オレの前には最後に会った時よりも、綺麗になったチェギョンがいた。

眩しい光を浴びてオレの傍に来たお前。あの頃の面影が無くなり、オレは少し不安だった。

でも、ニッコリ笑ったお前の笑顔は前と変わらなかった。

イヤ。変わった。笑顔が眩しすぎて、直視出来なかった。




昨日、インからの突然の電話。

「シン!明日空いてるだろう?」

「なんだ!?突然。」

「明日、チェギョンに会え!」

「・・・・・。」

「オイ、聞いてるのか!?」

「オレの聞き間違えか?」

「イヤ、本当だ。明日チェギョンをお前のとこに行かせるから。お前の気持ち、ちゃんと伝えろ。」

「・・・・。」

「オイ!シン!聞いてるのか」オレはインが話しているのも、聞こえずにボーッとしていた。

ようやく気が付いたときには、電話は切れていた。

オレとした事が。

チェギョンに会える。その言葉だけで、こんなに嬉しいなんて。

苦笑いを浮かべて、あの日に戻ろう。

チェギョンを手離した言葉

間違った選択をしてしまった、バカなオレをやり直す為に








「シン君!久し振り!」

「・・・。」

「おーーーい!?シン君。怒ってる?」

1年も会っていなかったのに、普通に話し始めるお前

「当たり前だ!オレの前から急にいなくなったんだ。心配するだろう?」

「ゴメン!」手を擦り合わせるお前。

「許さない!」

「やっぱり、最初の頃のイジワル皇子に戻ってしまったんだ。」

「オイ!」

「あははっは。冗談だよ。でも、本当にゴメン!」

オレ達は1年のブランクがなかったように、自然に話をしていた。

やっぱり、お前と話していると楽しい

1年前は身近にあった幸せが、どんなに大切かを知らなかったバカなオレ。

毎日、後悔して過ごしていた。

「誕生日、おめでとう!シン君。もう20才だね。そろそろ、即位するの?」

「そうだな。」

「シン君だったら、大丈夫!!立派な皇帝になれるよ。」ニッコリ笑う。

眩しい。眩しい・・・。

お前を「宮」から出してしまった後、オレは一人でお前の気持ちを育ててきた。

記憶の中でのお前は少年っぽい姿だった。

なのに。今は髪が伸び、少し痩せて大人顔になっていた。








他愛もない話をするオレ達

今この時間が止まればいいのに。

「失礼致します。」チェ尚官が女官2人を連れ現れた。

トレーにケーキが並び、お茶のセットが並んでいる。

「チェ尚官おねーさん!それにオネーサン達!」チェギョンは思わず立ち上がり、3人の元に近寄った。

「久し振りーー!」手を握った。

まだ仕事中なのに・・、突然彼女に遮られてしまい、困惑している顔。

「チェ尚官、いいですよ。チェギョンの相手してやってください。」チェギョンの頭に手を置く。

殿下からの了解を得た4人は再会を喜ぶ

「シン・チェギョン様、お久し振りでした!お元気でしたか?」

「チェオネーさんったら、私は今は庶民なんだから、様は付けないで!チェギョンでお願い。」笑う。

「でも・・・。」

「チェオネーサンたらっ、ほら、チェ・ギョ・ンって!」

あの真面目なチェ尚官が「チェ・ギョ・ン。様。やっぱりダメです!」

あとの二人も「私達にとって、シン・チェギョン様は妃宮様だったお方、呼び捨ては出来ません。」

彼女は呆れた風に「まったくオネーサン達は古いんだから!それに、妃宮じゃなくなって1年経ってるんだよ。もう、忘れないと。」頬が赤くなる。

チェギョン。

「すみません、さがって下さい。チェギョンに話があるんです。」

皇太子に命令を受けた3人は、静かにこの部屋を出る。

「チェギョン、座れ。」彼女は素直にイスに座った。

「インにオレに会えって言われただろう。」

「うん。」

「オレはお前に1年前から伝えたい事があったんだ。」

「・・・。」

「オレは陛下に選択を言われた時、間違った選択を選んだ。」

「シン君!」

話の途中で、彼女の声が入り込んだ。

「私、婚約したんだ。」

「えっ?」

「ここの島に来て出会った人と、婚約したの。とってもいい人なの、笑顔の優しい人、それにイケメンなの。」

「ウソだろう?」

「ウソじゃないわ。今日ここに来たのは、親友イ・シンにこの事を伝えようと思ってきたの。だから、ほんとイン君にあえて良かった。」

「チェギョン、オレをからかうのは止めろ。」

「本当のこと。」テーブルの下で彼女は自分の手を強く握りしめた。

「あの時、廃妃を選んだのは貴方。自分の意思で決めたの。」

「だから、後悔した!廃妃を選んだ自分を恨んだ。だから、もう1度オレと東宮殿に。」

「親友として?住むの?それだったらお断りです。」

「いや、オレの妻として!」

「廃妃にした女をもう1度妃宮に、国民が許すはずがない」

「オレは今でもお前の事。」

「シン君・・、確かに私はあなたの事好きでした。いつかは振り向いてくれるかなと、勝手に好きになっていました。そこの恋も廃妃と共に泣きながら、ようやくシン君への想いを忘れようとしている時に、今の婚約者の人に出会ったの。」

「今は私はこの島で、幸せに暮らしています。」

「チェギョン、オレの気持ちは!」

「私の親友イ・シン・次の妃宮は自分の好きな人にしてね。」

「ようやくお前に逢えたのに。ちゃんとオレの本当にキモチ伝えようとしたのに。」涙が一筋一筋流れ始める。

「ありがとう、1年経ったけど、シン君の気持ち嬉しかった。あの時、二人の気持ちが一緒だったら、良かったのにね。じゃあ、キモチが落ち着いたら、親友として又会いましょう!」彼女は手を差し伸べた。

泣いているオレの手を無理矢理引っ張り、震えている手を重ねた。

「じゃあね、シン君!幸せになって!」彼女はこの部屋から出て行った。



この広い部屋にただ一人うずくまるイ・シン

涙が止まる事はなかった。





皆様、こんばんは。

さてシン君、振られちゃいましたねー。

続きはどうなるのかしら?

コメント、いいねボタン何時もありがとうございます!

では、おやすみなさい。