オレはせっかくの済州島を自分の部屋から、出ないで過ごしていた。

「私、婚約したの。」

「次に会うときは親友で会いましょう」

チェギョンの声がオレの頭に鳴り響く。好きな女に婚約者がいる。

あの時に手離した大切なヒト

オレは何て、バカだったんだろう。悔しい。


ベットから出る事もせず、一日一日を過ごす。

チェギョンに会えたか?とインからのメールが着たが、無視をした。

ギョンとファンから帰ると言うメールが着た。

返信もせずに携帯の画面を見る。

ベットの横にはチェギョンから送られたマフラーが置かれている。

空ろな目をしたオレはボーーッとマフラーを見ていると、涙がこぼれ始めた。


こんなにも好きになっていたんだ。

一緒に住んでいた日々は毎日が楽しく、何時も笑っていた。

お前が出て行った東宮殿は静か過ぎて、オレ1人だと寂しい。





「シン・・・オッパ・・・。」

ベットの上で泣き疲れているオレを

見に来たヤツがいる。

イ・スンリ

オレの妃候補らしい。陛下に言われて何度か会っている妃候補

「どうしたんですか?こんな風になってしまわれて。」オレの頬に触ってきた。

「触るな!」ビクンッ彼女の指が動く。

「どうしてここまで、入ってきた。」威圧感たっぷりに呟く

「シンオッパに会いたくて、来たの。」

「とっとと、出ていけ!」

「こんなになっているのに、泣いているのなら、私が。」

「オレに触っていいのは、チェギョンだけだ!さっさと行け!」

「シン・チェギョンさん、シンオッパの元妃宮様でしたね。

この間のパーティーにいました。

テレビで見ていた時よりも、数段美しくなっていました。

私には、名前を偽っていましたけど、ご本人でした。

あのお方を引き離したのは、シンオッパなんでしょっ?何で今更あのお方を引きずるのですか。

シンオッパ。私を見て下さい!ずーーーッとあなたの事好きでした。

貴方が結婚したと聞いてた時には、あまりにものショックで、韓国を離れてしまいました。

でも、戻ってきたら貴方の隣には、誰もいなかった。

嬉しかったです。

何度か貴方に会えるように頼み、会う度にもっと好きになっていきました。

私の事を見てくれなかった貴方

それでも好きです。

こんなに好きな貴方が一人で泣いているなんて、黙って出て行くなんて出来ません!」

「出ていけ!」

「出て行きません!」

「オレの前からいなくなれ!」

「シン・チェギョンさん、パーティーの時素敵なお方と一緒でした。恋人でしょうか?オッパが昔に囚われている時に、彼女は前に進んでいます。

彼女は知ってます。

廃妃と言う言葉がどういう事を。

もう2度と貴方と交わる資格がない女だって事を。

私は今まで、貴方が振り向いてくれるのを,黙って待っていましたが、もう待つのを止めました。」

スンリは姿勢を正し、自分のワンピースに手を掛けた。

ボタンを外しワンピースを脱ぎ、、真っ直ぐにオレを見つめる。

「私を抱いて下さい!今日はシン・チェギョンさんを忘れる道具でも構いません!

私は貴方の為なら、どんな事でも致します!」


真剣な目とオレの目は交わって、瞬きも忘れていた。






二人の目が向かい合って暫くの時間が過ぎた時、オレから口が開いた。

「お前の勇気は判った。ただのお嬢様だと思っていたが・、凄いな。」


ベットの上のオレは上半身裸で、スンリと向き合う。

「お前の気持ち理解できる。好きなヤツの為なら、どんなことでもしたいよな。」

「そうです!例え、どんなに嫌われようが。身をもって伝えないと。そのお方には伝わりません。」スンリの瞳から涙が出る

ベットから降りて彼女の元に立つ。

下に落ちているワンピースを持ち彼女の体を隠してあげた。

「イ・スンリ!お前の気持ち、ちゃんと受け取った。オレも何度でもチェギョンにぶつかってみる。そうだよな。

婚約しただけだ。結婚はまだしていない。」

「シンオッパ。」彼女の頭を撫でて

「女のお前にここまでさせて、目が覚めた。」

「オッパ、私の裸見ても。」

「すまない、オレチェギョン以外何とも思わないみたいだ。」

「自分で言うのも何ですが、自信はあったのに。」

「本当は男だったら、皆お前の体にやられると思うが、オレは天邪鬼って言われていたから。チェギョンに毎日な、」軽く笑った。

「じゃあ、諦めが付きます!」

「イ・スンリ!オレはもう行く。アイツのとこに行かないと。」

「頑張って!シンオッパ。私ももう行かないと。」体の向きを変えた。

「オイ、着替えてないだろう!」止めた。









食堂の忙しい時間が過ぎて、一休みしていると。

魂が抜けたようになる。

チェギョンはテーブルに顔を埋め、溜息を付いた。

シン君。シン君・・。

久し振りに会っただけなのに。

シン君の事思い出すだけで、胸がギューーーッとなる。

廃妃になった私なんか、相手にしない方がいいのに。

二度とあの宮には、いらないってハンコ押された女なんか。

「チェギョン、お前この間から変だな?」

「そう?」顔も上げずに言った。

「いつもの元気はどうした?」

「きっと、オッパに会ってないからだよ。」

「そう言えば、来てないな、ムンさん。」

「オッパと話してると元気が出るのに。」

「大変だよ!大変!!」チェジュンが食堂に入って来た。

「なんだよ、騒々しい。」パパが怒る。

「だって、兄貴が!兄貴が来た!」

「兄貴って、あんたに私しかいない。」


食堂の入り口に、黒い革ジャンに黒のパンツを履いた皇太子が立っていた。

パパは「皇太子殿下」イスから落ちた。

慌てて近寄るカレは「大丈夫ですか?義父君!」

テーブルに顔をつけていた私は、そのまま驚いて何も言えなかった。

カレはチェジュンに向かって「オレの事まだ兄貴って言ってくれるんだな、お小遣い欲しいか?」左足のポケットから財布を出した。

ハッと気がついた私は「ちょっとーー!そこなにやってる!」慌てて二人の間に入った。

「いやーーッ久し振りに会った弟にお小遣いを!兄として当たり前のこと。」

「そうそう!流石俺の兄貴。」

「コラッ、調子に乗るな!」チェジュンの頭を叩いた。

「なんだよ!殿下は俺の兄貴なんだよ、ブタが別れても。」ポツリと言った。

「チェジュン。」何も言わず家の奥に入っていった。

「チェギョン。」

「何しに来たのよ!なんでここ判ったのよ!?」後ろ向きで聞く

「インに聞いた。インの従兄弟の口を割って聞きださせた。」

「酷いわ。皇太子の特権を使うなんて。」

「お前を得る為なら、皇太子って特権も使う。」

「私には、婚約者がいるのよ!」

「そうだな、オレは今日そいつと対決しようと来たけど、架空の婚約者だから、どこにいるんだ?シン・チェギョン。」

カレの声が近くで聞こえる。

私の両腕を捕まえ「チェギョン。存在していない婚約者とどうやって対決したらいいのか、教えろ。」優しい声

私の目から、涙がボロボロ出てきた。






皆様、こんばんは。

眠いです。おやすみなさい。