオンナになり

もっともっとと駄々をこね続けていた

すると何処からか、携帯の音が鳴り始めた。

准教授の動きが急に止まる。

「チェギョン時間だ。行かないといけない。」

顔を真っ赤にしてトローンとしている私の頬を撫で、名残惜しそうな顔

准教授ったら何を言ってるのだろう?

こんなに体が熱くなってしまった私はどうしたらいいの?

嫌々と胸を震わす私の頭をポンポン撫でていた









「いいかい、キミの身体はもう僕のモノだから誰にも触らせてはいけない。」真剣な顔

私を家に送り届け、玄関先で注意事項を並べている。

あの凄かった雨も止み、月明かりで夜空が綺麗だった

「2週間の約束まで、後3日だったが、今度は釜山に1週間行かないといけなくなった。

今日、急遽ソウルに戻って来れたので、キミにこの事を告げて帰ろうとしたのに、偶然会ってしまい離れる事がこんなに辛くなってしまうとは。」准教授の長い指がスッと私の顔に届く

私の唇と胸、そしてカレの長い指先が私のアソコに辿り着く

「熱く熱く蕩けてしまった此処を、誰にも見せたり触らせてはいけない。分かったね?チェギョン。」熱くなっている所に指を指し、強めのカレの低い声は指から伝わり奥にまで響いた

「はい。」疼く奥を宥めるように真っ赤になった顔で小さく呟く言葉

カレは、もう一度私にスーツの上着を掛けてくれた。

「そんな火照った体を家族の誰にも見せてはいけない。キミに約10日間僕の上着を預けておく。」

「10日後にちゃんとしたキモチを聞いても良いですか?」上着だけじゃ不安、カレの上着をギュッと自分の体に巻き付けた

「分かった、じゃあ、僕もキミのキモチが知りたい。今度会うまでに100文字以内で纏めておくように」優しく笑う顔

「はい。ちゃんと課題はやっておきます。」車に乗り込みエンジンが静かに鳴る

僕もキミのキモチが知りたい。カレも同じ思いでいてくれるとは思わなかったので本当に嬉しい。

手を軽く上げて、車は滑らかに走り出した



今日、又一つ知らない女の扉が開いた。

あんなに行為が嫌いだった私が、准教授の導きで性に溺れる女に変わっていく

准教授の上着に残るカレのタバコの香りに包まれながら、私から去っていく車を見送っていた。