乗馬クラブの後軽く足を捻ってしまったが、私は頑張って皆にばれないように過ごした。

足を捻った事が判ると、乗馬クラブの彼に会えなくなるし、乗馬クラブの皆に迷惑が掛かる。

入宮頃はよく分からないで、イタズラや隠れたりしていたが、私がそれをする皆に迷惑が掛かる事が判ってきた。

ここでのストレスを発散出来なくなっていた私は、乗馬クラブでの彼との散歩に楽しみを覚え始めていた。

夜になり皆が下がった時に、私は捻った足首をベットの上に放り出した。

少し腫れてる、どうしよう。これ以上腫れないといいな。

Dバックの中からシップを出し、私は足首に貼った。

お願いだからこの位で済んで

ベットの上で足首に手を当ててお祈りしていると。

ドアをノックする音がする。私は慌ててネグリジェの下に捻った足を入れた。

「はい。どうぞ。」誰か判らないのに、私は軽く返事をした。

すると入ってきたのは、皇太子イ・シンだった。

ヤバイ。

ヤバイ。頭の中で警報が鳴り響く。

焦る私は「こんな夜分に何でしょうか?皇太子様。」私の言葉にムッとしたのか

「ちょっと聞きたい事があって来た。」私の背中を一筋の汗が落ちていった。

「何でしょうか?」

「乗馬クラブ。」私の顔が青ざめる。

「今日、お前乗馬クラブに来てたよな。オレが居なくても来てたんだ。」」とカレはポツリと言った。

「はい、殿下の許しを得ずに行ってました。済みませんでした。」とベットの上から頭を下げた。

「イヤッお前が行きたいのであれば、勝手に行けば良い。それに一人で遠出も出来るようだし、皆に迷惑掛けないだろう。」と声が低くなる。

「有難うございます。」カレは私を1度見たが、ゆっくりと部屋を出て行った。

「フーーーッ、疲れたーーッ!乗馬クラブって出た時は、汗がドーッと出ちゃったわ。」
捻った足を表に出して、これも気づかれなくってラッキー!と一人喜んでいた。


次の日、私が乗馬クラブに着き、着替えを終えて中に入ろうとした時に、カレが入ってくるのが見えた。

珍しいカレが2日続けてくるなんて。

私はカレの妻だけど、入ってきたカレにお辞儀をした。

でも、カレは知らない振りをして着替えに行った。

「もーーーっ!無視するなんて!でも気にしない、気にしない。ほんと何であんなヤツ好きになってしまったんだろう。」と、トボトボ歩いて行った。

本当は昨日の来てくれたのは嬉しかった。カレと普通のお話ができると思っていたのに、でも緊張しすぎて硬い言葉しか出てこなかった。

私達ってやっぱりこのままなのよねー。




次の日

大好きな彼に跨り、おにーさんから今日の彼の様子を教えて貰う。

捻った足はちょっと痛いけど、まだ平気。

そしてゆっくりと彼と一体になり、歩き出した。

私はこの瞬間が好き。

おにーさんから手綱を引いてもらいながら歩いている時に、私は凄く嬉しそうに彼との乗馬の良さを伝える。

おにーさんは「皆さん、そういいます。やっぱり馬って良いですよねー。」と笑顔で言う。
彼もやはり馬好きなのね。二人で笑いあい、外に出て行った。

そんな二人の様子を、着替えの終わったイ・シンは切ない顔で見つめていた。

ようやく一人で走れるようになった私は彼との遠出を楽しむ。

今日も彼に昨日あったことを、彼に言っていた。

でも最後にはそれでも、シン君のことが好きなの。と彼に向かって呟いた。

遠出を終えて戻って来たら、シン君とヒョリンが並んで馬達を眺めていた。

似合い過ぎるほどの二人。

この二人は嫌いで別れたのではなく、私が二人の間に入ってしまった。

自分の胸がギューーーッと痛くなる。

判ってるって、カレはヒョリンのことが好きなんだから。私はただの約束だから結婚しただけ。

私の落とした一粒の涙は彼の鬣の中に消えていった。

彼から降りる時に、痛めている足に気を取られて、私はバランスを崩して落ちる所だった。それをおにーさんから受け止めて貰った。

「妃宮様!無事ですか?」

「大丈夫です!おにーさんが助けてくれたから、何ともないです。」昨日痛めた足が又痛み出した。

二人で向かい合っているとシン君の友達が入ってきた。

「あれーーっ?皇太子妃様、浮気ですかーーっ?」

「イチャイチャしていると、ネットに流れてしまいますよっ。」

「だから、ヒョリンのほうがシンには合ってたのに。」

3人から酷い言葉を受けた私は、痛い足を引きずりながらこの乗馬クラブを後にした。






皆様、こんばんは。

このお話に出てくる彼とはーーっ。

馬です。(笑)この頃なぜか彼って書いてましたね。

では、おやすみなさい。