飛行機が飛び立ち、ベルトを外していいというサインが出た。

宮に帰ると言うことで、ここスーツに着替えた。

ほんの何十分も前にチェギョンの手と繋がられていた手を見つめた。

ずーーッと離さないでいたかった。

1年前の後悔を思い出す。

あの時はオレがアイツの手を離してしまった。

でも、今は!絶対に離さない!

離さない為には、「宮」に帰り色んな事をしなければならなかった。

1週間後に使いの者を寄越して、彼女を「宮」に呼んでも。

直ぐに妃宮にするのは、まず無理だろう。

何たって、1回は廃妃になったから、王族会がどう出てくるのかが、心配だ。

妃宮じゃなくても、傍に置いときたい。

昨日彼女の体を知り尽くし、ちょっとは落ち着くと思われたが。

今直ぐにもアイツの事が欲しい

何度も打ち付けた細い腰に、初めての証が現れているのも知らずに。

狂ったようにアイツを求めていた。

昨日の事を思い出し、一人で赤くなる。

アイツの事をずーーッと繋ぎとめたくて、今までのオレじゃ有り得ないほどの言葉が出た

チェギョン。好きだ。大好きだ。愛している。オレの傍にいろ。お前だけだ。

この言葉を耳・口・瞳に浴びせた。何度でも。


うん?・・・・・・・。

何か引っかかる。

あっ!

自分が言うのに夢中になっていたが、アイツは何も言っていない。

・・・・。あっ、そうだよな、ずーっと自分の手を口に挟んでいたから、言えなかったんだよな。

自分で解決案が出て、一安心。

「ふーーーっ。」イスに深く座る。

ゲートでのあのキス

あいつの想いが溢れたキス。

正直、ビックリした。アイツは人前ではあんな事しないのに。

ひとり赤くなっていたオレの頬が段々青ざめていく。


チェギョン!お前まさか!?

ゲートでのキスは、別れのキスか?

オレは慌てて立ち上がり「コン内官!戻れ!済州島に戻れ!」

「どうなされましたか?殿下?」凄い形相のオレに慌てるコン内官。

「今直ぐに戻らないと!アイツが!チェギョンが!オレの元から居なくなる!」

「殿下!なりませぬ。もう少しで空港に着きます。済州島に戻る事は出来ませぬ!」何時もの優しい物腰の言い方ではなく、子供を諭すような話し方。

「コン内官!頼むから!」

「殿下、貴方は皇太子殿下です!私の天よ!落ち着いてください!」

「コン内官!2度とアイツの事、手離したくないんだ!オレだってただの男なんだ。」

「シン・チェギョン様から手紙を預かっております。私とチェ尚官にもです。空港に着いたら渡して欲しいという事でした。」

「そろそろ、シートベルト装着のサインが出ます。殿下お座り下さい。」

「コン内官!手紙を見せろ!今直ぐ見せろ!」

SP達に合図をして、彼を力ずくで抑えようとしたら

テコンドー有段・護身術を完璧に身に着けているカレに、SP達は手こずっていた。

「殿下!こんな所ではいけません!空港に着いたらちゃんと見せますから、お座り下さい。」SPの首元を捕まえ、押さえ込んでいたカレ。

SP達は息も上がって皆、スーツが崩れていた。

カレだけが、あんなにSP達の動きを止めていたのに、荒い息が余りない。それに服はそのままだった。

SP達は何時もカレの事守っていると思っていたが、カレこそ1番の力を持つ存在だと知り、恐ろしくなった。

冷たいカレの目を受けながらも、コン内官は天に訴えた。

「判った。」無表情な顔でイスに座り、シートベルトをする。


機内にはシートベルトのアナウンスの声が幾度も聞こえていた。





空港に着き、コン内官から手紙を受け取る

オレの震える手は、封を開けれないでいた。

でも、ようやく開いた手紙には

親友イ・シン様

 親友シン・チェギョンよりと書いてあった。

中から紙を取り出した。


イ・シン様

この手紙を読んでいるって事は、もう空港に着いたんだね。

私はその時間。婚約式に出てます。

ムン・ジェウォンオッパと婚約します。

シン君に、私には婚約者がいるって言うのは本当の事でした。

だから、あなたとの2度目の結婚はありません。

コン内官おじさんを怒らないでね、私が空港までもたせて頂戴って頼んだんです。

昨日、チェ尚官オネーさんとコン内官おじさんには、もう会えないと思い挨拶に行きました。

シン君とも、ちゃんとお別れをしようと思ったんですけど。

私の初めての相手がシン君で良かった。

あなたの言葉を聞き、あなたを感じた事を忘れません。

ごめんなさい。

婚約者がいるのに、シン君とするなんて、酷い女。

許しては貰えないと思います。

あなたを騙すような事になってしまいました。

こんな酷い女、1年前に廃妃になって当たり前です。

シン君はこんな事になるかと思って、廃妃を選んだと思います。

それは正解でした。

シン君の奥さんはイ・スンリさんがいいと思います。

彼女なら、シン君の事幸せにしてくれると思います。

私は貴方の事テレビで見てるから。

ちゃんとテレビの前に座って、応援するから。

だから、シン君、私を許さないで下さい。


   シン・チェギョンより。



紙を綺麗にたたみ、封筒に入れる。

「コン内官、この後の予定は?」カレの凄みの入った声が刺さる。

「はい、殿下。この後は宮に戻り、両陛下にご挨拶して、少しの職務があります。」

「判りました」携帯を出して電話を掛けた。

ちょっと待たされたが電話が繋がった。

「ギョン!今直ぐ飛行機チャーターしてくれ!それも早いヤツ!」

「殿下!そんな事がばれたら。」

「コン内官、宮のお金は使いません、自分のポケットマネーで行きます。」

「ギョン、今直ぐに済州島に行きたいんだ。連絡くれ!支払いはオレ宛にしろ!宮宛にはするなよ。」

「判った、今直ぐに頼んでみるから、少し待て。」電話が切れた。

「と言う訳で、オレは今から済州島に行きます。後の事は貴方は何時も上手くやってくれてくれてましたよね。」冷たく笑う。

「では、殿下。あの事はもう進めても宜しいんですね。」

カレの顔から冷たさが消え、ニッコリ笑った。

「早急にお願い致します!」

「了解いたしました。」

「済州島に戻る事は怒らないのか?」

「私はシン・チェギョン様に空港に着くまでと頼まれました。

それに、殿下が幸せになれるなら、反対する事はございません。」頭を下げた。

携帯が鳴った。「シン!今直ぐなら定期便がある。それに乗ってけ!チャーターは出るまで時間が掛かるから止めとけ。」

「じゃあ、4人分で頼む。もう向かったほうがいいな?」

「ああ!早く行け!後でゆっくり話し聞くからな!」

「判った!今日は助かった、ギョン。」

「何だよ、改まって言うなよ。ビックリするだろう。」おどけた。

「じゃあ。」

「おう。」

「じゃあ、コン内官、オレはこれから済州島に向かいます。チェ内官・護衛2人連れて行きます。貴方はあの計画を早急に。」

「判りました。」

オレは3人と共に定期便に搭乗する為に向かった。




皆様、こんばんは。


今日は、バイトがお休みなので、もう寝ます。でもその前に更新ですよねー。(ニッ)

話は変わり、最近朝ドラを見始めました。

先週のお話にただ涙するばかり。

もうーっ、大人たちの演技が素晴らしく。

泣けた。

皆様もどうぞ,みてください。

では、おやすみなさい。