公務の終わった後、最近必ず寄る所がある。

乗馬クラブ

カレがヒョリンに連れて来なさいと言われて、仕方なく連れられて来た所。

服を着替える為にロッカーに向かうと、スタッフさん達に挨拶を受ける。

最初の頃のようなよそよそしい挨拶ではなく、何回も来ている内に仲良くなり、大分砕けた感じになっている。

乗馬の服に着替えてブーツを履くと身が引き締まる。

ただの学生が皇太子と結婚するなんて、有り得ない話。

まるでマンガだ。

そんな思いを胸に抱きながら、ブーツの音を響かせて自分の馬の所に行く。

彼の顔を見るとホッとする。結婚して良かった事は彼に出会えた事。大きい優しい目で私をいつも見てくれる。

辛いことがあるとここに寄って貰う。

私の乗馬歴はまだ1ヶ月位だけど、筋が良いと言われ今は誰にも付き添わなくても遠乗りが出来るようになった。

慣れない時にはユル君や先生達に付き添ってもらった。

もちろん私の夫になったカレは私に興味がないらしく、私が何をしようと目には入らなかたみたいだった。

彼を担当しているおにーさんの太鼓判を貰い、今日も湖までの彼との散歩を楽しむ。

色んな思いを彼に聞いてもらうと、って言うか自分一人で話してるんだけどね。

今までの辛い想いが軽くなるようだった。

目的地の湖が見えて来て、足を遅くさせてゆっくりと移動する。

彼との呼吸を合わせて移動する散歩は今まで感じた事のなかった行為。

水面に反射する光に目をすぼめながら、仲良く泳ぐカモを見つめる。カモでさえ仲良くできるのに、後2年も我慢できるかしら。

離婚か・・・・。時々寂しい背中を見てしまうと、離婚の決意が鈍る。

向こうから話し声が聞こえてくる。よく目を凝らすと皇太子ご一行だった。

カレの隣には当たり前のように彼女が居た。

そして周りにも色んな人達がいた。

私は手綱を引き方向を変えた。もう帰ろう。仲の良い二人なんか見たくない。

この愛のない政略結婚なのに、自分ひとりカレに恋してしまったバカな私。

馬を軽く走らせ、彼らの横を通る時にお辞儀をした

そのぎこちない挨拶は周りの人達を苦笑いさせた。

一刻も早くこの場所から離れたかった私は彼を走らせた。

涙が勝手にボロボロと出る。この涙は悔し涙なのか、どんな涙か判らないまま泣き続けた。

赤く泣き腫らした顔のまま戻ってきた私に、おにーさんはビックリしたしたみたいだった。
「妃宮様どうかなされましたか?」と優しい言葉を掛けてくれた。
馬から降りる時に手を貸しながら私に話しかけていたが、私が着地する時に足を挫いてしまった。
よろけた私は少しおにーさんの胸に手を付いてしまったが、直ぐに離れた。
「ごめんなさい。」と言って彼とおにーさんに挨拶をして、逃げるようにこの場所を離れた。

車に乗り目を閉じる。

これからは、ちゃんとカレが居ない時に来よう。







皆様、こんばんは。

「交わらない心」が始まります。

ヤフーブログでの初めての続き話です。

前のブログの名前って…何とかの…片隅で…でしたっけ?

もう思い出にありませんねー。(苦笑)




「シン君!!見っけ!!」

職務が終わり、東宮殿に戻ってきたオレ。


チェギョン襲来


変な帽子を被り目が輝いていた。

「うふふふふっ、シン君の分もあるよ。」

手に持っているのはパンダ


嫌な汗が出てきた。

「・・・オレに・・・・。」

「被ってーーー!!」

あっという間に、オレの頭にパンダの帽子をかぶせた。

そしてニッコリ笑い

「シン君!似合うよ!」と親指を立てて、ウィンクをした。

「イヤだ!取る!」

「ダメ!」と二人で言い合っていたら。

チェ内官が入って来た。

二人の姿を見た彼女は、いけない者を見てしまったという顔をして、慌てて逃げ出した。


「チェ・・・ギョ・・・ンーーー!」と怒ろうとしたら、彼女の姿はどこにも居なくなっていた。


「逃げ足が速い。」そう呟いたオレはまだパンダの帽子を被っていた。





FC2からお話を移動させているんですが、記憶のないお話や絵ばかりで、楽しいです。(笑)