「シン・チェギョン・・・かっ?」

突然、道路に響く大きい声

大分人が少なくなったとはいえ、今は登校時間。

それなりに人がいる。

その声に驚き皆、振り向く。

でも、私は振り向きもせずに、歩き出す。

声を聞いただけで判る

イ・シン皇太子殿下

何で、こんなとこに?もう会いたくない人なのに。

そうだ、無視・無視しよっ!!

だって、宮にいた時はよく無視されたもの。

同じよ!!

胸の奥のしまった小さい箱に閉じ込めたイ・シンへのキモチには、まだしっかりと鍵は掛かっている。

もしかして話しかけられても、大丈夫。

もうこの人とは何も関係ない。






「オイ!!止まれ!!」

こんな郊外の高校に突然現れた皇太子殿下。

生徒達が騒ぎだし、そして囲まれた皇太子。

流石、韓国NO1の人気者。

ほんとそんな人と、夫婦でいたなんて、おとぎ話みたいだった。

まっ、夫婦と言っても何もなかったけど。

ただ東宮殿に住み、公務を一緒にこなすだけ。

車に乗っていても、カレはイヤホンで曲を聞いていて、話したことがなかった。

私はカレの邪魔にならないよう、話しかけないように小さくなっていた。




生徒達を振り切ったカレは「オイ!!」と言って、私の肩を掴んだ。

突然、肩を掴まれた私は、バランスを崩し倒れこんだ。

痛い!!

今日2回目はさすがに、痛い。擦り剥いた膝から血が出てきた。

でも、私は気にせず松葉杖を使い、一人で立ち上がった。

カレは呆然と立ち尽くしていた。

カレは私が転んでもただ見ているだけだった。

元妻なんだから、手を掛ける理由なんかない。

私はお辞儀をして、校舎に向かって歩き出す。


「オイ!!なんでここにいるんだ!?お前、済州島にいるんじゃなかったのか?」

カレの声が聞こえた

後ろを振り返ったが、カレは又生徒達に囲まれ始めていた。

今がチャンス!松葉杖で逃げるように急いだ。

とにかく教室に。






「殿下、もう時間です」と迎えの人達が来た。

チッ。

「判った。」周りの生徒達を上手く交わしながら、カレは校舎を見上げた。




皆様、こんばんは。

人魚姫第5話です。

さーっ、シン君登場です。この後どうなるのか、記憶がーーっ。

6話が待ち遠しいです。

コメント頂いて返信できないですみません。

やはりダブルワークは体にきついですわー。

お話の更新がない日は、寝てしまったんだなーと思ってください。

では、おやすみなさい。