![](https://stat.ameba.jp/user_images/20210408/00/akashia93/70/72/j/o0400040014922951279.jpg?caw=800)
さらに痛めた足を引きずりながら私は乗馬服のままで車に乗った。
護衛のオネーさんが「殿下に教えますか?」
「いえ、いいです。カレはどうせ私には興味ないですから。」カレ専用の車を横目で見ながら、私は呟いた。
乗馬クラブ
彼や馬を世話するおにーさんに会いに行きたいけど、あの連中達に会うのは嫌。
私が皇太子妃の器がないのは誰だって知ってるわ。でも、改めて言われるとこのシン・チェギョン様だって傷つく。
実家ではパパとママに姫と言われて育てられてきたけど。
姫の意味が違い過ぎる。
バカな私。実家を救う為に、場違いな世界にいる出来損ないの姫。
私は皇太子妃になってから毎日悔し涙・悲しい涙・寂しい涙を流し続けている。
嬉し涙なんか宮に来てから、1度もない。
最近では皆に気づかれないように、音もなく泣くのを覚えた。
車の中で音もなく泣いていた私は、東宮殿が見えてくると涙を拭き始めた。
痛めた足に注意しながら車を降りた。
足を下ろした途端ズキンッと言う痛みが体を駆け巡る。
私は皆に気が付かれないように、熱が出始めた足を気遣いながら自分の部屋に向かった。
女官のオネーさんに今日は食欲がないからもう寝ます。と伝えネグリジェに着替えてベットに潜り込んだ。
おじいちゃんが私の幸せの為に交わされた約束。
何でだろう?おじいちゃん、辛いよ。
おかしいよこの約束。全然幸せじゃない。
パパ・ママ家に帰りたい。
家族の顔を浮かべながら私は静かに泣き始めた。
段々痛めた足が熱くなってきた。
なんか寒気がし始めて、私は意識が朦朧とし始めてきた。
暫くして私はおでこに冷たい感覚を感じた。
チェ尚官おねーさんだと思って「誰にも教えないで、皇太子殿下には絶対ダメ、足は寝てれば治るから。」と眠りに落ちていった。
荒い息で眠りに落ちていった彼女を、オレは黙ってみていた。
乗馬クラブから急に出て行ったコイツ。
ここに帰ってきても「妃宮様はもうお休みになりました。」と女官はオレに頭を下げた。
一旦自分の部屋に戻ったが、誰もいなくなってから彼女の部屋のドアを開けた。
ベットに近づくと、息の荒い彼女が寝ながら泣いていた。
そんな彼女が心配になり、オデコに手を当てた。
熱い!
こんな時どうしたら良い?チェ尚官を呼ぼうとしたら
「誰にも教えないで、皇太子殿下には絶対ダメ、足は寝てれば治るから。」
荒い息遣いの途切れ途切れの言葉。
オレは本当は気づいていた。コイツが隠れて泣いている事を。
宮に来た時には明るく皆を困らせてばかりいたのに、最近は体が細くなり明るい表情を見る事がなくなってきた。
この前公務が早めに終わり東宮殿のパビリオンに入ろうとしたら。
うつろな瞳のお前がソファに座り涙を流していた。
声を出さずに小さく肩を震わせ、泣いていた。
ただ泣いていた
明るくて、うるさくて、オレの周りをウロチョロと目障りだった女。
祖父様の約束の為に、仕方なく結婚しただけの女。
オレがヒョリンにプロポーズをしている所を見てしまった女。
妃宮としては落第な女。
オレと宮が勝手にコイツをこの異様な世界に閉じ込めてしまった。
彼女には来た時の様な明るさはどこにも見渡らなかった。
いつもこんな風に泣いていたんだろうか。
それから少しずつ彼女に話し掛けていったが、今更ながら彼女との会話は続かなかった。
最初はオレの事を「シン君!」って呼んでいたのに今は妃教育のお陰で「殿下。」と呼ぶようになっていた。
まっ、彼女からオレに声を掛けてくれるのは、殆どなくなった。
熱の出ている彼女をただ見つめていたが、自分の部屋に薬があるのを思い出した
彼女が誰にも教えたくないと言っているから。
でも、オレは!人の世話なんてやったことがない!
今までやってもらったの思い出しながら、オレはボウルに水を入れてタオルも持ってきて、彼女の額に濡れタオルを当てた。
彼女に薬を飲ませようとしたら、無意識な行動だけど嫌がった。
何度やっても嫌々と頭を振る。
ついイラッときてしまい、自分の口に薬と水を入れて彼女の口にそれを流し込んだ。
ゴクッ
彼女の部屋にその音が響く。
その音を聞いて安心したオレは、額のタオルを取り又冷たい水で絞った。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20210408/01/akashia93/3d/03/p/o0400040014922952890.png?caw=800)
・・・っ・・・・・オレは今何をした!?
自分の頭の中で対処出来なくなったオレは、軽くパニックを起こしていた。
薬を飲ませようとして。飲ませようとして。口移しをした。
ベットの上で苦しそうにしている彼女を見る。
これは仕方がなかったんだ。薬を飲ませるために、コイツの熱を下げる為にやったんだ!
誰もこの事を見ていないのに、自分を正当化しようと頑張っているオレ。
少し時間が過ぎた。
フーーッと溜息を付き、上を見上げた。
真っ赤になったオレは、本当の気持ちに今気がつく。
ずーーッと前からコイツにキスをしたかった。
苦しそうなお前の唇に親指でなぞる。
何時も一生懸命なお前がオレの心に入り込んできた。
「シン君!シン君!」とオレが冷たくしても、イジワル・無視をしてもへこたれずに、ずーーっとオレの傍で笑ってくれていた。
そんな彼女の「殿下。」と呼ぶ声にオレは違和感を覚えた。
笑わなくなったお前。大人しくなったお前。隠れて泣いているお前。
オレの心の中に勝手に住みついたお前。
どうしたら元のお前に戻ってくれる?
まぶしい笑顔のお前は、もう戻ってこないのか?
ベットの横に膝を付き、お前を見つめる。
ようやく薬が効いてきたのか、彼女の首元や額が汗ばんできた。
タオルで拭いてあげたが、汗は止まらない。
「・・・・ママ・・・、熱い・・・。着替えたい・・・・。」熱で掠れた声はオレの心臓を可笑しくさせる。
着替えたいって・・・。って事は・・・。
オレは無駄にキョロキョロと辺りを見渡して、誰もいないのを改めて確認した。
そして色んなタンスの引き出しを開けて、ようやく着替えを見つけた。
部屋の明かりを消、カーテンを開けて、月明かりだけで着替えさせようとした。
小さい声で「着替えさせるからな、怒るなよっ。」と呟いた。
汗ばんだネグリジェに手を掛け、一つ一つボタンを外していく。
服の間から胸のふくらみが見えてしまい、オレは1回服を合わせた。
ヤバイ!コイツ、ブラをしてない!
オレの額からは変な汗が噴出してくる。
どうしたらいいのか判らず、ボーーッとしていたが。
「ママ早く着替えたい。」コイツはオレを母親と勘違いして、当たり前のように頼む。
オレは諦めて、服のボタンを全部外した。
オレの目の前に二つのふくらみが、荒い呼吸と同じリズムで上下していた。
目がそこから離れなくなってしまった。
皆様、こんばんは。
何度も言うようですが、健全なブログなのでお話は途中で切れることがあります、
大人の事情なので許してくださいね。
いつもコメント有難うございます。
では、おやすみなさい。