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私、昨日失恋しました。夫のイ・シンに。
カレの誕生日に済州島に来た私達。
カレの友達を呼んで、カレも何時もとは違い、少し優しいかな?
突然の婚姻で夫婦になった私達。
でも、高校生と言う事で、今は同居人って言う感じが強いかも。
済州島に来ても、カレのお友達には「お前なんか妃宮じゃない。」
「庶民は妃にはなれないんだよ!!」と突き飛ばされたりした。
「私だって知ってるわよ!!だって決まってしまった事で。」これまでの、学校でも言われてきた言葉。
こんなとこまででも、言われてしまう。
周りには若い皇室関係の人達がいて、私を見て笑う
「あんな人が、妃宮なんて、皇太子様も御可哀想。」皆の声が私の心に響く
そんなの知ってるわよ。
だけど。
婚姻の儀が終わった後、言葉少ないカレが私に「2年だけ我慢しろ。その後は離婚してやるから。」
いつも遠くで見ていた皇太子が私の夫になるなんて。おじいさん同士で決めた約束は律儀に守られた。
ただ憧れていた人が近くにいて、私一人恋し始めた。
直ぐ傍にいるのに、心は遠いカレに。
妃宮教育が始まっても、何一つも満足に覚えられない私に、宮の皆は諦め始めていた。
そして、夫のイ・シンも。
「お前はオレの隣でただ笑っているだけでいい。」と多くを語らない
宮のお荷物としてここに住んでいる私
そんなカレに毎日恋をしていく私。
夫婦だけど、片思いだね。
「シン!!遅れてゴメンサイ。」と言って私の隣の夫の横に立つ女性
「待った?」と腕に頭を寄せ、幸せそうに見上げる
カレの口元が少し上がり、「嫌。」
「じゃあ、あっちの方に行きましょう。あっ、妃宮様、シンを連れて行きますから」と綺麗な女性はカレを連れ出した。
一人残された私は唖然としていた。
すると何時ものメンバーが傍に寄り
「なっ、お前は妃宮がにあわないんだ。」
「ヒョリンの方が妃宮っぽい。」
「それにあいつら、付き合ってるし。」
「・・・・・・・・。」
「シンに本気になる前に止めとけって、俺達からの優しい忠告。判りましたか?シン・チェギョン。」と言って突き飛ばされた。
私は芝生の上に座り込みただ呆然となる。
知らなかった、知らなかった。
カレに彼女がいたなんて知らなかった。
一人カレに恋していた自分が恥かしい
カレが時々見せる笑顔にときめいていた。
でも何千倍もの笑顔を彼女に見せるのね。
フラフラと立ち上がり、自分の部屋に行こうと歩いていると
建物の片隅で、カレと彼女がキスをしていた。
あまりもの驚きに立ち尽くしていると、手に持っていたバックが落ちた
物音に気が付き二人は私を見る
「アラッ、妃宮様。気が利かないのね、シンあっちに行きましょ。」
二人がいなくなり、私が立つ芝生の上には幾つもの涙が落ちていった
自分に与えられた部屋にたどり着き、泣き続ける
痛いよ。胸が痛い。カレのことを好きになっていた私にはキツイ現実
この心を元に戻すことなんか出来ない。
そっかー、彼女がいたんだ。
でも、おじい様の約束は絶対だから。カレは仕方なく私と結婚したんだ。
明日から、どうしよう。こんなキモチでなんか、あの二人の事見れない
二人並ぶ姿は、ほんとお似合いで。まるで皇太子夫妻そのままだった。
所詮、庶民には無理な話だったの。離婚する2年後までもたない。
泣き続ける私に、何度か部屋のノックが聞こえたが、私は泣き疲れて寝てしまった。
次の日、カレの友達とクルーザーに乗るそうで、「妃宮様も行かなければなりませぬ」と言うチェ尚官の言葉に仕方なく起き出した私。
「姫宮様、昨日何度か伺ったのですが。」表情のない奇麗な顔のチェ尚官
「ゴメンサイ、寝てました。」泣き腫らした顔。
チェ尚官は直ぐに女官達を呼び、目を冷やさせたが、朝から青い空は泣き腫らした目にはきつかった。
クルーザーに乗り、一人ボーっとしていると。又あいつらがきた。
「何だ、酷い顔だな。」
「ますますブサイクになった。」
「泣いたのか?お前が何で泣く?泣くんだったらお前にシンを奪われたヒョリンの方だろ。」と大きい声で言われた。
あっ、そうか、そうだよね。
私が二人の間に入っちゃったんだよね。
泣きたいのは、あの女性の方なんだ。
私は昨日一生分泣いたから、もう泣いちゃいけない。
「済みませんでした、私、何も判らなくて。」何時もの威勢がない私に3人は黙る
「ほんとごめんなさい。皇太子殿下に言ってみますから。」と頭を下げた。
頭を下げられて、困っている3人
私はカレの事を。皇太子殿下と呼ぶ
カレも私の事を、妃宮と呼ぶ
きっとカレには、私の名前なんて、どうでもいい事なんだろう。
一度も名前で呼ばれた事がない。
するとカレが傍に来て「シン・チェギョン!!妃宮たるもの、簡単に頭を下げるな!!」
カレの大きい声にビックリして私は、ヒールの位置が崩れたと同時にクルーザーも軽く旋回し始めた
私の体は引力に逆らわずにクルーザーの外に投げ出され
ドーーーン!!
みるみるうちに底に沈む私
泳げない私は、もがいて何とかしようとしていたが。上を見上げると、海の表面がキラキラ光っていて綺麗だった
沈み続ける私
戻ったってカレには彼女がいるし、私はいない方が都合がいい。
もがいていたのを止めて、ただ流れに身を任せた。
消えてなくなろう。
体を小さくし、誰にも判らないように。
海の中の妃宮だから、人魚姫だね。
あっ、あのお話って王子様を思って、自分は泡になってしまうお話。
おんなじだ。
人魚姫みたく、カレの為に泡になって消えていくことをただ願う。
皆様、こんばんは。
新しいお話を書けない私は、昔のお話を引っ張り出す(汗)
私の書いたお話で、ずーっとなんばーわんだった人魚姫
好きだと言われて嬉しかったです。
皆様のおかげでずーっとブログを続けてこられました。
これからも、よろしくお願いいたします。