アジョシは、最近こんなときアジョシって言うなと怒る。

ちゃんと、名前で呼んでくれ。

ウンチャンがオレの名を呼ぶと嬉しいんだ。

ベットの中でまどろむ時に、ボクの耳元で願うカレの小さな想い。

アジョシの事を名前で呼ぶのはたまにしかなかったが、なるだけ呼ぶように心掛けている。

勇気を出して「ジニョクさん、大好き。」小さい声でカレに言ったら、ボクの事をマジマジと見つめ泣き出した。

「泣かなくても。」

「嬉しいんだ、ウンチャンが名前で呼んでくれるだけで。」優しいキスが降りてきた。

キューーーン。

もう、この人は何処までボクの事おかしくさせるんだ。

アジョシの何気ない仕草、醒めた目付き、嫌味しか出てこない時もある口。

全て愛しい。

ボクの髪の毛を撫でながら「ウンチャン。」優しく微笑むカレ。

ボクはアジョシの優しい微笑みに胸がギュッとなり、慌ててカレに抱きしめてもらおうと、両腕を投げ出した。

「アジョシ、抱きしめて。」

カレの瞳が真面目に「名前」告げる。

「ジニョクさん抱きしめて。」途端に最高な笑顔でボクの事を抱きしめてくれる。

アジョシの優しいキスは、ボクの顔中に落とされる。

「ジニョクさんなしでは、生きていけない。」ボクの言葉を聞き、アジョシはボクの目を見る。

「オレもウンチャンがいないと、生きていけない。」

自然に重なる唇、何度も角度を変え、二人の体に又熱が。


「初めてなんだ・・・。」

虚ろなボクは・・カレの言葉を待つ。

「アレを付けないで、やるなんて。ズーッと子供が嫌いだったから。嫌、嫌いじゃない、オレと同じ目に合わせたくないから、子供は欲しくなかった。

色んな女と付き合ったが、一度も思ったことがない。

酔っていようと、流されようと100%必ずつけていた。」ボクの髪の毛を撫でながらゆっくりと語るアジョシ。

ボクはただカレの体の重みを受け止めている。

「そんなオレの考えを覆す女が現れた。」カレはボクの顔をマジマジと見る。

「最初、男として現れた女は、キスが異常に上手かった。毎日彼女に愛される内に、オレの考えが変わった。彼女との子供が欲しい。彼女似の可愛い女の子が欲しい。」優しいアジョシの声。

「一日でも早く、ウンチャンとの子供が欲しい。」落とされたキスは、ボクの心まで響き渡る。

「ア・アジョ、ジニョクさん、ボクはジニョクさん似の男の子が欲しい。」

「却下!」

「アジョシ!」

「無理!オレみたいな顔一人いれば十分!」笑う。

「自惚れやーー!」

「そんなオレの事好きな。」

「ボクしかいない!ジニョクさんの事世界で一番愛しているのは、ボクだけだ!」








ボクはお土産用の箱を作っていると、アジョシが入って来た。

ボクはプイッと顔を背ける。

「ウンチャンーー!」なさけない顔のアジョシ

「アジョシなんかきらいだー!」

「ウンチャン!」ボクから嫌いという言葉を聞いて、慌てるアジョシ。

「アジョシって、本当の年幾つなんだ?もーーー、何回やったか判んない」頬が膨れる。

「ゴメン」ボクの傍に来る。

「腰が、お陰でテコンドー休んじゃったじゃないか!」プンプン怒りが収まらない。

「ゴメン!」アジョシは手を合わせる。

「テコンドー終わるまで、H禁止!」

「そんなーー!あんな凄く気持ちイイのを、味あわせておいて、禁止ってそんなー。」ガックリと頭を下げた。

「やりすぎたアジョシが悪い」怒りながら箱を作っていると、お客さんの気配がした。

「あっ!いらっしゃ・・・・。キソプ!何で此処?」ボクの言葉に、アジョシが素早く動く。

「此処までなんで来た?」カウンターに近づきキソプに話しかける。

「今日、ウンチャンテコンドー休んだから、無理矢理住所聞きだし、来てみた。」

「オイ!昔は良かったが、今じゃそれは犯罪だぞ!」アジョシの冷たい目。

「ウンチャンに会いに来た。ウンチャンあの時のように又してみよう。

オレが出来ないのって、やっぱあの時のトラウマかも知れない。」

「お前。ウンチャンのカレ氏はオレなんだぞ!何頼んでるんだ!」カウンター越しに男2人が睨みあう。

「頼む!ウンチャンだけが、便りなんだ!どの女ともやれないなんて、辛いんだ。

だからやり直してみたいんだ」

「キソプ。」椅子に座ったままのウンチャンの声

「どんな理由であろうと、断る!ウンチャンとは結婚を考えているんだ。病院に行って相談しろ!」アジョシは吐き捨てる。

「ウンチャン!」キソプの声が響く。

「キソプ、ゴメン。やらないよ。ボクもズーッと悩んでいた。お前があんなこと言うから、ズーッと心の傷として残っていた、でもアジョシに会ってから変わったんだ・・。

男として生きてきたけど、アジョシのお陰で女に戻れたんだ。」椅子に座っているボクの傍にアジョシが近寄リ、ボクの肩を抱きしめる

「ウンチャン。」カレの温かい指先は、ボクの心まで温かくする。

「キソプも本当の恋を探せ。そしたらきっと大丈夫だよ。」ボクとアジョシは顔を見合わせ笑い合う。

「・・・・。」ボク達の事を見続けるキソプ。

彼の口から深い溜息が出た。

「本当の恋?」

バン!

その時、隣の部屋から新作のケーキを持って部屋に入って来た魔性のゲイ先生。

3人の目と魔法のゲイ先生の目が合う。


「おや?お取り込み中だね。」キソプを見た途端呟く。

アジョシが慌てる

「お前がいるとややこしくなる!あっちに行け!」ゲイ先生を出そうと試みたが。

キソプと魔性のゲイ先生の視線が絡まる。

アジョシがガックリとする。

「こいつもか。ウンチャンその男に何時もの説明してくれ。」うなだれる。

ウンチャンは、腰に力を入れて、よいしょっと椅子から降りた。

「おい!イ・キソプ!しっかりしろ!」ウンチャンの掛け声で、正気になったキソプ。

「俺。あの人から目を離せなかった。」

ボクは「あ~~あ。キソプ。お前はまっとうだと思っていたんだけど。でも、こればっかは仕方ない。言いか、良く聞け!魔性のゲイ先生は、魔性のホモだから。

キソプと何かあっても、続くことはない!

ゲイ先生は、ただ遊ぶためにお前の体を奪うんだ。だから止めとけ!

本気になっても、捨てられるだけだ!

ボクはちゃんと忠告したからな!それでも、ゲイ先生と付き合うんのなら。ボクは止めない!」何時もの文章をアジョシの変わりに言ってあげているうちに。

魔性のゲイ先生はオミヤゲコーナーのカウンターに近寄り、キソプの頬を包み込む。

「イ・キソプーーー!キスするとーーー、抜け出せなくなるーー!」ボクの制止の言葉も役に立たなかった。

魔性のゲイ先生の唇がキソプの唇に。「ウンチャンは見るな!」アジョシの胸の中に閉じ込められた。

「ア・・ジョ。もがもが。」アジョシの居心地の良い胸の中で、ボクは頬が熱くなるのを感じた。

「ウンチャンの幼馴染も、変態の仲間入りか。」とアジョシの呟いた言葉はこの部屋に響いた






次の朝、ボクとアジョシが歩いて、アンティークに向かっていると。

1台の黒塗りのRV車が止まった。

その中から、魔性のゲイ先生が降りてきた。

アジョシはゲーッとなりながら「オイアイツと。」

魔性のゲイ先生は、運転席側に周り運転手にキスをする。

その男は照れながらも、キスに答えてあげている。

ボクの目は、アジョシの手によって隠されていた。

「ウンチャン!」その声に聞き覚えが。

「イ・キソプーー!お前・・先生と。」

「俺はどうやら、男が好きだったようで、しっかり卒業できた!」爽やかに笑う。

ボクとアジョシは顔を見合わせて。

「ウンチャンが女で良かったーーー」ボクの肩を抱きしめた。





アンティークの日常業務を何時も通りにこなしていく。

ボクは一生懸命、ガラス窓拭きテーブル・椅子をもう一度拭き準備が整った事をアジョシに知らせる。

急にアジョシのスマホからベルが鳴る。

アジョシは、電話に出て真剣な顔つき。

ボクはアジョシの真剣な顔つきが、何も無い事を祈る。

「判りました。ウンチャンに伝えます。じゃっ。」アジョシは電話を切った。

「アジョシ。」

「そんな深刻な顔すんな。大丈夫!」ボクは頭を撫でられた。

「アンティークの休みの日に、コ・ウンチャンを連れて来なさいと母さんからの電話だ。」

「初めてだ。アジョシのお母様から来なさいって言われたの。」ボクの目から涙がボロボロ溢れ出す。

「オイ、このくらいで泣いてたらどうする?」

「だって、嬉しくてーーー」涙が止まらない。

アジョシはボクをやさしく抱きしめ、髪の毛にキスを落とす。


「じゃあ、嬉しさついでに、ウンチャン髪の毛伸ばして欲しいな。ウンチャンの長い髪姿見てみたい。」ギュッとする。

「えっ!?伸ばしてもいいの?」見上げる。

「ウンチャンがどんなに可愛くなろうと、オレの傍にいるんだろう?」心配そうに聞く。

「似合うかは判んないけど、アジョシの傍にずっといる」ボクもアジョシを抱きしめた。













「!!!」ウンチャンの顔が止まった。

「ボク、ボクにこれを着ろと!」彼女が持ち上げた黒い物体。

「ああ。オレの前々からの夢なんだ。ウンチャンの髪の毛も伸びてきたし。そろそろどうかなーって。」

「嫌だ!」

「ウンチャン、アジョシの夢を叶えさせておくれ」せがむ。

「だって、こんなにヒラヒラしてるし短いぞ!」ウンチャンは真っ赤になり、オレに訴えてくる。

「アンティーク開店時の時からの、夢なんだ!」タバコを吸おうとしていたのを、止めて彼女の手を取った。

「アジョシーーーー!」彼女の眉毛が下がった。

「さっさ、着ておいで。」営業用ではなく、ちゃんと彼女にしか見せないとっておきの笑顔をした。

「オッサン。エロだしまくりの顔で笑うな!」通りがかりの弟子がグサッと酷い事を言って行く。

「オイ!何処が、エロだしまくりなんだ!ちゃんと自分の可愛い彼女の為に笑ったんだぞ」異議をしてみたが。

弟子は「こんなカワイイウンチャンとオッサンが、毎回地球の七不思議だぜ。」口が減らない・・。

オレはキーーーッと怒りそうだったが、ウンチャンに方向を変えた。

「なっ、ウンチャンこれ着てくれーーーー」縋る

「嫌だって!」ウンチャンは隣の部屋に逃げ込んだ。

「チッ。薦めるのは早かったか。このメイド服。ウンチャンに絶対似合う。」

オレはメイド服を握り締め、後2センチ髪の毛が伸びたら、又お願いしてみようと思った。






皆様、こんばんは。

なんだかんだと言って、オリンピック終わってしまいましたね。

楽しませていただきました、特にバレー。

パリのオリンピックも楽しみにしてます。

最近、更新する時間に誰かが起きていて、まったくパソコンができませんでした。

で、ようやくアーップです。

コメント、いいねありがとうございます。

おやすみなさいー。