私は窓辺に手を当て、景色を見ている。

カレは、いつもと様子の違う私に戸惑う。

「シン君、私の事好きですか?」勇気を振り絞り、ようやく聞こえる声でカレに問う

私の声が聞こえたカレは

「お前はオレの妻だ。何を不満に思う?」肩に手を置こうとした。

肩に手を置かないで。私の辛い思いは、又態度に表れた。

カレとの距離ができる度に、心の距離もできる。

「・・・。」

只好きという簡単な言葉が、欲しかった。

ガラス越しにカレの顔を見つめる。

遠くの方で雷が光り始めた。それは光だけで、音はここまで聞こえない。

私は雷が苦手なのだが、光だけなら。

でも、遠くで光る度に体がビクッとなる。

「オイ、雷苦手だろう?」

カレとの初めては、雷が鳴り響いている嵐の夜だった。

風と雷の音に紛れて、私達は一つになった。

その頃の私達は変な関係だった。

急に夫婦になりケンカばかりしていたが、あの嵐の夜に2人の関係が変わった。

急にカレの事を男として見るようになり。

カレも又、私の事を女としてみるようになった。

正式に認められた夫婦何だから。毎晩、体を求め合う。

求め合う度に、私はカレに恋をしていった。

私がカレに好きという言葉を、言うのには時間が掛からなかった。

毎日が楽しかった。

好きになった人と夫婦になれて、何時も一緒に。

毎晩抱き合いながら眠りにつく、幸せ。

でも、今気がついた。

カレから一言も、好きと言う単語を聞いた事がなかった。




カメラマンのおじさんが言っていた言葉。

殿下にちゃんと話をなされては?

勇気を振り絞りカレに聞いてみたが。

玉砕。

その言葉は、遠くの空で光り続けている雷に打たれてしまったように、粉々になった。

私は只、恋に恋していただけ?

誰にも頼る事の出来ない「宮」の中で見つけた、シン君との幸せは、本当の幸せじゃなかった。

お互いの寂しさを埋める為に、寄り添っていただけ?

急に寒気が体中を駆け巡る。

今までの幸せを、体が拒否し始める。

「オイ、体震えてるぞ。」

「あっ、窓際に立っていたから、ちょっと寒いね。もう戻ろう。」引きつった笑いを浮かべてしまう。

「チェ尚官を呼ぶ。」

「大丈夫だよ!こんなの平気。平気だよ、シン君!」プリンセススマイルを作る

会場に戻り、公務をちゃんとこなした私は、「宮」に戻る車の中にいた。

作り笑顔をし過ぎた、お陰で今日はどっと疲れた。

つい、ウトウトとしてしまう。

でも、ちゃんと東宮殿に帰るまでは、妃宮として頑張らないとね。

眠い目を擦り、車の中で背筋を伸ばし、座りなおした。

「オイ、公務の帰りは何時もオレの膝の上で寝てたろう?」

「今日は眠くないんです。」笑う

「オイ!今日は何か可笑しくないか?何時もと違う。」

「全然、おんなじです。」プリンセススマイルを貼り付けた。




突然聞こえ始めた雷鳴

走っている公務車にも響く地鳴り

雷鳴と共に、雨が降り出してきた。

まるで、私の心のように天気が荒れだした。







皆様、こんばんは。

こんなお話だったんだーと、又驚いております、

シン君が一言言ってくれれば良かったのにね。

まーっ、そんな不器用なシン君のことが大好きなんだけどね、( ̄▽ ̄)

では、明日もアップできるよう努力いたします。

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おやすみなさい。