「ほら!起きなさい!」掛け布団を取られた俺は、その後に続く凄い雄叫びの声で、跳ね起きた。

「なんだ?どうした?」声の先を見ると、綺麗なオンナが凄い顔で固まっていた。

「うん?」動かない綺麗なオンナの肩を揺すってやると。

ハッと気がつくと、目線が俺の下の方へ行き「ギャーー!」オンナの目線を追い掛けると見ると・・・・、あっ俺、裸だった。

「あ!すまん!」慌てて掛布団を体に巻いた。

「あっ、思い出した。ガンヒョンだったよな。」寝惚けていたオレも目を覚まし、彼女の名前を思い出した。

「朝だから起きなさい。」冷たい目でジロリ見られたが、ひるまない

氷の国で、オレが声かけた女は皆目がハートマークになっていたんだ。ガンヒョンも・・・。

うん?なってない。冷たい目がメガネの奥で光っている。

「あれ~~?ガンヒョン俺を見ても何も変わった事は。」

「なにが?」あーあ、眉間に皺まで寄せちゃったよ。(^_^;)

「良いから、下に降りなさい。」言うだけ言って、彼女はプイッと行ってしまった。

「ガンヒョン!待てよー」慌てて追いかけようとして、思い出した。

「着替えないとー!」慌てて横に置いてあった服を着始めた。

氷の国の住民としては、この人間界の秋と言う季節は、まだまだ暑く思わず裸で寝てしまった。

「今度からは、パンツは履いて寝よう。」グッと握りこぶしを作った。

氷の国から初めて人間界に出て来たのに、俺は親友の王子に置いて行かれた。

氷の国から出て人間界に行ける方法は、王子の愛馬アルフレッドしかいないのに、置いていくなんてー後で文句言ってやるー!
あっ!思い出した。アイツは時々、氷よりも冷たいー性格になる時がある。









下に下りて行くと、良い匂いが漂っている。

「美味そうな匂い!」臭いの元を辿って行くと、昨日あったばかりの「チェギョンだよな?」聞きながらキッチンに入って行った。

「おはようー!どう?短い時間だったけど寝れた?」ニコニコと笑う顔が可愛い。

こりゃーっ、人間界でも中々モテるだろうなー。

でも、好みじゃない。オレの好みはやはりガンヒョンだなぁ。

テーブルの上に皿を並べて行くガンヒョンを見ていたら。

「ニヤニヤした顔でこっち見ないで!」ジロッとまた睨まれた。

「誤解だよー、ガンヒョン――、綺麗だなーって思ってみてたんだ。」

急に真っ赤になり、「なっ何馬鹿な事言ってるのよ!」チェギョンの傍に行って隠れた。

‣・・・なんだその仕草、綺麗な顔とのギャップが、可愛いじゃないか。

「まあ、まあ。二人とももう座ってご飯食べよ。」

チェギョンの言葉に従って、開いている席に座った。

チェギョンが作ったスープを入れて貰い、飲んだ途端。

「美味い!」大きな声で叫んでしまった。

「ありがとうー。」チェギョンが照れくさそうに笑う。

「チェギョンの作る料理は凄く美味しいの。どっかに出掛けて食べるより、断然に美味しい。」スプーンを綺麗な動作で操る。

「こんな美味いの、今まで飲んだ事がない。」

「大袈裟だよ。それより夜ちょっと聞いた話だけど、氷の国の王子さまって名前がないの?」チェギョンの目が真剣だ。

「俺の名前は氷の国のギョンって名前だが、アイツは氷の国の王子と言う位だけだ。

身分があるヤツほど、名前がない。

王子は、オレに名前がある事をイイなーって良くぼやいていた。」

チェギョンは王子の事を色々と質問してきて、答えてあげていたが。

「チェギョン?、もしかして王子に一目惚れか?」

俺の問いに真っ赤になって大慌な彼女を、隠し事のできないタイプだなと思った。

真っ赤になった顔をテーブルに押し付け「今日はなんだか暑いねー。」誤魔化した。

「アンタ、バレバレ。」ガンヒョンが呆れて言う。

ガバっと起き上がり「‼︎(゚Д゚)」驚いていたが。

「ガンヒョンはいつも私の事何でも分かるんだよね。」頬に手を当てながら、ため息をつく。

チェギョン、嫌々アンタのは誰だも分かるって。( ̄▽ ̄)

「一目惚れって言うか、なんて言うかー。気になって、最後怒らせてしまったから、謝りたいなーって。」モジモジ。

「じゃあ、探すの手伝ってくれ?」俺の言葉にチェギョンが反応する。

「えっ?」

「王子は国の期待を背負い、人間界の学校に転校したんだ。

学校を探そうぜ!俺は王子の付き添いでこの人間界に来たんだ。それなのにアイツ俺の事置いて行ってしまった。」

「ところで、国の期待ってなんの事?」チェギョンがポツリと聞いてきた。

「あー、言ってなかったかー。自分の子供を産んでくれるオンナを探しに来たんだ。

氷の国の王子は、14才になったら人間界に行って、15才になるまでに自分の妻を探さないといけないんだ。

俺たちの国では、王位を継ぐ者だけが秘密の儀式で子供を授かるんだ。」

「秘密の儀式。秘密がいっぱいそう。」驚きで開いた口が閉まってなかったチェギョンがポツリと言った。

「魔法の国では恋愛をして結婚を決めた男女の髪を一房女王様に捧げて祈って貰うと、オンナの人のお腹の中に子供が授かるの。氷の国ではどうなの?」

「氷の国では、占い師の占いで結婚が決まり、子供は男女の髪の毛を占い師に持っていくって聞いた。」

「ふーーん、王子の秘密の儀式が何か気になるねー。」ガンヒョンがメガネを直す。

「ところで、氷の国のギョンさんからいっぱいお話聞きたいとこだけど、もう学校に行く時間よ。」ガンヒョンは時計を指さした。

「わーーーー!もうこんな時間だーー!」チェギョンは自分の身体に向けて、「クリスタル!」言葉を唱え指を鳴らした。

すると、髪の毛は黒髪へ目の色はゴールドから黒い瞳へ、色っぽい体はスッとーんとした体つきまで変わり、エプロン姿は学校の制服姿に変わった。

「さすが魔法使いだな。呪文だけで人間界の人になれるんだな。」感心していると。

「ほらっ、アンタもよ。」ガンヒョンは、オレに杖を向けて「アンバー!」呪文を言い放った。

ボン!

全身白で出来ていた俺は、なんと人間のように黒髪、黒い瞳、人間界の制服姿へ変わっていた。

「おーーーーー!スッゲー!ガンヒョン俺を変えてくれるなんて!自分の身体に色があるなんて、く―――っ、泣きそうだ。」ガンヒョンに抱き付こうとしたが、ヒョイっと避けられた。

ズコっと転んでしまった俺は、ガンヒョンを見上げた。

「抱きつかなくてもけっこーです!」ツーンと顔の方向を逆に向けて、「アンバー!」杖を振ると。

茶色い髪の毛は黒髪へ、赤い瞳は黒い瞳へ。エプロン姿はチェギョンと同じ制服姿へ変わっていた。

「パンツスタイルもカッコいいけど、やっぱスカート姿はそそるなー。」ニヤニヤしてたら。

「アンタは氷の国の王子を探す為に、人間にさせたんだからね。それに、それ以上変な事言ったら、元に戻すよ。」ジロッと睨まれた。










学校の手続きは、氷の国でやって来たので、ギョン君も普通にここの生徒としていることが出来た。

昼休みになり、私達は王子様を探す手伝いをすることにした。

私達魔法使いは日中魔法が使えない為、王子を捜すのが容易ではなかった。

「アンタ、王子は人間になっていると思うんだけど、姿見た事ある?」

「ない!王子達だけが氷の国で魔法が使えるんだ。」

「魔法が使えるからって良い事だらけじゃないわよ。」歩きながらガンヒョンが言う。

「なんで俺が言おうとした事を?俺の心の中を見れるのか!?」ギュッと体を隠す

「何っ言ってるのよ!そんなの私だって知らないわよ。たまたまよ。」プイッと横を向く。

「ギョン君!人間の王子は、何か手掛かりになりそうなものあるかなー?」

ギョン君は腕組みをして少し考えていたが

「あっ!目だ!氷の国でも目は黒で、人間の目も黒だから、そいつの目を見ると格好が変わっていても分かる。

なんたって、親友だからな!」ニヤッと笑った。

目が同じって。あっなんか王子さまと同じ目を知ってる。

イ・シン。

同い年のカレとはクラスが違うのに、よく廊下で鉢合わせや、キスをしている所で出会ってしまって、気になる存在だった

毎日違う女の子とキスしてばかりのカレ。

てっきり女の子達が好きだからしていると思っていたのに、キスをしている顔はいつもの冷たい表情だった。

そんなのキスじゃない!

キスって魂を抜かれてしまうほど、大事なもんだから良く魔女のママが言ってた。

氷の国や人間界の人達は、ちゃんと好きな人と、愛タップリなキスをしてほしい。

「ギョン君!私、王子様の人間の姿知ってるかも。似ている人がいるの、付いて来て!」私はギョン君の手をガシッと掴み、カレの教室へ向かった。

「ちょっ・・ちょっとーー、チェギョン、アンタ早過ぎだよ!」早歩きは段々スピードを上げて、結局は走っていた。

カレの教室に唯り着いた途端、廊下の端でキスをしている人達がいた。








チュッ。

重なっていた唇からオレは、自分の唇を離した。

驚いた。

父上の言っていた事は、本当の事だったんだ。

自分のDNAに合う最高のDNAを探す為には、キスをしろ。


そして、秋になりようやくオレでも暮らしやすくなった為、又人間界で嫁探しが始まった。

14才になってもう半年も過ぎてしまったのに、一致する相手に巡り合えないオレは段々焦り始めていた。

色んな女達に声を掛け、キスをしまくってきたが、自分のDNAに合う存在何ているのか?と疑っていた時に。

イギリスと言う国のコンクールに出ていたミン・ヒョリンが学校に戻って来た。

確かコイツは、この学校一の美女と言う話らしい。

休み時間、ミン・ヒョリンと目が合い、ジーーっと見ていたら、ミン・ヒョリンがニコッと笑った。

どうやらOKサインが出たみたいだな。

コイツ。手慣れている。

オレは立ち上がると、ミン・ヒョリンも立ち上がり二人で廊下に出た。

2人、窓辺に立ち、近づく。

「ようやく空いていた席のイ・シンを見れたわ。」オレの腕に手を掛ける。

「オレも何時もバレエのコンクールで授業に出ていなかったオンナに会えた。」オレの顔は段々彼女の傍に降りて行き、唇と唇を重ねた。

色んなオンナとキスをしてきたが、何も起こらずガッカリして離れていたが。

唇を重ねた途端、ビビッと頭の中を稲妻が駆け抜けた。

コイツだ!

オレのDNAに合う最高のDNA保持者。

コイツと秘密の儀式を行うと、最高の子供が生まれる筈だ!

彼女、ミン・ヒョリンを見つめ

「オレと結婚してくれ。」真剣な言葉で彼女に伝えた。

「・・・。」不思議な顔をしている。

「ミン・ヒョリン、オレと結婚してくれ」国民の期待を背負って此処に嫁探しに来たんだ。逃がすようなことはしない。

「マジ?今日初めて会ったんですけど?」

「そうだな初めてだけど、オレと結婚してくれ」何度も伝える。

彼女に一生懸命言っていると。

「ダメ――――――!結婚はんたーーーい!」大きな声が廊下中に聞こえた

声の方を見ると、走って来たのか、真っ赤な頬にゼイゼイ息を切らして立っているシン・チェギョンがいた。

何時もオレのキスを怒り、何度も言い合ったオンナ。

嫁探しに来ているので、関係ない女には見向きもしなかったが、このオンナだけは存在を認め名前も覚えてしまった珍しい存在。

オレの目は彼女と手を繋いで、同じように(*´Д`)ハアハアと息切れしているオトコうん?なんか見覚えのある容姿

あっ、このつぶらな瞳は、親友のギョン。

コイツの事を人間界に置き去りにして帰ってしまったが、なんでシン・チェギョンと一緒にいるんだ?

思わずシン・チェギョンとギョンの繋いでいる手をバシッと叩いてしまった。

自分の無意識な行動に自分がビックリしてしまった。






皆様、こんばんは、

このお話は、ここで終わりです。

秘密の儀式・・・。

健全なブログでは,書けませんね。(笑)

次は1話だけのお話です、これも又途中。【汗)

お暇な時に読みに来ていただければ、嬉しいです。

では、おやすみなさい。