「オレ、もうお婿にいけない。」

カーテンの隙間からは、白い光が見える。もう朝の時間だ

ノロノロとチェギョンの隣に横になる。

「なんでお婿にいけないの?」荒い息を整えようと深呼吸を繰り返す彼女。

「シン・チェギョンに、オレの全てを見られた。奥の奥まで見られたんだ。責任取れよ。」笑う。


「責任取れってまったく。私こそ、もうお嫁にいけないよ。責任とってね。」

二人の目が合い、ぷーーーっ!と笑い合う2人。

彼女は体を起し、オレの額に手を置く

「もう、熱はないわ。」

「チェギョンのおかげで下がりました。今度から熱でたら、昨日の方法でお願い致します。」口元を上げた

「シン君のバカーー!」胸をポカポカと叩く

黙って叩かれているなんて、みっとも無い

オレは彼女の動きを羽交い絞めして、上から見下ろす。

お互い暫くの間顔を見つめていた。

彼女の顔が段々と赤くなっていく。「そんなに見つめないで。」

「なんで?オレはお前の事見ていたいけど。」

「だって、カッコ良過ぎで、見られていると恥かしい。」顔を背ける

彼女の意外な言葉にオレはボーッとなる。

カッコ良過ぎッて、オレの事ですか?(照)

だけど、彼女に悟られないように、淡々と話す。

「オレが小学生の高学年の頃、両親の仕事が多くなり、家に一人でいることが多くなってきたんだ。家政婦さんは居たけど、時間になれば帰って行く。

オレは、誰も帰ってこないこの家で過ごしていた。

シーンとしている部屋。

昨日見たく、急に熱が出ても一人で対応しないといけなかった。

誰か傍にいて欲しい。父さん、母さん傍にいて欲しいって、泣いていた。

だから、今度皇太子になる件なんだけど、少し嬉しいんだ。

ユルはプライベートがなくてイヤだって言っていたけど、傍に誰かがいてくれる。

それだけで安心する。

まっ、あんまりプライベートがなくなると、嫌気がさすかもしれないけど。

オレはユルの代わりに皇太子になる。

お前は、皇太子妃を選ぶかどうかは、お前次第だ

一般の家庭で育った人には「宮」と言うとこは理解しがたと思う。

でも、オレはお前の事好きだ。ずーっと傍にいて欲しい。

出来る事なら、皇太子妃になってくれたら、嬉しい。」

急に彼女はベットの横に落ちている服を拾い上げ、スマホを取り出した。

そして、電話をかけた。

「あっ、朝早く済みません!シン・チェギョンです。キム内官さん、私、皇太子妃の件、お受けします。もうお話進めてください」電話を切った。

「チェギョン。」呆気にとられるオレ

「さっきも言ったでしょう、もうお嫁にいけないって。シン君が責任取ってよね」オレにキスをする。

「オレも他のとこにお婿に行けないから、責任取れよな」キスをする。

そして、お互い見つめあい、手の平を合わせ指を絡ませて

「「一生宜しく」」キスを交わした。








オレはミン・ヒョリンにメールをする。

話があるから、何時ものカフェに来て欲しいと。

判ったわという返事を貰い

チェギョンにも告げる。「今日、ミン・ヒョリンに会う。ちゃんと話を付ける。」

「シン君。」学校に着き、車から降りたオレ達は、手を繋ぎ合わせる。

「大丈夫。それにチェギョンも来るんだろう。」

「うん、バイトのお金貰いに。」

「心配するな」カレは私を抱きしめた。

「こらーーーッ、先生に怒られないように、カバン持ってきてあげたのに。何イチャイチャしてるのよーー。皆が目のやり場に困ってるわよ!」ガンヒョンが睨みつける

「ガンヒョン!シン君の事怒らないで。」頼む

「フン!」私のカバンを引き渡し、廊下を歩きだした。

2人で廊下を歩き始めると

「シン!はよーー!」とギョンとインが声を掛けてきた。

「あっ、チェギョンだったよね、おはよう」インも挨拶をした。

「よっ!」

「おはようーー!」オレとチェギョンは挨拶を返す。

インの目はチェギョンを追う

「オイ、チェギョンが色気だしまくりだぞ」インがシンに耳打ちする。

「それはヤバイな。今度からは朝までは止めよう。」ボソッと言う。

「オイ、オイ。程ほどにしないと。」あきれ返る

「チェギョンって、可愛いなー、どう?シン何か止めて、オレと。」ギョンがチェギョンに言う。

「こらっ!ダメだ!チェギョンはオレの妻になる。」

「・・・・・。」オレは固まっている2人を見る

「えーーッと今何か言った?」

「オレ、今度ユルの代わりに皇太子になるから。そしてチェギョンは皇太子妃になる。

宜しくな」2人は手を繋ぎ歩きだした。

インとギョンは顔を見合わせ「えーーーッ!」叫んだ








ヒョリンと何時もの待ち合わせのカフェで彼女を待つ。

トレイにコーヒーを載せた彼女がオレの席で止まり、カップとソーサーを置く

「ヒョンのヤツ、最後の最後までこき使うのか?」

「いいんだよ。お世話になっていたから、それにバイト代貰っちゃたから。」ヒョンを冷たい目で見ると。可愛らしく手を振っていた。

「ヒョン、何カワイイらしくしてるんだ。」冷たい語調で言う

「じゃあ、行くね。」彼女は去った。

約束の時間が過ぎて、ようやく彼女がやって来た。


「シン!お待たせ!」ヒョリンはシンの向かいの席に座った。

「シンからメール貰って、嬉しかったわ!やっぱりあの子より、私のほうが良かったって思い直してくれる筈だって。」ニコニコ言う

「ミン・ヒョリン、ゴメンな。」

「っ。」カレからの予期せぬ言葉にヒョリンの眉間が寄る

「オレ、ちゃんとミン・ヒョリンに言ってなかったから、申し訳なかった。オレのプロポーズを断れたから、別れたもんだと思っていた。軽はずみだった。本当に済まなかった。」カレは頭を下げた

「シン!本当にあの子のとこに行っちゃうの?私達2年も付き合っていたのよ。

忘れられないわ。」彼女は言った

オレはカウンターで心配そうに見守っているチェギョンをここに呼んだ。

彼女はチェギョンを見て、驚く

「貴方どっかで見た事があると思ったいたら、ここのウェイトレスの人。」チェギョンは頭を下げた。

「ミン・ヒョリン。オレは今度ユルの代わりに皇太子になるんだ。それにチェギョンは、皇太子妃になる。もう、決定してしまった事なんだ。」シン君は申し訳なさそうに言った。

「えっ?シン!?皇太子殿下になるの?」

「そうなんだ。もう「宮」の中に住み始める。」

ヒョリンは急に立ち「シンが皇太子殿下になるのなら、話は変わるわ。皇太子殿下のシンには興味がない。」笑う。

「はい?」

「私は義誠君殿下のイ・シンが好きだったの。皇太子殿下のシンをムリヤリ奪ったって、私が皇太子妃なんて嫌よ。バレエが出来なくなるわ!と言う訳で、チェギョンさんだっけ、私はこれで失礼するわ。」綺麗な笑顔をチェギョンに向けた


チェギョンのバックからはみ出ているマフラーと手袋を見て

「これ私がシンにあげたやつだわ。全くデリカシーがないわね。チェギョンさん、ちゃんと買ってもらいなさい」踵を翻した。

「ヒョリン、我侭だな。」オレはポツリと言う

「そこが良いって、昔の男が言ってたわ。」手をヒラヒラさせてカフェを出て行った。

拍子抜けした彼女はヨロヨロと腰を床に着いた。

「ハーーーッ、どうなるかと思った。」息を吐く

オレは彼女を抱き上げ「アイツの我侭に助かった。もう家に帰ろう。」彼女の胸元に顔を埋める


「こらーーーッ、シン!お前、さっきの人と別れてなかったのかーー!」凄い形相のヒョンが立っていた。

「お前、チェギョンを泣かせるなって言っただろう!」

「だから、ちゃんと別れたって!」言い訳をしてもヒョンは、チェギョンを抱いているオレのオデコに、強烈なデコピンを食らわせた。

余りにも凄すぎる威力にオレは、立っていられなくなりバタッと倒れてしまった。

「シン君!シン君!大丈夫!?」彼女の声が段々聞こえなくなっていった。






2人で「宮」の中で生活するようになり、色んな勉強を教え込まれていた。

オレは義誠君だったと言うこともあり、覚える事はチェギョンに比べたら少ない。

でも、彼女は一からの勉強なので、毎日苦しんでいた。

婚姻前なので、2人別々の部屋を貰ったが、オレは毎晩彼女の部屋で過ごしていた。

勉強も教えつつ、体のほうも大分慣れてきて、痛がることがなくなっていた。

毎晩彼女を抱きしめ眠る喜び。

彼女の柔らかい肌に触れると気持ちが良くて、ずーっと触っていたい。

何だろう、この柔らかさ。

どんな高級な寝具よりも数段上の極上の肌。

眠る時間を削っても、この感触を味わいたい。

でもこの間、チェ尚官がオレに言いにきた。

「殿下申し訳ございませんが、シン・チェギョン様に睡眠時間を与えてください。」と深々と頭を下げた。

「・・・・。」汗

「シン・チェギョン様は勉強の時に、時々居眠りをしてしまい、勉強が遅れ気味です。

殿下、なにとぞご理解お願い致します。」頭を下げたまま言っていた。


真面目な彼女が皇太子になったばかりのオレに言うと言う事は、余程の覚悟の上だったんだろう。

「判りました。努力してみます。」了解した。

彼女の体を貪るように毎日を過ごしていたオレ。

まるで初めて経験した時のように、彼女を求める。

努力はするけど、無理かも。

あの声、あの肌、そして繋がった時の気持ちよさ。

溜息をつき、ソファにも垂れる。

「シン君ーーー!」ハイヒールの音を鳴らし、彼女がオレの部屋に入って来た。

皇太子妃になろうしている彼女は、日々綺麗になっていく。

毎日、チェ尚官や女官達に磨きぬかれていく彼女は、眩しい光に包まれてオレの前に現れる。

「やっと、今日の分終わったーー!」ソファに横になっているオレの上にダイブしてきた彼女

「オイ!」

「エヘヘヘッ。だって、シン君に会いたかったんだものーー」

「・・・・。」

「早くシン君に釣りあえる為に、いっぱいお勉強してきたんだもの。シン君が足りません。シン君を充電させて。」オレの胸に顔を寄せる

チェ尚官。努力はしてみます。努力は・・・。

オレの手は彼女の体を引き上げ、軽くキスをする。

「幸せ!」オレにチュッという音をさせキスをする。

くっそーーー!オレの理性がんばれーーー!

「シン君、女官のオネーサン、チェ尚官さん、コン内官さん、皆がシン君の事、褒めるんだよ。

皇太子として、素晴らしいですって。自分の事言われたみたいに、嬉しいーー!そんな人の皇太子妃になるんだもの、もっと勉強しないと。

後ね、女官のオネーサン達が、何でもテキパキとこなしていく姿に惚れますって。それで密かにファンクラブまで作り始めたんだって。嬉しい反面、複雑。

ここでそんなに人気が出てしまったら、国民の人たちだってーッ、皆好きになっちゃうーー。」一人百面相のようにコロコロ変わる顔を間近に見ているオレ

チェ尚官、ごめんなさい。

彼女の体勢を換え、上から彼女の顔を見る。

「オレはお前の事心配!男ども皆、お前の事見るんだ。

オレの妻になるチェギョンの事、ポーッとした目で見るヤツ達を睨むんだ。オレ、お前の事好き過ぎて、おかしんだ。」弱く笑う。

「じゃあ、お互い様だね!私もシン君の事になると、可笑しくなる。」顔を近づけてキスをした。






儀式が終わり皇帝陛下と皇后、ユル、オレ、チェギョンと集まり、今日の儀式の事を話し合った。

「全く、チェギョン、君って面白いねー。大統領の頭に頭突きをさせるなんて。」皇太子じゃなくなったユルが笑う。

真っ赤になり「すみません!」頭を下げる。

「ユル!笑うとは、失礼ですよ。皇太子妃、あれは本当に重いですから、気持ちは判ります。」皇后が言う。

「でも、皇太子が直ぐに助けた時には、感心したぞ!」陛下が言う。

「そうですね、あれはあれでいいかと。」皇后が頷く

「シンもやるね!何事もクールの君が、慌ててチェギョンの事助けるんだから、国民達の好感を得るよ」

「好感を得るためにやったんじゃないよ。妃宮の為なら、何でも助けてやりたい。」彼女の手を握ってみつめる。


「オイオイ、シン!本当にあのシンなのか?」ユルの目が開く

「好きな人が出来ると、変わりますね。」皇后は笑う。

「全くだ」陛下が笑う



婚姻のパレード用の馬車が、皇太子と皇太子姫に1台ずつ用意されていたが、オレと彼女は目を合わせ

「すみません、2人で乗ってもいいですか?」オレはコン内官に聞く

少し驚いたコン内官だが「殿下の仰せのままに。」頭を下げた。

オレは彼女を乗せてやり、手を繋ぎ安心する。

彼女の温かい手を取り、これからも誓う

「ずーッと傍にいる」手の甲にキスを落した。


馬車は国民の前に現れ、一つの馬車に乗り皆に手を振る2人の姿があった。





皆様、こんばんは。

彼女とオレが出会った理由、終わりました。

いやーーっ、お話またもやすっ飛ばしました。

1話丸まる大人の話でーっ。(汗)許してください。

では、次はどれがいいのか選びますね、

では、コメント、いいねボタン有難うございました。

おやすみなさい。