熱さましの薬を飲んだ私は、夜に凄い汗をかいた。

「汗かいて、気持ち悪い。」ポツリと言った言葉は、カレの耳に届いた。

「着替えとシップ張り替えるか。着替えどこだ?」

スーツケースを指差し「シン君あそこに入っているから、持ってきてちょうだい。」

カレは中からパジャマを取り出し、台所にたった。

「ちょっと待ってろ、お湯で体拭いてやるから。」

「はっ?いいよっ。着替えるだけでいい。」

「何言ってるんだ、又熱が上がるだろ。」ボウルにお湯を入れ、カレはタオルと共に持ってきた。

「さっ、さっとやってしまおう。」言いながら、掛け布団を剥いだ。

「マジ?」

「そっ、オレは背中拭くから、お前は前をやれ。」

「なんだー、心配しちゃった。」

「当たり前だろう、前なんて拭いたら、止まらなくなる。」私の体を起こしながら、着替えを手伝ってくれる。
「ホラッ、もう拭いた。」背中を拭き終わったカレは「さっぱりしただろう?」

「うん!じゃあ、私も拭くかっ。」とタオルを使って拭き始めた。

カレが何もしてこないのに、安心して私はゆっくりと拭いていた。

するとカレの顔が私の肩に乗る。

「チェギョン。」

「!!」慌てて服を掻き集めて、胸元を隠した。





あの時と同じだ。お前が熱を出して。誰にも教えないでって言った日。

お前の着替えを手伝って、お前の体を見た。

あの時からお前の体が目に焼きついて仕方なかった。

それなのにお前は「宮」から逃げてしまった。

「逢いたかった、逢いたかった。」

カレの低い声が私の肩に響く。

「ずーーっと探してた。お前に逢いたくて、お前とちゃんと向き合いたくて、もう1度やり直したくて逢いたかった。」

私の肩に優しく唇を押し当てるカレの想いが、私の体に沁みこむ。

「シン君。」私の声に気が付いたカレは、慌てて離れた。
「悪い、もうパジャマに着替えないと。」テキパキと着替えを手伝い、私を布団に寝かせた。

チェギョンの前髪を横に流して「もう寝ろっ。」

「シン君も一緒に寝ようよ。」お前は俺を誘う。

「だって、大分熱も下がったし。それに布団一つしかないのに、どうやって。」

「判ったよ。」と深い溜息を付きながら、中に入る。

オレの腕にお前の頭を乗せ、抱きしめながら目を瞑る。

「ねーっ、私の初めてのキスはシン君にあげちゃったから。私の初めての相手になってほしいな。」まだ頬が赤いお前は。

オレに留めの一発を入れた。

くッそーーっ、今日は眠れないぞーー!ムクゲの花は何百いくんだ?









次の朝、携帯の着信が鳴った。

「・・・はい・・・・。」朝の声は掠れている

「判りました。出来るだけ早く準備します。」枕に頭をのせたまま、話をしていたオレ

「起きろっ。迎えが来た。」目が覚めたお前はまだボーーッとしていた。

「チェギョン、早くしないと、皆ここに入ってくるぞっ。」脅かした。

「えっ!?」オレの言葉にだまされたお前は慌てて起き上がった。

「ッて言うのはウソだ。さっさと起きろ。チェ尚官が外で待ってる。」布団から起きたオレは、チェギョンの肩にオレのジャケットを掛けた。

「シン君!」チェギョンが何か騒いでいるみたいだけど、気にせずに電話を掛けた。

すると、外で待っていたチェ尚官が着替えを持ち、頭を下げていた。

「オネーさん!」
まだ熱のあるチェギョンは無理して、飛び出そうとしていたが、俺に止められて頬が膨れ始めた。

チェ尚官から着替えを貰い、チェギョンの簡単な着替えをさせ、オレは自分の着替えを始めた。

随分ときていなかったスーツに着替えると、身が引き締まる。

一人アホ顔でボーッとしているお前

「惚れたか?」と口元を上げ言った。

「ますます、惚れてしまった!」とニコニコ顔はデレーンとなる。

その顔をマジマジと見て。

何でオレって、こんなヤツに惚れてしまったんだろう。

スーツにトレンチコートを着て、チェギョンに毛布を掛けてやる。

毛布にくるんだミノムシ状態のチェギョンを、抱き起こし話しかけた。

「家に帰るぞ!戻ると色んな事があるかもしれない、それでもオレがお前を守る。
何でも二人で乗り越えて行こう。」

カレのしっかりした答えは、私の涙腺を刺激する。

今までの苦い思い出は、カレの決心の言葉で消されていった


私とシン君の交わらなかった心は、ようやく一つになった

これからは、お互いの心の音を聞き、体を温めあいながら、1歩1歩進んでいこうね。

「あっ、そう言えば、大事なの聞いていなかった!」

「なんだよ。」

「シン君ってば、すきって言葉まだ言ってくれてない!」

急に頬が赤くなるシン君。

「・・・・・。」

「早く、シン君!」

「後でな!!」ミノムシチェギョンをギュッと抱きしめた照れ屋な皇子

カレからその言葉を貰えるには、まだ先の事










皆様、おはようございます。

昨日バイトが休みで、よーし今日は何話もアップするぞーと意気込んでいたら、あっという間に眠気が。

最後何回も打ち込んでも寝ながらだったので、凄い文章になってました。


まー、これで交わらない心が終わりました。

この後、交わった心と俺様王子様へと行くのですが、大人話が多いのでカーっトさせて頂きます。


では、またー。