「シン君!お昼ごはんですよ」部屋に入って来た。

コン秘書に入れてもらった彼女の両手は荷物でいっぱいだった。

「遅いぞ」イスに座り、彼女の事を睨む。

ブラックスーツじゃないカレ。

グレイの明るいスーツと黒いベストは、私がカレの為に選んだ。

う~~ん。やっぱり似合うわ~~。

アメリカにいる時、ブラックスーツしか着ていなかったと言ったカレ。

「毎日が葬式みたいな日々だったから、他の色を着る気がなかった。」語るカレ

昨日2人で選んだスーツ。

明るい色を中心に選んであげた。

「こんな色着るのは、5年振りだ」照れながら、着替えに行った。

私はどんだけカレの心に傷をつけてしまったのか。

毎日、少しずつでもいいから、苦しんだ5年間の記憶を安らげてあげたい。

カレが私を望む限り、傍にいる。

こんな私の愛で良ければ、全て差し出す。

2人で笑い、愛し合い、幸せな日々を過せるように。




「ウ~~ン、ゴメンね、次から次へとお客さんが来てしまって、休み時間に入れなかったんだ。」ソファのテーブルに、いっぱい食べ物を並べていく。

「そんなに食べれない」

「私と、コン秘書さんの分もあるの。」軽く睨む。

「よし!準備できた!シン君、食べよ」イスまでカレを迎えに来た。

すると、私の体はシン君の腕に引っ張られて、カレの膝の上に来た。

「チェギョン電池が切れていたんだ。」言って私の体に顔を埋める。

「もう、朝いっぱいしたでしょっ。」頭を撫でる

「そうだな、あんなにいっぱいしたのに、お前オレが着替えて行こうとしたら、物足りなさそうな顔してた。」ニヤリと笑う。

「えっ!?そんな事ないわよ。」真っ赤になる。

ゆっくりと唇が合う

「シン君!ゴハン!」

「もうお腹減った!」

「じゃあ、キスしてから」

急に大きな咳払いが聞こえた。

私達は、ハッと気がつきソファを見る。

ソファの端に座り「申し訳ございません、早くお食べにならないと、その後のお仕事が遅くなります」頭を下げた。

「もう!シン君!!ン秘書さんがいるの忘れてたーーっ」眉毛が下がる。

カレは涼しい顔をしながら「気にすんなって」私を立たせ、手を繋ぎソファに座った。

私は魔法瓶にお粥を入れて持ってきた。

温かいおかゆをカレに食べても貰おうと。

お粥を小皿に入れ、少しずつ食べれなくなった体に慣れさせようとカレの前に置いた。

「前みたく食べたい」私を見る。

「もうー!我侭言わないの」言いながら、私はスプーンを取り、カレにお粥を少量ずつ口に運んだ

「チェギョンのおかゆ、凄く美味しい。まだいっぱい食べれないけど、もう少ししたら食べれるようになるから。」私を見る。

私は次のお粥をスプーンに掬いカレの口に入れる。

「待ってる、食べても戻さなくなってきたから、もうそろそろだよ。」

2人見詰め合っていると。

「では、私は席を外します。シン・チェギョン様、今日のお食事も美味しかったです」とコン秘書は立ち上がり、部屋を出て行った。

「ヤバイ又、彼の事忘れていた。」2人は言う




「昨日、イン君。凄く謝っていたね。」ゴハンを食べ終わり、昨日の夜を思い出す。

コン秘書から、イン君の場所を探してもらい、カレはそこに向かった。

クラブのVIPルームに、見たことのある女優さんと2人でいたイン君。

まッ、これは内緒みたいだけど。(笑)

「オイ!どうしてここが?」

「韓国一のイグループを舐めるな!オレの手に掛かると、あっという間だ!それよりお前オレとチェギョンが夫婦の時、家に一回邪魔しに来ただろう?

そのとき、お前チェギョンにいらない事言ったな!」イン君に詰め寄る。

「へっ?5年も前の事。」

「オレがヒョリンの事をすきだって。嘘、吹き込みやがって~~!」イン君の胸倉を掴む。

「シン君!ダメだって!」少し遅れて入って行ったら、カレがイン君の事を直ぐに殴りそうだった。

私はカレに飛びつき、ようやくイン君から離した。

「シン・チェギョン!お前、どうして、あの時何処に?」急に現れた二人にイン君の頭がおかしくなっているみたいだ。

「イン!オレはあの頃遊びまくっていた頃、ヒョリンの事を愛していなかった、むしろ都合のいい女として扱っていたんだ。

お前が要らない事言わなかったら、チェギョンは身を引かなかった」強く言う。

「シン君!もう過ぎたことだし、それに皆子供だったんだよ。車の中で約束したでしょッ

イン君には手を出さないって!それなのに、シン君車降りて、私を置いて行っちゃうし。」カレの腰に腕を回し、顔を背中にくっつける。

「誤解が解けたから、もうお終い!ちゃんと今の事は、謝ろうね」正す。

2人のやり取りを見ていたイン君は

「オイ!本当にシンなのか?アメリカでICEMANって呼ばれているお前が、こんなに怒ってくるなんて。

それにシン・チェギョン、お前シンに怒るやつなんて、中々いないぞ。」

「イン!チェギョンが許せって言っているから、仕方がないけど間違っている記憶は直せ。5年前の結婚した時から、オレはチェギョンの事が好きなんだ!

ちゃんと、覚えたか!?」

「覚えたよ、そっかー、オレの一言が・お前達夫婦をこじれさせたんだな。

ごめんな、知らなかったよ。」うな垂れる。

「イン君!」私は彼に近づこうとしたら

「オレ以外の男に、近寄るな!」腕を引っ張られた。

「シン君!」無理矢理カレの後ろに立たされた私。

「お前本当にあのイ・シンなのか?」笑い始めていた。


「そうだ!チェギョンの事になると、頭で考えて行動していたオレが、考えずに体が先に動いてしまう。」少し照れていた。

イン君は「シン・チェギョンは、お前にとって魔性の女だな」笑う





食事が終り、私は荷物をまとめ屋台に戻ろうと思っていた。

「じゃあ、シン君!行くね」

「ああ、送って行けないけど、男には注意しろっ」睨む。

「男~~っ!あはははーー!ないないって。」笑う。

シン君がギロリと睨む。

怖っ!!

「はいはい、判りましたーー」ドアを開けて出て行った。




カレのホテルから、屋台までは結構近い。

私は地上から、シン君のいる最上階を見上げる。

遠い

そして、カレと私の貧富の差これくらいかな。

ちょっとの間、私は最上階を見つめていた。

気を取り直し、自分の屋台に向かって歩きだした。

さて、屋台だけど。

今年いっぱいの契約なので、来年からは又仕事探さないと。

本当はデザイン関係の仕事に着きたいけど、なんせ就職難。

求人広告には、中々上がってこない。

今はまだ12月の最初だから、何とか見つけないとね。

「そこの綺麗なオネーサン」男の声。

何となく振り向いてしまった。

「えっ?」シン君が言っていた。男には気をつけろって!!まさかーといって笑っていたけど。

本当に声掛けられるなんて。シン君の怒った顔を思い出す。

「おねーさん、足ツボマッサージしませんか?」微笑む若い男の子。

ビックリした私に、若い男は「おねーさん、足ツボ。」

「結構です」笑って歩き出さした。

ほらねっ。

私に、言い寄ってくる男なんて、こういうのしかないんだから、シン君心配しすぎだよーー!又笑った。

鼻歌を歌いながら、屋台が見えてきた。

さーーッ、午後も頑張るかーーと自分で気合を入れると。

あれ?誰か居る。男の人?近づくと。

「アガシ!」イ・ユンホ社長が立っていた。









「アガシ!待ってたよ」イ・ユンホ社長が爽やかな笑顔で、この寒い中待っていてくれていた。

「ゴメンなさい、休憩してたから。」慌てて、準備し始める。

「何時もより、長かったね。」

「そうですか?」適当に返していた。

準備が終り、「アジョシ!何にします」明るく聞いた。

「アガシ、何かいいこと合った?」

「へっ?」

「明るくなった、何時も明るい君だったけど。悩みのない明るさになった。

後、それに色っぽくなったね。」私は無意識に首元を触る。

キスマークが色んなとこに散らばっている。

タートルネックのフリースを着ているので、全く見えないはずなのに。

何故か、緊張してしまった。

私の様子を見ていたアジョシは、笑いながら。

「あの約束覚えている?」

「約束?」

「約束、僕と君が交わした約束。山登り。」

「あっ。」

「忘れていたみたいだね。あははっ。じゃあ、明日なんてど?」

確かに明日は休み。あの時を思い出す。

泣きながらホテルから出てきたときに、アジョシに慰めてもらった。

ただ黙って私が泣いているのに、付き合ってくれたいい人。

その時に交わした山登り。

山に登って、叫ぼうーと言う約束。

アジョシとは山登り友達だから、行っても大丈夫かな?

急に頭に浮かんだのは、シン君の顔

ちゃんと言えば、判ってくれるよね。

友達と山登りするって言えば、カレは怒んない。

「はい。」







コンコンッ

屋上の一角に立ててある部屋のドアが鳴る

「はい!」言って直ぐにドアを開ける

そこにはグレイのスーツ姿のシン君が立っていた。

「こらっ!女一人なのに直ぐに開けるなって言ってるだろう」

「こんなとこに来るのシン君くらいだよ。」

「チェジュンも来たぞ。」

「あれは男じゃない」笑う

「早く中に入れさせろ」ドアを閉め私に抱きつく。

「車から降りて、ここに来るまで寒かったーー」

私の腕はギュッとカレを抱きしめる

「温かい、それにいい香り。お前を抱きしめる為に、頑張って仕事してきたんだ。

少しこのままで。」

私はカレの言葉に、胸が熱くなる

カレに必要とされている。





カレは夜になると私のアパートにやってくる。

あの最上階の部屋があるのに、わざわざこの部屋にやってくる。

「シン君あの部屋で寝たら。」

「イヤだ!チェギョンがいないから、イヤだ」

「でも、こんな狭いところ。」

「お前がいれば、どこでもいい」キスをされた

「シン君、ゴハン、食べないと。」

「後で。」

「シン君。」

「さっき言っただろう!早く中に入らせろって」笑う

「それって、部屋の中にでしょうーー?」




お互いの名前を呼び合いキス何度も交わすキス。

さっきまでの火照ッた体が少しずつ冷め始め

余韻を楽しんでいたけど、カレが離れようとしていた。

「まだ」腕に力を入れる

「お前は、この時が好きだもんな。」と頬にキスをする。

「うん、大好きシン君大好きだよ。」見つめる。

「そんなに改まって言われると、照れる」顔を隠した。

「あーーーっ!顔見せてよーー!」

「イヤだ、だらしない顔してるから、無理!」2人何時までもじゃれあっていた。



冷めた食事を温め、ようやく夜ゴハン。

「もーーっ!先にゴハン食べたかったのに」

「エロかわいいお前がダメだ。まったく可愛くて仕方ない。」口を開ける

私はすかさず、カレの口にお粥を運ぶ。

「おっ、アワビ粥」言いながらゆっくりと味わう。

「美味しい?」

「チェギョンの作ったのは皆美味しい。」パカッと口が開く

クーーッ、かわいい。

パーカーにスウェットを着て、目の前にいるカレ。

口を開けるたびにお粥を入れてあげる。

もう、何度も繰り返す。

あっ!!急に思い出したあの事。

「シン君!あのね。明日休みなんだけど、イ・ユンホ社長と山登りに行ってもいい?」簡単に聞いた。

カレが口を開けると思い、スプーンを準備していたのに、口は開かれなかった。

目の前には、カレの冷たい目が、私の事を睨んでいた。






こんばんは、ねむいです。

おやすみなさい