ジフン(仮)をベビーベットに置き、ティッシュを掴み、私の涙・鼻水を拭いてあげるカレの姿をボーッと見つめる。

「ほらっ、可愛い顔がよく見えなかった。ずーーッと想像でしか、お前の事思っていなかったから、実物は全然違う。」

「子供を産んだから、アジュマに」

「バカ!そんな事ない。肌も柔らかくて、唇が思った以上にプッくりしている。」指でなぞられる私の唇

「だって、最初、お前に逢いに来たんじゃないって言ってた。」

「本気にするな、オレが素直じゃないって知ってるだろう?」

大きく頷く私。

「そんなに頷かなくても、まっいいさ!キスしてもいいか?」オドオドと聞いてくるカレが、韓国の皇帝陛下とは思えない。

無言で頷く私。

ゆっくりと近づくカレの唇。

優しいく重なる唇。

優しくついばむキスは、2人の記憶を呼び戻すアイテム

お互いの体をきつく抱きしめ、何度もキスをする

荒くなるキスは周りも見えなくなるもので、ジフン(仮)が泣き始めても、判らずにキスをしていた。

でも、ジフン(仮)はとうとう大きい声で泣きだした。

慌てて、離れてベビーベットに近づく。

鼻水も涙も止まらないジフン(仮)をカレは抱き上げ「泣くな!男だろう?」と頬を寄せる。

ジフン(仮)は段々泣き止み、カレを見つめて「パー・パー」と言葉を発した。

驚くカレ

「皇帝陛下の写真を見せて、ジフン(仮)のパパだよって、言ってたの。と都合悪そうに言う。

「チェギョン。」カレの手が伸びてきて私も抱きしめた。

「これからは、3人一緒にいよう。」泣き止んだジフン(仮)は声を上げて笑い出す。

可愛い仕草を見て、私はいつも通りに頬にキスをした。









アパートの居間のソファにカレが座っている。

不思議な光景

イ・シン皇帝陛下の写真が飾られている手前のソファに座るカレ。

カレの膝には、ジフン(仮)が寝ていた。

ジフン(仮)の頭を撫でながら「チェギョン、申し訳ないが直ぐに韓国に戻らないといけなくなった。」ビックリした私はカレを見つめた

「足の手術の名医がアメリカにいて、その医者の予定が早まりもう韓国に来るそうだ。

韓国では直らないと言われたチェギョンの足を、医療先進国のアメリカに協力して貰うプロジェクトを発足して、オレの資産を半分を投資して、韓国の医療技術を高めるプロジェクトを進めていた。申し訳ないけど、チェギョンはその最初の患者になって欲しい。」

「皇帝陛下。私なんかまだ歩ける方です。」

「早く直さないと、チェギョンは足が悪いから、オレの妻にならないって言い出すだろう?」とニヤリと笑った。

的を得た事を言われて、真っ赤になる私。

「やっぱりな。」

「皇帝陛下、だって、私、妃宮不合格だったのに。皇后なんて出来る訳ない。シン君の傍にいたいけど、無理だよ。」

「あの頃は、オレが支えていなかったからだ。今なら、全てにおいてチェギョンの事をサポートできる。それに、オレとジフン(仮)を泣かせる気か?」

「???」

「お前がいないと、ジフン(仮)の兄弟ができないし」体を乗り出し、私の耳元で囁く。

「これ以上、一人処理を上手くさせないでくれ」とボソッと言う

「シン君!」真っ赤になり立ち上がった。

「どうかなされましたか?」とコン内官が尋ねる

「いえ、なんでもないです。」座り込み顔を下に向けた。

「コン内官、明日には出発するので、全ての手配お願い致します。」カレは澄ました顔で言う

「お任せ下さい。」

「あっ、私は今日はここに泊まります。チェ尚官は私の泊まっているホテルで休んで下さい。本当にチェ尚官には、お世話になりました。チェギョンとジフン(仮)の世話を十分にしてくれて、感謝しています。」と頭を下げた。

「皇帝陛下頭をお挙げ下さい。当たり前の事をしただけです。私の妃宮様はシン・チェギョン様だけですから。」とお辞儀をしたまま言う。

「オンニ。」

「では、出発の準備がありますので。」とコン内官とチェ尚官は居間から出て行った。


「チェギョン。」自分のとなりを指差し、来いと目で言う

すごすごと移動する私。

私の肩を抱き「高校の卒業式、チェギョンもいたって聞いた。」

「オレの言葉聞いたよな?オレの気持ちは変わっていないから。」耳元で囁く声は、頭まで痺れさす。

カレの声が好きで、聞いただけで腰が抜けそうだ

「今日は泊まるけど、手術が控えているからするなって医者が言うんだ。患者への負担がデカイからって、何年振りに会ったのに、だから今日は抱くだけで我慢しないといけない。」

「そうなの。」

「チェギョン?残念そうだな。」とニヤリとワザと笑う。

「うん。残念かも。」と真剣に言う

「驚いた!まさかそんな言葉が出るなんて。」

「だって、私も、あの日のシン君が忘れられなくて、何度も思い出してた。

さっきだって、言葉では否定していたけど、シン君に触れたくて・触れたくて仕方なかった。」

「チェギョン、何処までオレ達は似てるんだろう。」と頬に手を当て、キスをする。

「いいか、もう誘うなよ!手術が大事なんだから。」とキスを軽くして、ジフン(仮)を私に預けて話をしに行った。









「こらーーーッ、ジフン(仮)!おもちゃ片付けなさって言ってるでしょう!」とようやく歩き出し、トコトコと逃げるジフン(仮)を追いかけた。

カツン、カツン、床に響くヒールの音。

「オイオイ、皇后がそんなに走り回るな!!」とスーツ姿もバッチリ決まっている我が夫イ・シン皇帝陛下

「だって、陛下!ジフン(仮)に怒ろうとしても、逃げるんです!」と頬を膨らます

私の手術は成功して、1ヵ月後には久し振りのヒールの許可が下りた。

「急に走ったらダメだ。足に負担が掛かるだろう」と真剣に言いながら自分のとこに逃げてきたジフン(仮)を抱き上げ、頬にキスをする。

「あんまり、ママを怒らせるなよ。その後、パパが大変なんだから。」

「陛下!」

「皇后!もうそろそろ低いの履かないと、危ないだろう?」と私を抱き寄せた。

「だって、ハイヒール履くと陛下とキスがしやすいの。」と赤くなる。

「えっ?でも、ダメだ。明日からは禁止!お腹の子に悪い。」

「全く、心配し過ぎですよ。」お腹をカレに優しく触られ

「この子はオレとお前の2人の子なんだから。それとジフン(仮)の兄弟なんだからなっ」あの時、出来た子。

部屋の壁に掛かる大きいサイズの写真。

イ・シン皇帝陛下、シン・チェギョン皇后、イ・ジフン(仮)皇太子が皇室の正装をして撮った写真

一年もしたら、ここに4人での写真になるだろう。

ジフン(仮)が陛下と私を代わる代わる見て

「パパ・ママ・だい・・す・き!!」と笑った。

あの時、海の泡になった皇太子妃は、皇后になり今の幸せを噛み締めた。

「パパもジフン(仮)とママが大好きだ」若い皇帝陛下は、持ち前の行動力・判断力で色んな事をこなしていく。

「ママもジフン(仮)とパパが大好きです。」私は、その皇帝陛下の良きパートナーとして、支えていく。


ジフン(仮)を囲み、この幸せが続く事を祈る







皆様、こんばんは。

泡になった人魚姫、終わりましたー。

皆様、長い間お付き合い下さり、有難うございましたー。

わがブログの二番人気のお話、久々に読み返しへーこんな話だったんだーと自分でも驚いていました。(笑)


次はどんな話にしようかなー。


では、おやすみなさい。