ケーキ屋さんのカレの行動にずーッと怒っていたけど、もうそろそろ帰る時間だ。




「シン君、私そろそろ帰んないと。」

「えっ?」

「明日も早いもの」

「宮に帰るんじゃ。」

「まさか?シン君、私お仕事してるんです。急には辞めれません。」

「・・・・。」

「明日会社に行って、聞いてみないとね。それに私達は同級生なの。ねっ?」

「・・・。」

「じゃあ、ソウルに戻る日には、チェ尚官ねーさんに連絡します。」おどけて言った。

「・・・・・。」

「今日はパフェご馳走になりました。シン君に奢ってもらったの、初めてだね。」会計の時に彼女は笑って話をしていた。

外に出ると随分と雪が降り続いている。

それに風も出てきた。

「じゃあ、私あっちだから、シン君。今日はどうも有り難うございました。」頭を下げて彼女はオレに手を振って歩いて行った。


・・・・・。

・・・・・・。

なんだよ、アイツ。

全部自分でベラベラ話して、勝手に帰っていった。

アイツの後姿を黙って見送っていると、突然アイツが視界から消えた。

ビックリしてよく見てみると、転んでいた。

直ぐに起きると思っていたが、中々起きない。

オレは慌ててアイツの傍に駆け寄った。






雪がいっぱい降り続ける中、私は転んだ

まったく、今日は2回もやっちゃた。

ちょっと遅い時間なので、あまり人が通らない。

もう開き直って、大の字になって、雪が降りてくるのを見ていた。

良かった、シン君と普通に話せた。

良かったーー!

久し振りに会えたシン君は、カッコよかった。

涙が溢れてきた。

涙が出るほど嬉しかった。

カレが見れただけで、こんなに嬉しいなんて。


「オイ。」

・・・・・

「オイ!シン チェギョン!こんな所で寝てるな。」

「シン君?帰ったんじゃ?」

「お前が倒れたから・・・」カレから手を引いてもらい、私は起きた。

手を離そうとしたら、しっかりと繋がれて「又転んだら、今日は2回も転んでいるのに。」

「シン君。」私はカレを見上げた。

「とにかく、送っていく。」カレの少ない言葉でも、嬉しい。

同級生

私が提案した言葉

立場上、もう少ししたら「宮」に戻るだろう。

戻った私はどんな処罰を受けるか判らないが、黙って受け止めよう。

だって、逃げ出したのは私なんだもの。

「宮」での夫婦ではなく同級生として過ごす私達。

結局前と同じだと思うけど。










[泊まってく?」

彼女の口からこの言葉が出た時には、オレは少し間抜けな顔をしていた。

彼女を送っていたのはいいけど。

外は吹雪になってしまい、前が見えない状態になってしまった。

「皇太子様が遭難したら、大変だよ。」

「するわけないだろ。」チェギョンの住んでいるアパートの前で立ち尽くしていたオレ達

一向に止まない吹雪はますます威力を増すばかりだ。

「シン君、早く中に入ろっ」と彼女は階段を昇っていた。


扉を開けると小さい部屋だった。

ここに一人で暮らしていたのか?

窓辺にはアイツの家族の写真、それにオレの家族の写真もあった。

それにあと1つオレの写真。

国民向けの黒い正装姿のオレ

そっかー、二人だけで撮ったのはなかったよな。

それに東宮での写真は1枚も撮らなかった。

お前と過ごした4ヶ月は写真に残していないけど。

オレはちゃんと覚えているから

写真たてを持ち、ボーっとしているオレを見て、慌てて走ってきたお前

「アーーッ、見ないで!」写真たてを奪った。

真っ赤になったお前は「遅くなったけど、チゲ食べる?」

そっちに話もって言ったか。

「食べる。腹減った。」吹雪で窓や扉が軋む中、この部屋にはオレとお前しかいなかった。





アサリと豆腐のチゲとウィンナーの食事

チゲからは暖かい湯気が出ていた。

小さいテーブルに向かい合って座って、湯気の向こうにお前がいる。

温かいなーー。

お前が宮を出て行ってから色んな事があった。

お前ともう1度向き合う為に、オレは今までのオレでは考えられないくらいの、頑張りをみせた

何度雪だるまになったのか、わからないな。


「シン君?何してるの?熱いうちに食べないと美味しくないよ。」凄い勢いで食べているチェギョンがオレの御飯にウィンナーをのせながら、言った。

「ああ。」自然に頬が緩む。






まったく、そんな顔で笑わないでよ。調子狂う。

無視か、嫌味な顔しか見た事がなかったから、反則だわ。

うん?そんな顔しか見てなくて、よく好きでいられたわね。

「お前こそ、何してるんだ?なくなるぞ。」カレの御飯が少なくなっていた。

「フーーーッ、美味しかった!ご馳走様でした。」

「思ったより、美味しかった。」

「シン君!」

お腹がいっぱいになったオレは少し横になった。

「食べて直ぐに横になると、太るわよ、あっシン君はもう少し太った方が。」

カレの顔を覗き込むと眠っていた

そっかー、疲れたんだね。

カレに毛布を掛けてやり、私は後片付けを始めた。

声を掛けても一向に起きないカレ

そう言えば。

泊まってく?と聞きながら、どこに寝させる気だったのよ!シン・チェギョン!

急に顔が熱くなり、自分から誘った事に驚く。

でも、吹雪で目の前見えなかったし、ねーー。

仕方ない・仕方ないと一人頷く。

自分の布団にカレを少しずつ移動させて、ようやく寝かせた。

「まったく!体は細いのに・、重いよ。それにしても起きない。」掛け布団を掛けてやり、私は自分の用事をやり始めた。

この部屋にはテレビがない。あるのはI POD TOUCHで曲を聴けるくらいだ。

曲をかけながら、指は器用に動いていく。

何時も想像で計っていたが、今は本人が目の前にいる。

起こさないように、カレの肩幅をあわせて見る。

あっ、もう少し大きくしてもよかったね。

だって、カレの体触ったこともないし、いつも後姿しか見せてくれなかった。

初めて見るカレの寝顔

なんて鼻が高いの。キツイ目も隠れて、自然にカレの頬に手を伸ばした。

「何してるの、シン・チェギョン!触っちゃダメでしょ!」慌てて離れた。

真っ赤になりながら「今日はもう寝よう。起きてると、私が何を仕出かすか判らないから。」自分の持っている服を掻き集め、クッションを頭の所に行くように置き、横になった私は自分の体に服を掛けまくった

1番上にはチェオネ-さんが渡してくれた、コートを掛けた。

ちょっと寒いけど、何とかいける。

「お休み、シン君」






目が覚めた。見慣れない天井にボーーッとしながら、考える。

あっ、チェギョンのアパート

オレは今布団の中にいるんだ。足が出ている為、少し体を丸めた。

チェギョンはどこで寝てるんだ?

横を見ると服の山があった。

もしかして。

いた

覗き込むと、チェギョンが小さく丸まって寝ていた。

こんな吹雪の寒い日に、お前はなんでそれで寝ている?

深い溜息を吐きながらオレは体を起こし、服を払いのけチェギョンを抱き起こした。
温まっている布団の中に寝かせて、オレも隣に寝る。

そして彼女を抱き寄せて、体温を感じた。

温かい、お前の体温かいなー。

ようやく彼女を抱き寄せ、改めて彼女がオレの傍にいる事を感じた。






皆様、お久しぶりです。

お元気でしたか?

孫が帰ってきて、毎日忙しくしてました。

お話の更新も途絶えてしまい、すみませんでした。

できるだけお話をアップできるように努力します。(笑)

では、おやすみなさい。