ゲストルームにカーテンの隙間から朝日が差し込む

静かなこの空間に、遠くの方で波の音が聞こえる。

ここ良い音を聞きながら、オレの脳は目覚めていった。

そして体も。

昨日、初めて女を知った。

それもずーーっと思い続けていた彼女と。

彼女の体は温かく、柔らかく、そして最高に気持ちよくさせてくれた。

オレは無我夢中で彼女の事を求め過ぎた事を思い出し、慌てて隣に寝ている彼女の体を覗き込んだ。

少し口を開き寝ているお前は、1年前を思い出す。

時々ソファで転寝しているお前を見つけて、いたずら書きを良くやっていた。

起きた後、よく怒られていたっけ。

彼女を見ているだけで、ほんとニッコリと笑いたくなる。

居るだけで、触るだけで、オレを幸せにしてくれる存在。

見ていると急に目が開いた。

「おっ。」

「あれ~~ッ、シン君?何で私のベットに居るの?」寝ぼけて言っていたが。

段々と脳が目覚めてきたら

「きゃーーーっ!」

「どうした?」

「昨日私、シン君と・・・。」

「しちゃいましたね。」笑った。

「あははっはーーっ。」作り笑顔を貼り付けたまま私はシーツをひっぱった。

「何してるんだよ?」

「いやーーッ、何となく、シーツ洗っちゃおうかなって。」又引っ張った。

「シーツなんて洗った事ないだろう。」いって彼女の事を引き寄せようとしたら

「ダメだってーー!」押された。

「チェギョン!!やった次の日は二人はベットで又仲良くするもんだ」

「イヤイヤ、結構です。」と逃げようとしたら。

シーツが見えてしまった。

「あっ。」驚くオレ。

しまったーという顔の彼女。

彼女の体には無数の鬱血の痕が散らばり、オレは彼女の手を掴んだ

手には強く噛んだ跡が。

初めてなお前はオレが入った後、ずーっと自分の手をかじって声を出さないようにしていたみたいだった。

お前の手を優しく撫でてて、「痛かったか?」

首を横に振って笑う。

「バカ。じゃあ、なんで泣いた?顔が泣いた後だ。オレがちゃんと気が付いていたら、初めてで、お前まで気が回らなかった。」

「チェギョン、なぜあんな事言った?」シン君の目が光る。

「ただ、聞いただけ。」

「お前が初めてなら、もっとやさしくできたのに」

「えへへへへっ」都合悪そうに笑う。

「お前の初めての相手は、オレで良かったのか?あんなに無茶な事ばかりさせたのにーー。」

彼女の瞳はだまーーーって、オレの事をみる。

「シン君が気持ちよくなってくれるのなら、私の初めてはいいんだよ。」

彼女の頬に手を当て

「シン・チェギョン。もう1度結婚しよう。少し時間がかかかるけど、待ってて欲しい。」


カレの言葉が私の胸に響く。








「ホラッ、シン君自分の部屋に行ってよ。私、お風呂に入るんだから」体を押された。

「なんだよ、冷たいな。」

「冷たくないです、恥かしいんです!乙女の気持ちも判らない皇子なんて、ダメじゃん!」

「そうなのか?」マジに聞いてきた。

「何回も言わせないこと!」手でシッシッとカレを払う。

「あっ、行く前に。」カレの唇が近づいて来た。

優しく私に重ねる。

チュッ。チュッ。軽い音が部屋に響く。

「今日起きてから、1回もしてなかったから。」ボクサーブリーフを履いて、ジーンズを履いた。

立った位置に朝日の光が当たり、私にはカレの姿が眩しすぎた。

「お前とは、一時も離れたくない、何だろうこのキモチ、自分で持て余している。」ちょっとテレ気味なカレ。

「シン君!早く行って!」

カレは仕方なくゲストルームを出て行った。

「まったく、胸にズキューーンと来るような言葉言わないでよ。」チェギョンの瞳から1粒・2粒涙が落ちた。

「バカ皇子!大好きなんだから。大好きだから、私はあなたの為に選択をする。」

バスタブに湯を張っている時に、鏡に映る自分の姿を見て

「凄い、数。そして泣き止まない私のグチャグチャな顔。」自分の顔を鏡の方でなぞる。

「イ・シンに女にしてもらって、嬉しかった?良かったね、カレは少しでも幸せな気分になってくれたかな?」真っ赤な顔の私は、鏡の自分に問いかけた。

着替えが終わり、いつでもここを出れる様にリュックに教科書達を入れていた。

ドアにノックの音がした。

「はい?」

「オレだよ。」扉を少し開いてカレを見る。

「開けろよ!」

「仕方ないなー。」

扉を開けると、カレは私の手を取り「さあ、食事の用意が出来ているみたいだ。チェ尚官がお前の好きなものばかり、用意してくれたみたいだぞ。」カレは少年のように笑う。

「シン君?」

「何だよ?」急に大人顔に戻る

「さっきの顔、かわいかった!何時もあの笑顔でいてよ」急に真っ赤な顔をしたシン君。

又もや、カワイイ。

「男の顔をかわいいなんて言うな。」

「イヤイヤ、何時もの冷たい目より、絶対こっちのほうがいいよ。」

「いいから!ホラッ行くぞ!」カレの大きな手が私の手を閉じ込める。

私の心臓がドクンッと跳ね上がった。







食事も終わり、段々カレの帰る時間が近づいてきた。

ソファに座る私達の手は繋がれたまま、離れる事はなかった。

「チェギョン、今はいったん離れるけど、1週間位したら、使いの者を寄越す。そのときには「宮」で又暮らすように、スーツケースで来い。」

私はカレの顔を見上げる

「お前をもう1度妻にする為に、オレは頑張るから。」カレの真剣な瞳に、頭が頷く

「見送りしてもいい?」

最初エッという顔をしていたが、「泣くなよ」ニヤッと笑う。

「泣くに決まってるでしょっ!」






空港に着き、時間ギリギリに入る。

ワザと時間ギリギリの方が、皆にばれなくて済む。

カレと私の繋がれていた手が離れていく

名残惜しそうにカレは「待ってろよ!どこにも行くなよ!」

私はカレのオレ様振りに苦笑いを浮かべた。

カレから離れた私の手は、カレに向けて振り出す。

皆に囲まれて歩き出すイ・シン皇太子

一人残された私はただの庶民シン・チェギョン。

カレが搭乗口のゲートを過ぎようとした時に、私は走り出した。

カレの元に辿りつき、背伸びをして

カレにキスをした。自分の思いを込めて。

突然の私のキスに皆ビックリしていた。

まッ、シン君が1番ビックリしていたが。私は踵を翻し走り出した。

カレが私に話しかけようとしたら「時間がないので」コン内官に止められていた。

自動ドアに吸い込まれていくように、カレの姿が消えていった。

「バイバイ、シン君。」私は泣きながらゲートに向かい手を振っていた。







皆様、こんばんは。

いやーっ、こんなお話だったのね。

忘れてました(汗)

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では、おやすみなさい。