「シン・チェギョンさん、良く頑張ったね。今日でギブスとはさよならだ。」と担当の先生が笑ってくれた。

先生!!ありがとうございました。で、先生どうやって外すんですか?と携帯を見せた

「うん?これだよ。」と笑って見せてくれたのは、超音波カッター。

私は付き添ってくれたガンヒョンと冷や汗をかきながら、カッターを見つめた。






「チェギョン。久々の生足どう?」とガンヒョンは私に問う。

にっこり笑って、親指を立てた。

病院で足を洗わせて貰い、1ヶ月以上振りに見た足は、片方だけ細くなっていた。

これから又リハビリして、少しでも引きずらないように頑張らないとね。

「じゃあ、約束をしていた場所まで行きますか」とガンヒョンは私の腕を取り、一緒に歩きだした。


ギョン君と約束していた場所にはまだ彼は来ていなかった。

私はベンチに座り、一休みさせて貰っていた。

一人ボーッと人並みを見ている。

元妃宮の事なんか、今は誰も見てはくれないから、皆気にせず通り過ぎていく

私が望んでいた事になった。あの宮から逃れる事によって、得られた普通の生活。

ふと、思い出す元夫の事を。

毎日、誰からも注目されて、心休まるときがなかった。

うん?あっ、あった。婚約者といる時。

なぜか落ち込む



落ち込みながら、周りを見ていると。人ごみの中から、頭一つはみ出ている人物を見つけた。


あっ、ギョン君だ。
思わず立ち上がって、手を振ろうとしたら。彼の後ろにも頭一つ分出ている男がいた。

その男は帽子を被り、メガネをしていたが。

イ・シン皇太子殿下に間違いがなかった。

ガンヒョンもようやく気が付き「遅かったじゃん。ウン?誰かと一緒っ?」

「悪い!遅くなった。コイツ待っていたら遅くなった。」見上げる先には、皇太子がいた。

何で?

ガンヒョンは「何で!ここに?」声が荒くなる

「まあ、まあ。とにかく行こう。」とガンヒョンの背中を押した。

「ギブス取れたんだな。」久し振りに聞く殿下の声。

不意に聞かされると、胸にガツーーンとくる。まったく心臓に悪いわ。

何でいるのって事を聞きたかったけど、カレと一緒にいるのを1秒でも短くしたいので知らない振りをした。

歩き出すと3人との距離が出始める。

さすがに久し振りのギブスのない歩き出し、それに引きずる足元

それでも頑張って3人に追いつこうと頑張る。

すると、一人立ち止まる。

私の事を待っているイ・シン皇太子。

追い抜こうとしたら、急に手を掴まれ、歩き出そうとするカレ。

驚く私は、手を離した。

でもカレはもう1度手を握り、もう逃げないようにガッチリと握っていた。

夫婦の時に1度も触ったことのないカレの手。

あっ、ダンスの時には手袋をはめていたので、除外。

女の私よりスベスベで綺麗な指をしているなーと記憶に残っている。

その指が今私の指を捕まえている。

又、離そうとしても、今度はまったく外れない。困った私は、顔を見上げる。

帽子を被り、メガネを掛けているカレの表情は、私には良く見えなかった。

私の手を握り歩き出すカレ。

そして、私の歩調に合わせて歩く。

どうして、そんな事するの?

何時も、私の事なんかほっといてズンズン一人で歩いて行ったじゃない。

なんでこんな事するの。段々涙が溢れてきた。

涙が落ちないように、私は頑張ったけど。

ひとすじ落ちてしまった。

その光景を見ていたギョンは笑い、ガンヒョンは怒った顔をしていた。







「ここにしよう。」とギョン君が立ち止まった高そうな靴屋さん。

今まで入ったことがない高級感たっぷりな店。

あれ?確かに高い靴って言ったけど、ここ高すぎるよーー。

ガンヒョンと目を合わせ、戸惑う私達。

「ささっ、中に行こう」と誘導する。

カレは私をイスに座らせて、ギョンと一緒に奥に行った。

「ちょっと、さっきのあれはなんだったのよ。」と小さい声で言う。

だってここじゃ、何時も通りの声だと、響き渡りそうで。

私は首を振り、俯く。

ガンヒョンはハーーッと溜息を付き「金持ちの気まぐれなのかもね。」ポツリと言った。

そうだよね。きっと、そうだ。

今だけ我慢すれば、いいんだ。

そう、2度と殿下の気まぐれに付き合いたくない。








皆様、こんばんは。

人魚姫8です。

さて、チェギョンよりも無口なシン君。

まったくもーっ、可愛いヤツです。(笑)

9話がどうなるのか、楽しみです。

では、またー。