突然泣き出した彼女に、私はオロオロしていた。

「大丈夫?」

涙を高そうなハンカチで拭いて「すみません、急に泣いてしまって。」充血した目は彼女の事をますます、可愛く見せる。

この顔に惚れない男はいないわ

だって私までこの子の事、守ってあげたくなってしまう。

あの堅物シン君だって、そこが良くて付き合っているんじゃない?

「何か。辛い事があるの?」ゆっくり微笑んで聞いた

「大丈夫です。ごめんなさい。さっき合ったばかりの人なのに。もう、わたしって、ほんとこれでシンオッパのお嫁さんになれるのかしら?」可愛らしく言う彼女。

「・・・・・・。」私の顔が固まる

そっかー、そこまで話進んでいるんだね。

私の時は、あたふたと結婚してしまったが、やはり2回目は慎重なんだ。

ボーッとしている私の肩を誰かが叩いた。

「こんな所にいた。探したぞ、チェ・・ッ」私はオッパの腕を掴み後ろを振り向く。

突然の行動にオッパはビックリしていたが

「いい?今だけは私はク・ミホって事にしておいて。」小さい声でカレの耳元に囁く

「何で?」

「何でも!オッパ、わかった?」

小さい声のオッパは「オーケー!!」と呟き、二人同時に振り向き

「ク・ミホ。紹介したい人がいるんだ。」彼は言う。

「判ったわ!じゃあ。すみません。」彼女に向かって、頭を下げて歩き出した私。

彼女の視線が、私を見ているのを感じながら、妃宮教育で身についた歩き方で、堂々と歩いて行った。

「チェギョン、訳ありか?」と小さい声

「オッパ、そうなの。さっきはどうもね」

「チェギョンの為なら、何でもする。」

「フフッ、強い味方が出来たわ。」彼の差し出す腕に自分の手を掛け、仲良く歩き出す。

人を掻き分けながら、前に進んでいくと

「あっ、いたいた。チェギョンに逢わせたいヤツがいるんだ。俺の従兄弟で」

目の前には背の高い、高そうなスーツを着て後ろを向いている人が立っていた。

私はオッパの従兄弟に紹介させると言う事で、緊張した顔で立った。

「カン・インだ。」

振り向いた男の人は、イン君!

あまりにもビックリしてしまい、ボーッとしていると。

「おいおい、チェギョン!コイツに惚れるなよ。コイツはオンナを泣かせてばかりで。」オッパが笑って話していると。

イン君は最初、私を見ても何も感じてなかったけど、名前を聞いた途端。

「チェギョン!!!!」私の肩を掴んだ。

「イン、俺のパートナーに何する」割り込んだ。

「悪い、兄貴、こいつの事借りる。」私の手を掴み走り出した。

「イン君、手が痛いよ」訴えるが、彼は無言を通す。

そして誰もいない所に着たら、私の手を離した。

そして、ジロジロとわたしを見た。

「オンナって、ほんと変わるな。」

「・・・・。」

「シン・チェギョン、お前だって判らなかった。」

「・・・・。」

「お前がいなくなって、シンが探していた。」

「・・・ごめんなさい・・・。」

「お前がいなくなって、シンは前より無愛想になった。」

「えっ?」

「お前といると毎日笑っていたヤツが、いなくなった日から笑わなくなった。あっ、笑うときもあるな、フッとバカにしたような笑いをなっ。」

イン君の言葉を聞いて、前の無愛想な皇子に戻ったしまったカレ

親友としてこの間あげた誕生日のマフラーはきっと捨てられてしまったんだろうなっと思った。





「とにかく、1回アイツに会え。」

「・・・・。」

「親友なんだろう?」

「そうだよ!あの皇太子様が認めた親友なんだ、凄いでしょう。」笑顔で言った。

「だったら、なんで逃げた?親友だったら、アイツの傍で楽しく暮らしていれば良かったの。」

「・・・・。」

「オレは男と女でも、親友と言う関係はありだっ!と思っているけど。」イン君は意味ありげに笑う。

「親友と言う言葉。重いねー。だって、オンナとして興味がないってことだよね。」チェギョンはポツリと言った。

「悪い意味ではな。」

「廃妃が決まって、色んな書類にサインを書かされ、そして身内だけでの行事。

毎日夜一人で泣いてた。

カレの傍を離れるのがイヤで。でも、カレが選んだ選択。

その頃の私って、顔は笑っていたけど、心はもうグチャグチャだったんだ。」

「幼い私は、初めて知った恋の辛さに耐えれなかった。」

「チェギョン。」

「でもね、今は大分落ち着いたよ。この済州島に来て、家族4人むしゃらで働いて、色んな人達と出会い楽しい。

オッパがね。とても良くしてくれるんだ。いつも、私の欲しい言葉で、甘やかしてくれる。

彼がいてくれたから。私は今こうして、笑ってイン君と笑って話が出来る。

オッパは年上だから、私なんか相手にしないと思うけど。

今私にとって、大切な人はオッパなんだ。

だから。廃妃で良かったと思えるようになってきた。

親友でいいじゃない!一生カレの心に、親友としていられるんだから

最高じゃない?

だから、勇気を出して誕生日プレゼントあげたんだ。

シン君、怒ってなかった?

でも、元のカレに戻ってしまったのなら、捨てられてよね。」寂しく笑う。

「チェギョン、とにかくアイツに会ってくれ!会って、シンから話を聞け!なっ?」

「アイツ、ここに来てるから。」

「そうだよねー、やっぱり誕生日は済州島で過ごすんだ。彼女さんもいるもんね。」

「えっ?」

「さっきそこのパーティーにいたよ。すっごくカワイイ妃宮候補NO,1.ありゃー、シン君もベタ惚れだよ。彼女となら、幸せな結婚が出来るよ。」ニッコリと笑った。

「明日、とにかくアイツに会え!ちゃんと、アイツと話し合え。
アイツの本当の気持ちを聞いてやれ。」

「イン君?どうしたの?そんなに焦っちゃって。

判ったから、明日シン君と会うよ。ちゃんと、親友からの言葉で祝ってやんないとねっ。」

彼女の無邪気な笑顔に、もうシンへの想いがなくなっているのに、俺は焦りを覚えた。





皆様、こんばんは。

今日はバイトがお休みなので、何時もの時間より早めの投稿です


で、もう眠いです、皆様、おやすみなさい^