車を契約している駐車場にいれて、2人とも車を降りた。

オレはウンチャンの肩を抱き寄せ、もう離さないぞと言う風に歩きだした。

「アジョシ誰かに見られたら。」

「見せ付けてやるよ!」

途中、子供を連れた母親が、オレ達を見て変な顔をしていた。

「コイツは男じゃないですよ。カワイイ女の子なんですから。」営業スマイルで言った。

「アジョシ!」

「あはははっ。すっげー!今、皆に言いたいくらいだ。コ・ウンチャンはオレの女なんだぞーーって!」

「も!アジョシ!!」







アジョシの家が見えてきて、鍵も開けるのももどかしいくらいだった。

玄関の扉が閉まると音が、聞こえないくらい。

アジョシとのキスが始まった。

こんなキスがずーッと出来るなんて、夢みたいだ。

キスをしていると、体がフワフワして足が宙に浮いているような感覚がしてきた。



そしてアジョシの目に前に、さらしが見えた。

「女のコなのに、巻きはじめてから、短いのか?」

「ううん。20才位から。」

「そんな前からか?なんで。聞いてもいいか?」

「ボクの家、お父さん早く死んじゃって、お母さん仕事できる人じゃなくて、お父さんの保険金もなくなっちゃって、ボクが働かないといけなかったんだ。

妹もいたし。この家を救うのはボクしかいないって、決心した。

その日から、ボクは男になったんだ。

で、一生懸命働いて生活していたんだけど、最近お母さん再婚しちゃって。

妹も凄く良いヤツと一緒に暮らし始めて、広い家に独りになってしまって。

2人が幸せになってくれるのならと、ボクは祝福した。

でも、理性がね。

今まで2人の為に頑張って働いてきたのに、なんか寂しくなっちゃって、思わず家を飛び出してきたんだ。

当てもなくブラブラ歩いていたら。

アンティークで、男子従業員募集って張り紙がしてあって。思わず紙を剝いで、ドアを開けたんだ。」

「コ・ウンチャンは一生懸命、男をやってきたんだな。」アジョシはボクの頭を撫でた。

そして、膝まつきボクを見上げた。

「ウンチャンが頑張って、2人を幸せにしてあげたんだ。ウンチャンの事、尊敬する。

でも、今日からはこのさらしは止めよう。

コ・ウンチャンは女として生きるんだ。オレの傍でずーっとな。

さらし取るの、オレがやってもいい?」言葉で言うのが恥かしく、頭で頷いた。

ベストを取り、ワイシャツを外した。

アジョシは、さらしを外していく。

ボクの毎日の日課、着替える時に必ず胸にさらしを巻く事だった。

もう、このさらしとも、さよならなの?手が勝手に、アジョシの手を止めた。

「ボクは本当に、男にならなくてもいいの?」

アジョシは営業用じゃない微笑で

「オレからも願う。男にならないでくれ!」ボクの手を下に降ろし

さらしを全部外した。







「未遂が1件」

「未遂?」

「幼馴染のヤツと卒業式の終わった後、お互い早く捨てたくて、頑張ったけど相手がどうやっても無理で、そして「お前が男みたいだから、ダメだったんだ!」言って逃げていった。ほんと、男運がないんだなーーーっ、それから全然です。」笑う。

「笑うなよ。こんなにカワイイ女の子なのに。」アジョシは立ち上がりボクを抱きしめる。

「そんな男、もう思い出すな!自分の所為なのに、女の所為にするなんて。」

「えっ、ボクの所為じゃ。」

「まさかっ!?男は肝心な時にダメな時もあるんだよ。まったく酷い男だ。」

「そうなんだ、良かったーずっと自分の所為だと思ってたから。」







夜、ウンチャンを抱きしめて眠る時、きっと明日の朝には見るもの皆、バラ色に輝いてるんじゃないか?と思うくらいの幸せを感じていた。

たった3日しか経っていないのに、彼女はオレにとって大事な存在になっていた。

つい思い出す映画。

「ロミオとジュリエット」

オリビアのも捨てがたいけど、オレはクレアの可愛らしさが好きだった。

短い間に本物の恋をした幼い2人

映画を見ていた時には、そんな訳あるはずがないと言っていたそんなオレが。

ロミオとジュリエットのような恋に堕ちるなんて。

それも、32才のアジョシになってから。(苦笑)

オレの元に堕ちてきたジュリエットは、少年のような可愛い女の子。

肩から腕に感じる重み

永遠に失いたくない人、コ・ウンチャン。

彼女の温かさを感じ、眠る幸せ。こんな日が来るのを、待っていた。

オレの瞼がゆっくりと閉じた。








太陽が大分上がった時にオレは起きだす。

瞼がゆっくりと上がる。

暫くボーーッとしていたが、昨日の事を思い出した。

「コ・ウンチャン。」

突然起き上がる。居ない。

ベットのシーツも温かさが無くなっていた。

何処に行った!?オレは下のスウェットを履き、部屋を飛び出した。

色んなとこを見たけど彼女はいなかった。

何でだ?何でだよ。

ガックリと肩を降ろし、キッチンのイスに座ると。テーブルには朝食が準備していた。

1枚の紙が見える

震える手で紙を取るとそこには、可愛い字で

アジョシ!御飯作ったから食べて。実家に寄ってからアンティークに行きますので、ちょっと遅れるかも。
じゃあ!

紙を持ち上げ「心配したじゃないか!」紙に向かって怒った。









アンティークに着き、何時もの服に着替える。

そして、魔性のゲイもやって来た

「あれ?一人?昨日の臨時休業の成果は?」明るく聞いてくる

「コ・ウンチャンが、起きたらいなかった。」

「マジ?」

「実家に寄ってから来るって。」

「なんだ、良かったじゃん!てっきり捨てられたかもと思ったよ。」胸をなでおろした

「とにかく何時も通りの仕事しよう。」

魔性のゲイはオレの背中を叩いて、ニッコリと笑った。

床を掃除していても、ガラスケースを拭いていても、思うのはウンチャンの事だけ。

ボーっとしていたら

「ほらっ、タバコ吸って来なよ!」魔性のゲイが立っていた。

お前、何時の間に

「ウンチャンは来るから、あの子はジニョクの元に来るから」

「うん、オレも信じている。」

「だから、外へ行けって。」ケツを叩かれた。

外のベンチに座ってタバコを吸っても、落ち着かない。

時計を見ると2時を過ぎ始めた。

ちょっと遅くなるって,もう2時だ。

オレが吸うタバコの煙が空に吸い込まれていく。

慌てて立って、ウロウロし始めても、どこからもウンチャンは来ない。

タバコを咥えたまま、落ち着け自分と唱える。

恋に年なんて関係ない、ウンチャンの顔を思い出す。

男と思っていた彼女は女だった。

オレはゲイになる覚悟までしていたのに。思わず笑ってしまう。

オレはタバコを終えて、中に入ろうとした。

「アジョシ!」オレが今一番聞きたい声が聞こえる。

振り向くと、コ・ウンチャンがスーツケースを引っ張って走ってくる。

「コ・ウンチャン!」

オレと彼女はアンティークの真ん前で向かい合い、自然にキスをした

何時間振りのキスは、オレの気持ちを上気させる。

「ウンチャン、遅い。」ついばむキス

「アジョシ!タバコ吸ってたでしょう!」オレの唇から逃れた唇は発した言葉。

「キライか?」唇が自然に離れる。

「うん。」

「タバコくさいと、キスしたくなくなる?」

「うん。」

「う~~~ん、そっかーっ。何とか減らす。」唇を重ねる。

「アジョシ、頑張って」と笑いながらキスを交わす2人。





「オンニーーー!こんな人前で!恥かしい!」見たことも無い。長い髪の女が叫んでいた。

「ウンセの事忘れてた。」ウンチャンはオレの前に立ち、腕を広げた。

「誰?」

「ボクの妹。ボクが家を出て男の人と暮らすって言ったら、心配してついて来た。」

「そうよ!オンニは何にも考えないで突き進むとこがあるから、出逢ったばかりの男となんて!騙されているに違いないって!」鼻息も荒くオレを見上げた。

「あらっ。」頬が赤くなるウンチャンの妹。

「アジョシは何も悪くないよ!ボクが先に住むとこがないって。」話の途中で妹に体をドンとやられたウンチャン。

「アジョシだけど、イイ男だわ!」ウットリとアジョシを見上げる。

「ボクのアジョシに近づくなよ!ファン・ミニョブに言いつけるぞ!」道路に尻餅をついていたウンチャンは即座に立ち上がり、オレに抱きつく。

オレはウンチャンから抱きつかれて、嬉しくて腕を回す。

珍しいものを見るように「女に騒がれたり、抱かれているのは何回も見ているけど、男は始めてだわ。こんな男みたいな女だけど、どこがいいんですか?」

「逢ったばかりだけど、一生傍にいたいと思った。」ウンチャンの首元に顔をうずめた。

「アジョシ、ボクも思った。」オレの腕に自分の手を乗せる。

「マジなの。こんな光景を見れる日が来るなんて!」と彼女は驚きっぱなしだ。

魔性のゲイが外に出てきて「中で話でもしたら」おずおずと話した。

「あっ!もっとイイ男!」

「ウンセ、カレは魔性のゲイだから、ダメだ。」耳元で話す。

「えーーーーっ!勿体無い!」驚く彼女。

「まっ、魔性のゲイですけど、ケーキは上手いですよ。どうぞ、ウンチャンの妹なら大歓迎です。」と笑みを浮かべて中に誘導する。

ウンセはキョロキョロしながらアンティークの中に入っていった。

「ウンチャン、聞きたいことが?」

「何?」オレを見上げる彼女の可愛い事。

「ちょっと遅くなるって書いてたのに、随分遅かったな。」

「・・・・。」急に真っ赤になるウンチャン。

「どうした?」

「アジョシ、ちょっと。」オレに背伸びをして近づく

オレも耳を寄せた

「昨日でさらし止めちゃったから、下着持ってなくて家に取りに行ったらスポーツブラしかなくて、買いに行ってた。」小さい声で話すウンチャン

あまりにもの可愛さに、オレはウンチャンを抱き寄せ「下着なんて、いっぱい買ってやるから!次はオレも付き添う。」キスをする

「えっ!?それは恥かしいから!」言いながらも、ウンチャンはオレとのキスを止めない。

何時までも中に入ってこない2人を迎えに、コ・ウンセが扉を開けたら

目の前にキスをし合う2人が立っていた。

「もーーーっ!何度言ったらいいの!?こんなとこでするのはダメ!」怒っていた。





皆様、こんばんは。

もう眠いので、おやすみなさい。