「アジョシ!お願いだから」

「ダメだ!」横を向く。

「アジョシーーー!」オレの膝に跨り、おねだり攻撃。

その手できたか「なんと言われようが、無理だ!」

「頑固者!」プーーーッと膨れる頬。

オレの好きな顔をしたなー、横目でチラリと見るが無視・無視。

この状態がちょっと続いた。

魔性のゲイの弟子が扉の向こうからやってきて

「オッサン、何イチャイチャしてるんだよ」冷やかす。

「「イチャイチャしてない!」」声を合わせて言う。

「じゃっ、何で?」

「アジョシが許してくれないんだ」

「許す訳ないだろう」

「2週間夜手伝いに行くだけだから」

「手伝い?」弟子が合間に入る。

「テコンドーの先輩が海外に出張するから、その間子供の授業してくれないかって言われたんだ。」

「何度言われても、無理だ!そんな男がウジャウジャいるとこ、絶対許さない!」

「オッサン、嫉妬か?」ニヤつく。

「まさか!そんな子供みたいな事。」


「ウソ付け、良くしているだろう?」魔性のゲイが出てきた。

「オイ!」

「ジニョクの嫉妬は、中学生レベルだからな」笑う。

「中学生!?まさか!?」

「ウンチャン、手伝いに言ったらいいさ。2週間、俺達が頑張るから。」ウンチャンの頭を撫でる。

「ウンチャンにさわんな」彼女をギュッとする。

「ほらーーッ、中学生レベル。」プッと笑う。

「キム・ジニョクシーー。行かせてくれないと。」ウンチャンがオレをみる。

「なんだよ。」ヤバイ何時ものアジョシではなく、名前で呼ぶ時は余程の時。

「キスもあれも絶対にやんないからな」睨みつけられた。

「ウンチャン!」その手できたなー。

「そのくらいの覚悟だ!」頬がピンクになっていく。

「オッサン、どう済んだよ。」弟子は、もうニヤつきが止まらない

「ジニョク。行かせてやれよ。」魔性のゲイは呆れている。

「・・・・・。」

「これマジだからな」ウンチャンは脅迫する。

「・・・・。」

3対1。

「・・いいよ。」ボソッと言う。

「いいの?」

「その代わり、疲れて帰ってこようが、キスとあれの拒否は認めないからな」言い放つ。

「やったーーー!OK/OK!」オレの頬にキスをしまくって、膝から降りて、弟子と喜び合う。

「やったね!」

「なっ、おっさんこれで堕ちただろう?」ニヤつく。

「オイ!今何て?」オレは椅子から立ち上がる。

「ジニョク、怒るなって。お前が反対してばっかで、ウンチャンが俺達に相談してきたんだ。」

「お前等、グルだったのか!?」3人一緒に、ニヤニヤ笑う。

「お前等ーーーー!」3人の笑いは止まらない。

「ウンチャン!今日はヒーヒー言わせてやるからな!」ビシッと指を差した。

「えーーーーーー!!」


夜のアンティークにウンチャンの叫び声が響いた








「ウンチャン、今日から行くんだろう?大丈夫か?」

弟子君がボクの事を覗き込む。

「うーーーーん。ちょっと休むといいかも。」始まる前のテーブルの上を拭いた後、テーブルに上半身をベロ~~~ンと横たえた。

「もしかして、おっさんのせいか?」

「うん、もう凄くて、凄くて。体が言う事利かないんだ。」体中がポワーンとしていて、宙に浮いているみたいだ。

「オッサン、やっぱテクは凄いのか?」ボクは昨日の事を思い出し。

「ウンチャン!真っ赤だぞ!」弟子君が慌てる。

「だってーーーーー!」

「ハイ!そこまでーーー。ウンチャン、そんな顔してうちの弟子君誘わないでくれ。

頬がピンクで目がウルウル。」頭を撫でてくれる魔性のゲイ先生。

「魔性のゲイ先生、こんな調子でやっていけるかな?」

「アハハッ。ウンチャンファイティーーン。キミなら何でもできるさ。」顔を近づける。

「オイ!」

「おっ、僕の好きな声~~~!」仕事用のポニーテールを引っ張られている魔性のゲイ先生。

「オレのウンチャンに近づくな!」ボクから離された。

「間接キスしようとしたのに!」ニヤニヤしながら厨房に入って行った。

「全く、おちおちウンチャンから離れられないな。」テーブルの上でデローーーンとなっているボクの髪の毛を優しく触る。

「アジョシ、体がもたない。」ジロッと見た。

「ウンチャンが可愛すぎて、止まらないんだ。」済まなそうな顔。

「今日からテコンドーあるのに。腰が。」口をパクパクする。

ジーーーと見つめるアジョシ。

「うん?どしたの?」

「腰砕けたら、行かなくて済むか。」ニヤリと笑う。

「キム・ジーニョークーシーーーーー!」






昨日の夜、アジョシにヒーヒー言わされたボクは、腰砕け一歩寸前だったが何とか仕事をこなして、夕方から仕事場からテコンドーの道場に行こうとしていた。

久々のスクーターー。

前まではボクの手足となって、いろんなとこを駆け巡っていた。

メットを被り、首のロックをしていると、アジョシが出て来た。

「ウンチャン、大丈夫か?」

「大分腰に力はいるようになった。」スークターに座りアジョシを見上げる。

アジョシとずっと見つめ合っていたが。

「もう、そろそろ行って来る」グリップに手を掛けた。

エンジンをスタートさせ、ボクはグリップに力を入れた。

アア、久々の音は心地良い。

「アジョシ、もう行く」行こうとしたら。

ボクのヘルメットに何かの感覚。

アンティークの鏡に、アジョシの行為が映し出されている。

鏡越しに見えた。

メットにアジョシの優しいキスが落とされている。

アジョシの想いが溢れ出す。

その想いはキラキラと降り注ぐように、ボクの体の中に入ってくる。

ウンチャン、愛している。

アジョシの気持ちを受け止め、メット越しにカレを見る。

「アジョシ!大好きだから!」言葉をカレに言い、ボクは一目散にそこから逃げた。

ミラー越しにアジョシの姿が小さくなっていく。

とうとう見えなくなってしまった。

景福宮の塀が見える。

ボクはブレーキをかけ、道路を右に曲がる。

この通りは銀杏並木なので、もう少ししたら銀杏が出始める。

去年、アジョシと2人で角にある店屋にお菓子を買いに行こうとした時に、いっぱい落ちている銀杏を拾い集めているおばあさんがいた。

ボクは店が見えていたけど、おばあさんの銀杏拾いをしてあげた。

アジョシは最初呆れていたけど、最後には手伝ってくれた。

3人で拾い上げる銀杏。

あっちでは、おまわりさんが箒を使って銀杏を落としていた。

ボクは、アジョシを見て自然に笑が出る。

おばあさんの為に一生懸命拾うアジョシ。

アジョシって背が高いのに、しゃがむとボクと同じ位になる。

でも腕が長いから、銀杏は次々とカレの手の中に入っていく。

その動作がカッコよくて、アジョシに見惚れていると。

あっ、おばあさんの目がハートになってきた。

「アジョシ!もう行こう!」突然立ったボク。

「えっ?」ポカーンとするアジョシ。

「おばあさん、もう十分取ったよ!」ニコニコと笑みを忘れない。

ボクはアジョシの手を取り、角の店まで走った。

「ウンチャン、どうした?」ちょっと走っただけなのに、タバコの吸いすぎで息が上がるアジョシ。

「・・・・。」

「ウンチャン。」息が整い始めて、ボクを見る。

「おばあさんの目が、アジョシを見る目がハートになってきたから」真っ赤になりながら言う。

「はあ?」

「だって、アジョシがカッコイイのは判る。皆にアジョシの良さを知って貰いたいけど、でもボクだけのアジョシでいてほしんだ。

ゴメン、何かメチャクチャなこと言って。」顔は下を向いたまま言う。

すると、ボクの頭を撫でる優しい手を感じる。

「いや、嬉しいよ。」ボクの頭を引き寄せてキスをしようとしたら。

「臭い!」アジョシが急にボクから離れた。

「?」アジョシの行動が判らなかったけど、2人で顔を見合わせ

「あっ!銀杏!」2人同時に手のにおいを嗅ぐ。

「臭いーーーー!」せっかく店まで来たのに、ボクとアジョシは走って家に戻り、匂いが消えるまで手を洗った。





信号待ちの間、去年の事を思い出し、一人ニヤニヤする。

アジョシのヤキモチに負けないくらい、ボクも嫉妬する。

だって、大好きなアジョシにはボクの事を見てて欲しい、他の人なんて見ないで。

お客さんがアジョシにハートマークを出している時には、絶対にアジョシを接客に行かせない。

ボクの嫉妬心は、本当はアジョシよりも強いみたいなんだ。

アジョシの存在は、ボクにとって大切な存在。

アジョシのお母様にも、判って欲しい。

中途半端な気持ちではなく、2人離れられない存在だってことを。


信号が青に変わり、ボクは左側の道路に進み、信号を右に曲がる。

目的の道場は明洞にある。

2週間の手伝いで、ちょっとの間アジョシと離れちゃうけど、ボク達は大丈夫!

こんなボクには勿体無いほど、カッコイイちょっとヘタレなアジョシ


ボクのスクーターは、光化門近くにある世宗大王を通り過ぎ、グリップに力を入れた。






「又のご来店を」とオレは深々と頭を下げた。

ようやく客の足が落ち着き、オレは傍にあった椅子に座る。

「フーーーッ」と大きな溜息。

黒サングラスが傍を通り掛り「若!どうしましたか?」近寄ってきた。

オレは手でシッシとコイツを追っ払いながら「別に。」左手は自分の顔を支えていた。

黒サングラスは、厨房の入り口の傍に寄って、弟子と何か話している。

フン!どうせ、オレの事だろう?

仕方ないじゃないか。ウンちゃんがいないとオレの腑抜け状態。

ウンチャンが傍にいないだけで、オレは半身が持っていかれたようになる。

これを後、2週間続けろと!

頭をブンブン振って「無理だ」

この光景を見ていた弟子と黒サングラスは、ニヤニヤと笑い合っている。

オレはアイツ等と目を合わせないように、顔を背けた。

ぼーーッと入り口を見る。

ちょっと前にウンチャンを見送った時を思い出す。

愛しい。

好き過ぎて、自分の想いを何時でも彼女に覚えさせようと、手を繋いだり、キスをする。

ウンチャン。

オレの母さんにも判ってもらいたい、彼女の良さを、性格の素直さを。こんなひねくれてしまったアジョシの元に迷い込んだ天使なんだ。

ウンチャンの事を想っていると、アンティークのドアが開いた。

腑抜け状態のオレだったのに、ドアの音にすかさず反応する。

しゃきっと背筋に力を入れて、お辞儀をする。

「いらっしゃいませ!ようこそアンティークへ!」招き入れた。








スクーターを道場のあるビルの前に置く。

テコンドーのとこは2階みたいだ。

此処のビルには、色んなスクールが入っていて沢山の客で賑わっていた。

道場の上の階はフラダンススクールと色んな人達が行き交う。

ボクは2階に上がり、責任者の人と会い挨拶を交わす。

着替え終えたボクは、指定された小学生クラスのとこに行く。

責任者がもう一人の講師を紹介すると言って、その人のとこに連れて行った。

「オイ!イ・キソプ!2週間手伝ってくれるコ・ウンチャンだ。」紹介してくれた。

イイ体をしたお兄さんの名前を、嫌な気持ちで聞く。

その名前。記憶の奥底に追いやった名と同じ。

イイ体をしたお兄さんが振り向き、お互いの顔がビックリする。

幼馴染のイ・キソプ。

「コ・ウンチャン・・・。」彼の目が驚きの余り落ちそうだ。


先輩ーー!この道場にコイツがいるのなんで言ってくれなかったんだーー!とボクは胸の内で叫んだ。





皆様、こんばんは。

男子バレー、ブラジルに負けてしまいました。

世界ランキング1位の国に立ち向かったけど、やはり。(泣)

選手の方々お疲れ様でした。

男子バレーが、もっともっと注目を浴びて欲しいですね。

それにしても、うちの青森のNHK,バレーの放送してくれなかった。(泣)

岩手では放送していたのにね。


では、コメント、いいね有難うございました・

おやすみなさい