次の朝

無断外泊をさせてしまったチェギョンを、送っていこうとした。

バイクを準備してもらい、彼女を乗せようとしたら、フッと気がついた。

「バイク乗れるか?」マジな顔で聞く

背中をバシッと叩かれて

「もーー!シン君こそ、打撲大丈夫なの?」彼女にメットを被せて

「これくらい、大丈夫。」

メットを被り、彼女の腕を自分に巻きつけ

「この間、お前を乗せた時、本当は物凄く緊張していた。平然な振りをしていたけど、お前がオレの背中にいると思うだけで心臓がおかしくなった。」

「今は?今はどうなの?」彼女の腕が強くオレの体にしがみつく。

「教えない。」ニッコリと笑いスタンドを外した。

バイクのアクセルを回し、ゆっくりと走り出した。








チェギョンの食堂に着き、彼女を先に下ろしてメットを取ってやる。

近くでみる彼女の唇が光って見える

艶やかな輝きはオレの事を誘う

顔を近づけ、キスをしようとしたらお前は体を翻し、食堂の扉を開いた。





「チェギョン!昨日の夜どこに行ってた!?連絡がないから、心配し。」パパの声が響いた。

チェギョンの後からカレが入って来た。

「あれ?皇太子殿下、なぜチェギョンと?」

シン君は私の前に立ち、いきなり。

「義父君!もう1度、私とチェギョンの結婚を許してください!」深々と頭を下げた。

「えっ、えーーーーーーーー!?」腰を抜かすパパ

開店前の食堂にこだまするパパの声

シン君、突然、その言葉はダメだって。

パパの声に、ママ・チェジュンも集まってきた。

「皇太子様、なんでこんな所に。」

「あっ、兄貴!どうしたんだよ?」

カレの手に引っ張られながら、立ち上がろうとしているパパ

「まあ。皇太子様にそんな事させる訳には。」近寄るママ

「義母君、ちょうどいいところに。私とチェギョンさんの結婚を許して貰おうとやって来ました。」プリンススマイルを浮べた。

ビカーーッと眩しい光の中で笑うカレ。

ママはプリンススマイルと、結婚という言葉に驚いて、下に座り込んだ。

チェジュンは「兄貴!マジかよ!?こんな薄っぺらい胸のオンナと2度もするなんて、どうかしてる!」私はチェジュンを羽交い絞めにして、動きを止めたけど口は止まらなかった。

「兄貴だったら、いいオンナがいっぱい寄ってくるのに。」

羽交い絞めにされているチェジュンに近づき、カレは腰を屈めて

「チェギョンとオレは何度別れようが、何度でも恋に落ちる。チェジュン、お前ももう少ししたら、オレの気持ちが判ってくれると思う。運命の女にあったら。」

「シン君!」チェジュンの体から離れ、カレの傍に行く。

カレは自然に私を抱き寄せ、額にキスをする。

された私も皆の前でビックリしたが、他の3人も口が開きっぱなしだった。

「皇太子殿下、ちょっと3人だけにしてもらえますか?」パパが言った。

「判りました、じゃあ、チェンギョンさんと外に行ってます。」カレは私の手を取り、店の外に出た。

「チェギョン、海に連れて行ってくれないか?」頷く私はカレの手を引き、先に歩き出した。

食堂の後ろには海へと降りる階段があった。

「ここ綺麗でしょう?ここから眺める海は最高に綺麗なの。それに夜の散歩の時はもっと綺麗」

「ここを一人でか?」

「うん、そうよ。最初、暗闇での海鳴りは怖かったけど、今は平気になった。」

「こんな所を一人で散歩なんて」

「シン君の事考えて歩いていたの、今日は何してたのかなーとか、テレビでシン君の事見れると嬉しくて、雑誌のシン君は、ただ微笑んでいるばかりで、テレビだとシン君は動いて、声までも聞こえる・・そんな日はシン君の言葉を、一言一言思い出し歩くの。

廃妃になっても、この済州島でひっそりとシン君の事想っていたの。」

オレの腕はお前を引き寄せる。

額・瞼・頬・鼻、とキスを落とすカレ

「チェギョン、ごめん、お前を守ろうとした事が、反対にお前を。」

「この離れていた期間は、私達の為に必要な時間だったの、お互いの大切さを知る為に。」カレの首の周りに腕を絡める。





「もう、結婚するからっていうよ。」

「シン君!皇太子って事忘れて、軽い発言になってるーー!」

「チェギョン、今直ぐにも結婚したい!」顔を覗き込む

「そんなワガママ言わないの!」




「皇太子殿下、今直ぐに結婚したいんですか?」突然のパパの声。

二人は慌てて離れて「はい。」綺麗な確実な声で言う

「チェギョン、お前はどうなんだ?1度廃妃になったからには、世間の目は冷たいぞ。」パパの声は真剣だ。

「それでも、シン君の傍に居たい。」私は真剣に答える

「じゃあ、これから出掛けますか?」

「はい?」二人の声が重なる。

「好きあっている二人を離す事なんて、しませんよ。ただ皆がやっているような結婚式を挙げさせたいんだ。ウェディングドレスを着せてやりたいんです。「宮」の戻ったら、又あの結婚の儀式でしょう。」最後に苦笑。

「義父君。」カレは深々と頭を下げた。









次の日、宮の戻る飛行機の中二人寄り添い、教会の外で撮った写真を見ている

二人の格好はチェ尚官に持って来てもらった。

彼女の家族の前で、永遠の愛を誓うオレ達

もう2度と離さない!と言う気持ちを込めて











オレとチェギョンは、ようやく東宮殿に着いた

彼女を又ここに連れ戻すに、1年掛かった。

シン・チェギョンは今は一般の身分になったので、東宮殿に長居が出来ない。

でも、済州島でチェギョンの家族に見守られて、結婚式を挙げた。

つまりオレ達は又夫婦になったけど、この「宮」では、それは通じないだろう。

それでも、見せてやりたかった。お前の部屋はそのままにしているって事を。

手を繋ぎ、彼女を自分のもといた部屋に案内する

「アーーッ、懐かしい!元のままなんだね。」キラキラした目で見返す。

「当たり前だ。この部屋の主はお前だから。」

「ここに戻ってこれるなんて、私ここにはあんまりいい思い出がないの。」

「えっ?」意外な言葉に驚く声。

「だって、シン君に片思いしていて、伝えられない日々を過ごしたんだよ。目の前にいるのに、親友の振りしないといけなかった。

毎日、シン君の後姿を追いかけて過ごしていた。

そして、シン君が選択を迫られた時、私は限界にきてたんだ。

シン君の親友って認められて嬉しかったけど、何度も、背中に抱きつきたかった。

だから、廃妃で良かった。嫌われる前に去る事ができて。

はい!私の回想終わりです!シン君に1年前の私の気持ち、知って貰いたかっただけ。だから、気にしないで。」笑った。

「チェギョン。」あまり名前で呼ばれたことがないので、呼ばれるとドキドキする。

「あっ、ほんと気にしないで。シン君が悪いわけじゃなっかったんだから。」手をパタパタと横に振る。

「済まなかった。」きっちりと頭を下げるシン君。

私はカレのちゃんとした礼儀を見せて貰い、感動してきた。

「謝らなくてもいいのに、でもその言葉は私の心に入ったから!ちゃんとシン君の言葉、胸に刻みました」

オレは自然に彼女を抱きしめる。優しく、壊さないように。






ドアのノックが聞こえる

「殿下、陛下が御呼びです。」

「判りました、今行きます。」

彼女の首元に鼻を寄せて、彼女の香りを自分の体に覚えさせる。

「じゃあ、行くか」彼女から離れ、小さい手を取り、並んで歩き出した。

「もう、お前には後姿見せないから」





陛下達が揃っている部屋に着き、二人で顔を見合わせる。

「おい、緊張しすぎて、変な顔になってる。」

「えっ?やっぱり?久々に会うから」

急に視界が暗くなった。カレの唇の感触が判る、あれ?今キスされた?

「え!?」ビックリした。

だって、後ろにはコン内官が控えていた。

「シン君!ダメだよ。」真っ赤になりながら、カレの腕を叩く。

カレはフッと笑い、繋いでいた手をもう1度強く握り締め、足を踏み出した。


久し振りに会った陛下達

皆、優しいお顔で私に会えた喜びを伝えてくれた。

てっきり、反対されると思っていたので。拍子抜けだった。

陛下は改めて「シンの選択が間違っていた事を許して欲しい。そして又ここに戻って来てくれて、こんな嬉しい事はない。」

「反対は、しないのですか?恐る恐る聞く

「別れた夫婦が、もう1度一緒になろうとしているんだ、余程の覚悟がない限りしないだろう。私達には反対する気もない。又、妃宮として太子の傍で支えてやってくれないか?」

「王族会とかいろんな方々が反対が。」

「大丈夫だ。太子がもう動き出してる。色んな指示をコン内官に出して、復縁を立証させるみたいだ。太子はやりだしたら、完璧にこなしてしまうから、心配するな。」

私はカレを見上げ「シン君って凄いんだ。」

「今頃知ったのか?」ニヤリと笑う。

「じゃあ、彼女に東宮殿を見せたいので、これにて下がらせてください。」立ち上がり頭を下げた。

「エッ?さっき。」

「いいから!行くぞ!」カレに引っ張られながら、戻った。

「シン君!まだ後のお二方と。」

「あんなとこに居たら、お前との時間がなくなる。お二方とも、ウズウズして待ってた。」

あっ、確かに。

「チェギョン。」

あっ、又反則技で来たな。

「オレの為に生シュー作れ。まずはそこからやり直したい。」

あの最後の日

私が「宮」から出る日。私は生シューを作って出て行ってしまった日。

今又、ここでカレの為に、作ってあげれる日が来るとは。

涙が目頭に溜まる。

カレは優しく私の涙を吸い取り「オレも手伝うよ。」

私はマジマジとカレを見つめ

「ダメ!」 「何でだよ?」

「だって、教えたら。シン君自分で作っちゃうから、私なんて要らなくなるような気がして。」

「シン チェギョン!怒るぞ。もう離さないって。伝わらなかったのか?」

「伝わった!」


その後、生シューをいっぱい食べ、満足そうなカレがいた。






皆様、こんばんは。

手離した後には、後悔だけ。終わりましたー。

こんな話だったんだーと、しみじみ。

あの頃は一生懸命だったよねー。夜中の2時、3時までお話書いて、6時に起きるという生活。

皆様にお話を読んでもらいたくて、頑張っていて日々

懐かしいですね。


コメント、いいねボタン有難うございました。


おやすみなさい。