カレと目が合い、私はとっさに逃げ出した。

もう1つの出口の方へ足は向かう。

「ヨンス!どうしたの?」ミンジは私の突然の行動にビックリする。

カレは雪だらけの体で駅に入ってきた。

目の端に私の姿を見つけると、走り出す。

人の波を掻き分け、私に向かって差を縮めていた。


私は時々カレの方を向き、どうやったら逃げれるのか考えていたが、ムリだと思う。

カレは身長があるくせに、動きが良い。

バスケにフェンシング、どれも得意だ。

出口が見えてきた私は少し安堵した。

カレの長い腕が私の毛糸の帽子のおさげを掴む。

おさげを引っ張られた形になった私はバランスを崩した。

折角外に出れたのに、カレのおかげで私は転んだ

思いっきり派手に「いったーーい!」直ぐに動こうとしたけど、時間がかかる。

目の前にエンジニアブーツの先が見えた。

顔を上げるとイ・シン殿下がいた。

カレの大きな指が私の髪を触る。

「・・・チェギョン・・・・。」

「違います!私の名前はイ・ヨンスです。」もう1度体を起こすことに成功した私は、もう1度人違いですと言った。

「じゃあ、何で泣いてる?オレを見てなぜ泣く?」

「えっ?」

自分の顔に手を当てると涙が流れていた。

知らなかった。宮で覚えた泣き方は未だに私の体に残っていた。

ゆっくりとカレは私の体を包み込む。

「チェギョン、ずっと探してた。泣きたい時には、声を出して泣け。我慢しながら泣くことはないんだ。

体が痛い時や、心が痛いときには、声を出し、思いっきり泣け。」とカレは強く私を抱きしめた。

雪の降り続く中

とっても寒い、春川なのに。

カレに抱きしめられていると、なぜか温かくなってきた。

「うっ、うっ、うっ・・・・・。」止め処もなく流れる涙。

そして大きい声で泣き始めた私。

声を出しながら泣くのは何ヶ月振りだろう。

私はカレの腕の中で、子供のように泣き崩れていった。






私の耳に残るカレの言葉

「今はただ謝りたい。」カレの心の篭った言葉

あの宮でのカレから想像もできない言葉。

その言葉であの泣いた日々が消し去られるような感覚。



私は決心した。

「殿下!今日お金持ってますか?」突然の言葉でビックリしているカレ

「あーッ、持ってるけど。」

「じゃあ、ここのパフェ奢って下さい。それも1番高いやつ。」と満点の笑顔で答えた。

「おい・・。」

「これで今までの事なかった事にしましょう。私と殿下はただの同級生に戻りましょう。」と真剣な顔

「オレとお前は夫婦だ。」

「世間体的にはでした。」

ぐっ・・・。確かに・・・。

「同級生だっていいじゃない、それからどうなっていくか楽しみ。じゃあ、最初は殿下の上履きに絵の具の水、零すところから始めまする?」とニタつく。

「チェギョン!」

「殿下が謝ってくれただけで、嬉しいです。」

「チェギョン、殿下は止めろ。」

「・・・・。」

「オレ達やり直すんだろう?同級生から。もう1度シン君ってよんでくれないか?オレはお前の夫なのに、お前に付き合うんだから、お前もオレの。」

「判ったよ。シン君。」オレの話も終わらない内に、突然呼ばれたオレは凄く嬉しそうに笑った。




反則だ!ずるいよ初めて見た、そんな笑顔。

一緒に暮らしていた時には1度も見たことがなかったのに。

離れてみて、ようやくカレの笑顔を見れるなんて。私の胸が痛くなる。

ギューーーッとするこの心臓。

何度この人に恋してしまうのかしら。でも、この恋は伝えちゃいけない。

カレには愛している人がいるの。

私はようやく同級生というラインに一緒に並んだだけ。

マイナス思考にいっている私。考え方を直そうとして、思いっきりパフェを食べ始めた。

とても久し振りにあった夫の前で食べるようなしぐさではなかった。

まさにかき込んでいた。

慌てて食べていたが、ここのパフェ美味しい。

スプーンをについた生クリームを舐め、私は満足な顔をした。




まったく。どうしたらそんな食べ方をするんだ。呆れる。

久し振りに会ったのに、妻は。

宮にいた時よりも眩しく見える。

とても妃宮としての品格のある食べ方をしていないけど。

可愛く見える。

あーーッ、オレってこんなヤツだったのか。

こいつに会えなかった日々が、勝手に恋心を育てていたみたいで、今目の前にいるだけで。

心が蕩けそうなくらいにふにゃふにゃだ。

ホラッ、口の脇に生クリームを付けたまま食い漁るお前を見て、オレの体は自然に腰を上げた。

そして

口についている生クリームをオレの舌先で取ってあげた。

ビックリ顔のお前

オレはまだ付いている生クリームを舌先でゆっくりと取った舌先に乗っている生クリームを、ゆっくりと口に入れて味わう。

「慌てて食べるなよ、誰も取らないんだから。」

ようやく我に返ったチェギョン。

「シン君!何するのよ!同級生はそんな事しないでしょう!」オレはチェギョンの怒った声を聞きながら、嬉しそうな顔で


「美味しかった。生クリームとお前の唇。」




皆様、こんばんは。

すみません。、もう眠くて眠くて、もうねます。

また、あしたー。