私とオンニがこの地に着いて2回目のクリスマスが近づいた日。

街のイルミネーションを見上げながら、赤くなった頬と白い息は空に向かって消えていった。

私は、白い息を吐きながら部屋に戻る

「オンニ、ただいまー!起きてる?」と部屋の中に入っていく。

テレビの間に積み木を散らかして、私を見上げる可愛い顔があった。

「ジフン(仮)--!!今日はちゃんと、オンニの言う事聞いてた?」カレを抱き上げ、キスを浴びせた。

余りにもしつこいので、カレの顔は離れたがっていた。

「じゃあ、後1回だけ!」キスをした。

キャッ、キャッと笑い、ミルクの香りが漂う我が息子

シン・ジフン(仮)

もう可愛くてかわいくて、目の中に入れておきたい!

時々我がままを言うけど、可愛い性格な子。きっと私似。(笑)

顔はーっ何処となく・・・、皇太子殿下に似ている。

目が似なくて良かった。

目つきの悪い赤ちゃんなんてイヤだわ。

私は、留学したのにもかかわらず、イ・シンの子供が出来た。。

あの夜、カレにちゃんと付けて欲しいと渡したのに。

不良品だったのかしら?

でも、このお腹の中に、小さな命が芽生えた。

私はお腹に手をやり、ありがとう、カレとの子が出来た喜びをお腹の中に伝えた。


妊娠した事を「宮」に相談して、留学を取り止めますと申し出たのに、「宮」は全額負担して、学校のほうは休んで、落ち着いたら又通うという風になった。

何度も、それでは申し訳ないといったのに。

最後の返答は直々に皇后様が言った。

じゃあ、生まれた子の写真を送ってください。

毎日送ってもいいし、たまにでもいいので見せてくださいと、それで貸し借りはなしで皇后様が言った。

不思議な交換条件

そして、こんなとこまで着いて来てくれたオンニがいて支えてくれたから、何とかここまでやって来た。

「チェギョン様、夕食の準備が出来ました、食べましょう。」とキッチンから顔を覗かせた。

「オンニ!何時まで様つけるの?何ヶ月もしたら一緒に暮らして、2年になるのに。」

「チェギョン様は、チェギョン様です!これはだけは直しませんよ。」と笑う。

「まったくーー!」ジフン(仮)を腕に抱いて、キッチンに向かう。

これが私・ジフン(仮)・オンニの生活だった。

毎日笑い、ジフン(仮)が泣き・怒り・具合が悪い時・色んな事を3人で頑張ってきた。

毎日、こんな風に過ごしていた日々。

シン君、私は今、幸せよ。

居間にオンニが飾った、イ・シン皇帝陛下の写真

カレは、私がこの地で子供を産んで、育てている間に皇帝陛下になっていた。

そんな人と、婚姻していた私、今思えば有り得ないね。

有り得ないついでに、カレの子供がいる

写真のカレに、デコピンを食らわせて、貴方も早く幸せになってと祈る。






クリスマス・イブの日。

今日は、ジフン(仮)の生まれた大切な日。

私は石畳をジフンを抱き歩いていた。

重たくなったジフン(仮)を抱きながら、足を引きずる私。

辛いけど、自分の子供だもの、がんばんないと!!

ジフン(仮)も、1才になろうとしているので、早く歩く姿を見たかった。

最近、摑まって立とうと重いお尻を一生懸命上げている、我が息子が可愛くて、オンニと一緒に笑っていた。

2人で頬を赤くし、白い息を吐き出しながら歩くしぐさは似ていた。

部屋に近づくと、何時ものと様子が違う

黒塗りの高級車が4台並び、黒いコートを着ている人達が溢れていた

「・・・・何・・・?」ジフン(仮)をギュッと抱きしめた。

1台の車の扉に、高そうな素材のキャメル色のコートを着た背の高い人が立っていた。

私の目が大きく開く。

皇帝陛下 イ・シン

私が最後に見た高校生のカレではなく。大人な姿で、現れた。

カレは私を見つけて、こっちに歩き出してきた。

「シン・チェギョン。久し振りだな。」と懐かしい声で呟く。

ジフン(仮)のお気に入りのパンダの帽子を深く被らせた。

「その子は?」

「私の子です。」

「・・・・・。」2人の言葉が止まった。

「韓国の皇帝陛下がなぜこんなとこに?」

「1週間の訪問で、この地まで来た。オレの妃宮付きのチェ尚官がこの地に住んでいるって言う事で、ここまで来てみた。そんな顔で見るなよ。

お前に逢いに来たんじゃないって、お前には振られてるから、判ってるって。」

「・・・・・。」

「その子の髪の毛黒いけど、相手は何処のヤツだ?」

「皇帝陛下には関係ない話だと。」

「振った相手に言う必要もないと?」と意味深に呟く。

振った?そっかー、カレにはそう感じるのね。

あの時、カレの為に留学を選んだ私は、カレを振ったことになるのね。

仕方ない。それが私の選んだ道なんだから。

「じゃあ、顔くらい見せろよ。」

「嫌です。」

「見せろ。」とカレが近づいた。

1歩1歩近づくカレの姿を目に捉え、私の手が震えだす。

あれから時が経ち、カレから少年ぽさが抜け、大人の男性になっていた。

今でも大好きな人が益々カッコよくなり、私の目の前にいるんだから、心臓がおかしくなる位に鳴り続けている。

すると違う男の人の声が聞こえた。

「陛下の赤ちゃんの頃にそっくりです!」コン内官が陛下に向かって言い伝えていた。

「まさか?この子は、こっちに来てから出来た彼氏との子です。ほらっ、目がクリッとしていて可愛いでしょう?」

「チェギョン様、陛下は赤ちゃんの頃、目がクリッとしていて可愛かったですよ。」と笑う。

「まさか・・・?そんな訳ないじゃないですか。今はこんなに切れ長なのに。」


「うるさいなっ!(照)お前が抱いている子は、オレの子だよな?」と改めて私に聞いてきた。

「違うわ!」とジフン(仮)を体で隠した。

「シン・チェギョン!」

「違うわよ、絶対に違う!この子は私の子供だもの!」

私に逢いに来たのではないと言ったら、ジフン(仮)を皇太子として、韓国に連れて帰ろうとしている。瞬時に考えた事は、的を当ているに違いない。

絶対にジフン(仮)を連れて行かせたくない、私はジフン(仮)を抱いたまま、部屋に入っていった。

「チェギョン様!」オンニの声がする。

自分の部屋に閉じこもり、ジフン(仮)を抱きしめた。

最近片言を話し始めたジフン(仮)が「マー・マー」と言う

「ジフン(仮)、イヤだ。ジフン(仮)は連れて行かせない!」

ドアをノックしながら「チェギョン、ここを開けろ!」私の大好きな声がドアの向こうから聞こえる。

「とにかく開けろ!でないとこのドアを壊すぞ?」と冷静な声が聞こえた。

少し間を置き、ドアが開いた。

ジフン(仮)を抱きしめたまま立ち尽くす私を、カレは抱きしめる。

「会いたかった。会いたかった。ずっと会いたくて堪らなかった。

誰も知り合いも居ないとこで、オレの子を産むなんて、お前って凄いな。」

真っ赤になり、目に涙が溜まり始めた。

「陛下の子供じゃ。」

「お前、まだそれ通す気か?あの時、お前に渡されたのを、オレは付けなかったんだ。」

「!!??」

「お前がどこか遠くに行きそうで怖かった。お前との繋がりが欲しくて、避妊はしなかった。オレはお前との子供が欲しかった。

こんな可愛いいオレ似の子供、産んでくれてありがとう。やっぱり、お前は最高な女だ」と強く抱きしめる。

ジフン(仮)が騒ぎ始める。

カレが私から、ジフン(仮)を受け取り

「ジフン、オレがお前の父親だ。これからよろしくな」と抱きしめる。

私は、カレがジフン(仮)を抱き上げている姿を見て、あーっ、やっぱり二人は似ている。

目の大きさが違うだけで、ハンコを押したように似ていた。

さっきまで意地を張っていたが、ジフン(仮)は本当なら皇太子なんだもの。

「宮」に連れて行かせないと。

ジフン(仮)に本当の母は一緒に行けないけど、皇帝陛下が愛情たっぷりと育ててくれるに違いない。我慢していた涙が溢れ出した。

何時かは訪れるかもしれない、と不安に思った事もあった。

ジフン(仮)が私から離れていく日。ジフンの誕生日に、なるなんて。

私は泣きながら、ジフン(仮)の荷物をまとめ始めた。

あれもこれも、集めているうちに、いっぱいになりビックリしてしまう。

「チェギョン?何してる?」ジフン(仮)と指で遊んでいたカレが聞いてきた。

「えっ?ジフン(仮)の持たせる物を集めているの?「宮」で新しいものばかりなるけど、ジフン(仮)にもお気に入りのもがあるから。」

「チェギョン?なんか話が合わない。」

「えっ?」涙でぐしょぐしょな私。

「何か、勘違いしてるのか?」

「勘違いはしていないよ。だってジフン(仮)を連れに来たんでしょう?」と無理に笑う。

「シン・チェギョン。何言ってるんだ?オレがそんなことすると思うのか?お前とジフン(仮)を迎えに来たんだよ。まったく、何しにオレは今まで会いに行きたいのを我慢して、皇帝になったんだ?

あの頃、皇太子のオレの意見は何一つ通る事がなかった。

勝手に廃妃されるし。もう1度、シン・チェギョンを妃宮に言っても誰も承諾してはくれない。

チェギョンを探しに行ってくれと頼んでも、止められた。

あの時、もう皇太子なんて辞めてやると荒んでいた。

でも、チェギョンの事を言葉を思い出し「貴方ほど皇太子が似合う人はいない」

この言葉は、オレの心を強くする言葉だった。

皇太子として弱かったら、皇帝陛下になって、チェギョンを迎えに行けばいいって事を。

それから、色んな教育、公務・職務と受けていて毎日が忙しかった。

ある日、母上がオレに写真を見せてくれた。

赤ちゃんが写った写真

「シン・チェギョンが子供を産んだそうです。貴方の子ですね?」と静かに聞いてきた。

母上の言葉を驚いて聞いた。

「チェギョンがオレの子供を。」あの時、避妊をしなかった

「シン・チェギョンは貴方の愛する人だったので、敬意を込めてチェ尚官を付き添え留学させました、が、貴方の子を産んだとなれば、その子は将来の皇太子殿下です。

シン。早く、皇帝陛下になりなさい。

そして、シン・チェギョンを迎えに行き、もう1度妃にしなさい。」と住所の紙を渡した。

オレは迷いもせず「いいえ、今はまだ迎えには行きません、皇帝陛下になった時に迎えに行きます」

「何時までも子供と思ってましたけど、もう立派な大人なんですね。嬉しいような、悲しいような。貴方の愛している人を離れ離れにさせた悪い母ですが、孫を見るくらいはいいですよね。」と母上は言ってくれた




「で、ようやく迎えにこれた。チェギョンを妃に戻す為に皇帝陛下になった、こんなオレだけど、もう1度オレの妃に。」








皆様、こんばんは。

家に誰もいないで、お話をアップしました。

そろそろ、終わりそうですね。意外と長かったですー。

次はどんなお話にしましょうか?リクエストありましたらお伝えください。


では、バイトに行くまで寝ます。(笑)