人魚姫は最初に見た人に、恋に落ちる。





「オイ、オイ、目を開けろ!!」と言う声がうっすらと聞こえる。

誰だろう。

邪魔しないで、私はここにいたいの。

誰も知らないまま、ここで泡になって消えたいの。

失恋でこの世を去った私を両親は許してくれないから。

船から誤って落ちたって事になれば私的に都合が良い。

もう誰も私を起さないで。



「起きろ!!目を開けろ!!」と言う声と、頬を強く叩かれた。

痛たくて、と目がカッと開いた。

私の目の前には、どアップで。

イ・シン皇太子殿下の顔があった。

青い空に水浸しの皇太子殿下。

キラキラ光る水滴がカレの神々しさを後押しする。




人魚姫は最初に見た人に、恋をする。

どっかで聞いたことのある言葉。

私はこの人に、失恋したばかりなのに。2度目もこの人に恋をしてしまった。

でもね、目が重いの。それに体中が重くて、もうダメ。

目がもう1度閉じかけた時、カレの声が聞こえる

「シン・チェギョン!!目を開けろ!!開けろって。」

薄れ行く意識の中で、カレの言葉が私に響く

私の名を呼んでくれるカレ


もう、この世に思い残す事は何もない。





「妃宮!!目が覚めたんですね。」「妃宮!!良かったーー。」

私の視界には、真っ白な天井と陛下と皇后が見えた。

ここはどこ?

陛下と皇后はなんでここに。

「貴方はクルーザーから海に落ちたけど、助かったのよ。」


あ、そっか。助かったんだー。

あのまま泡になれなかったんだ。

人魚姫になれなかった。

ほんと、どこまでも中途半端なんだから。

「・・・・・・・?」

「どうしたんだ?妃宮?」

「・・・・・・・・。」あれ?すみませんでしたが。声が出ない。

「・・・・ウー、ウーーーっ。」真剣に声を出そうともがいている私を見て、お二方は。

「もうしかして、声が出ないのか?」困惑の表情で私に問いかけた。





「ストレス・海に落ちたショックでお声が出ないかもしれません。」

医者の診断では、一時的なものか、このまま声が出ないのか、まだ判断は出来ませんと言う事だった。

お医者様の声をただボーッと聞いていた私。

あの時に、もうこの世からいなくなろうとしていたので、あまりショックがなかった。

陛下と皇后は席を外した。




声の出ない妃宮。

こういうとこだけ、人魚姫になっちゃった

自然と溢れ出す涙。

流れる涙を拭こうと腕を出したら、傷だらけだった。どっかにぶつけたのかなー?

そう言えば、体が重い。動けない。

扉が開き、陛下と皇后が入って来た。

お二方の真剣なお話。

私はその言葉を聞き、頷くしかなかった。







皆様、こんばんは。

人魚姫3です。

ほーっ、こんな話だったのかー。自分で書いたのに、忘れてました。(汗)

人魚姫4が楽しみです。

だばねー。