休日の昼。ちょっと出掛ける事にした私達。

 
車に乗り、辿り着いた先には高そうなショップ。
 
一階はセレクトショップで、2階はカフェをやっているそうだ。
 
シン君は慣れた様子で中に入っていくが、私はまだこういうショップに慣れていなくてオドオドと中に入っていく。
 
扉を開けた途端、革製品の良い香りが私の体中に入り込む。
 
香水がきついショップさん達より、皮の素材の香りの方が好みだ。
 
「イ様、お久しぶりです。」店員二人が嬉しそうに挨拶をしている。
 
が!!
 
シン君が繋いでいる手の先の私を見てビックリしている。
 
「オレの彼女です、宜しく。」営業スマイルを彼女たちに向ける。
 
あっ、作った笑顔。シン君は私にそんな笑顔を向けない。
 
繋いだ指先は私の指先をなぞる。
 
そんなにゆっくりとなぞらないで、体が熱くなりそうです。
 
モゾモゾと動く私に気がつき、カレはニヤッと私を見下ろす。
 
もーーーっ、こんな意地悪そうな顔、私にしか向けない。
 
ある意味特別なのかな?
 
「そうですか。それでは、イ様の大事なお方なのですね。承知しました。」深々と挨拶をする。
 
「わっわっ、そんなに頭下げないでください。」私は慌てて止めさせようとしたが。
 
「イ様は長い間我がショップに通ってくれた大事なお客様です。大事なお客様の大事なお方は、我々にも大事なお方です。」キリッとした言い方がカッコイイと思った。
 
「じゃあ、もう頭上げてください。これから、お世話になります。」私も深々と頭を下げた。
 
二人で顔を合わせて笑い合う。この人好い感じ。
 
「今日は、バックを見に来ました。好いのがあるかちょっと見させて下さい。」カレは私の手を握って色んなのを見始め、手を握ってられなくなり、私は「シン君あっち見に行ってもイイですか?」カレを見上げる。
 
「ああ。」私とカレの手が離れた。
 
ずーっと繋がれていた手の温もりが段々冷たくなっていく。
 
でも、二人笑い合いお互いのモノを見始めた。
 
色々と見て回っていると、様々なブレスレットが置いてあり、一つ一つ手に取り、1つ気に入ったものを見つけてしまった。
 
シン君に似合いそう。
 
ゴールドの金具の中には、このブランドのロゴマークがある。
 
そして、色んな革の色が私を誘う。
 
シン君の腕に回せたら、素敵だろうな。
 
「ブレスレットですか?気に入ったのがありましたら、お手にしてください。」ニコッと笑う店員さん。
 
「これ?男性モノありますか?」シン君に聞こえないように小さな声で話しかける。
 
「はい。ございます。」引き出しの中から、ちょっと長いブレスレットが出てきた。
 
それも、ヌメ色の革のブレスレット。
 
やっぱ、シン君に似合いそう。
 
値札を見ると、64800ウォン。
 
無理だ。(泣)
 
入社2年目のペーペーがブレスレットにそんな大金。
 
シン君の家に少しだけ払っているし、アパートの事もあるし。
 
でも、これイイなー。
 
チロッとシン君を見ると、まだバックを物色中で私の事を忘れているみたいだ。
 
私もたまにはシン君に。
 
「お客様、迷ってますか?」
 
「はい、庶民には高いです。」泣きそうな顔。
 
「ブレスレットはただの装飾品かも知れませんが、意味もあるみたいですよ。
 
束縛・・独占欲。
 
イ様はブレスレットを好まないと前に伺った事がありますが、今は違うと思います。
 
愛するものを得て、その人から愛の証を腕に嵌められる。
 
最高に嬉しいと思います。
 
だって、お客様を紹介される時の、イ様のお顔。今まで見た事無いほど、幸せそうでした。」ニコッと笑う店員さん。
 
「・・・。」手にしたブレスレットをギュッと握り締める。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
二階のカフェに行き、ちょっと休もうと言ったシン君。
 
気入ったバックは見つかり、カレの隣の席には、下のショップのログマークの紙袋がドーンとある。
 
600000ウォンのバックはシン君に似合っていた。
 
カバンに600000ウォン、簡単に買えるシン君が羨ましい。
 
でも、カレはそれ相応の仕事をしているから、本当だったらもっと高いのを簡単に買える。
 
名前だけで、何十万、何百万もする高級そうなブランド品よりも、自分の好きな革製品のブランドを好むシン君
 
こういうとこもカレを好きなとこでもある。
 
コーヒーとカフェラテを頼み、私一人落ち着きがない。
 
「どうした?なんかソワソワしてるぞ。」
 
「はい?そうですか?」苦笑い。
 
「うん?何だその顔?隠している事あるだろう?」
 
ギクーーーっ!!もっとソワソワし始める。
 
「全く、さっさと白状する事!!」そこに店員が来て注文した物を置いていく。
 
二人の目線は、ちょっとだけ注文の品を見たが、直ぐにお互いを見る。
 
「チェギョン。」ジロッと見る目は、段々真剣になっていく。
 
私は自分のカバンの中に手を入れた。
 
深緑の小さな紙バックを、シン君の目線に持ち上げた。
 
「!?」ビックリするカレ。
 
「もし良ければ。つけて下さい!!」真っ赤になってカレに伝える。
 
シン君の隣の席に置いてある紙袋と同じ色、同じマークが付いている。
 
緊張の為、手が少し震えている為に、紙袋も微妙にカタカタとしている。
 
カレは小さな声で「オレに!?」指を添えて呟いた後、紙バックを受け取り中から黄色い保護袋を取り出し、その中に手を入れブレスレットを取り出した。
 
「シン君は、腕に付けるの嫌かも知れませんが、私の彼氏だっていう証、つまり貴方を束縛したいです!!」真っ赤になりながら一生懸命言う。
 
カレはブレスレットを見ながら、固まっているようだ。
 
「シン君?」何度呼びかけても反応がない。
 
「シン君!!」ちょっとばかり力強く言ったら「!!」驚いた顔で私を見る。
 
「シン君、固まっていましたよ。」
 
「すっげー、嬉しくて意識飛んでいたかも。」ブレスレットを持って、嬉しそうに見つめている。
 
「スマホのカバー、ネクタイ、ブレスレット。お前からのプレゼントが一個一個増えていく度に、幸せを味わう。ありがとう、大事にする。」カレの真剣な顔。
 
「はい!!」カレの言葉に、自分の気持ちまで嬉しくなってしまう。
 
「じゃあ、これオレの腕に嵌めてくれ。」私の方に自分の左腕を差し出すシン君。
 
左手には、私とお揃いのカップルリングが光っていた。
 
仕事以外では必ず嵌めてくれる、私って本当に幸せものだなーと改めて感じる。
 
カレが持っていたブレスレットを受け取り、腕に嵌めようとしたが、なんせ革がまだ新しくパリッとしていてなかなか穴に嵌めれないで苦労したが、ようやく固定できた。
 
「ふーーーっ。」ホッとした私は、椅子に凭れ掛かる。
 
「オイ!!崩れ過ぎた。」自分の腕にしっくりと馴染んでいるヌメ革のブレスレットを見ながら、私の事を注意する。
 
ヌメ革と言っても、最初はベージュ色なので、浅黒いシン君の腕には目立つ存在。
 
日毎にヌメ革の色が変わっていく様子を、間近で見れる彼女の特権。
 
ニヤニヤしながら「すっごく緊張していたんです。」
 
「オレもお前に、プレゼントをする時には、何時も同じように緊張する。」
 
私は自分の左指に納まっているカップルリングを触りながら「あんなに堂々としていたのにですか?」
 
「あれでも、最大級の緊張だ。」
 
「ぷっ。」軽く笑うとシン君がジロッと睨む。
 
「そんなシン君が大好きですよ。」さっきまでの緊張がなくなり、笑えるようになった私は顔の頬の筋肉が崩れたのか、ニコニコと笑いっぱなしだった。
 
「笑い過ぎだ。」
 
「さっきまですっごーく緊張してましたから。」冷めてしまったカフェラテをグビッと飲んだ。
 
「甘いです。何時もシン君のに慣れているから、ここのは甘いです。」又一口味わう。
 
「まったく女子達はオトコを誘う為に、カフェラテを頼む。」ボソッと言う言葉に「何・・・」私の言葉は途中で止まる。
 
カレの親指が急に私の顔に伸びてきて、唇の上をゆっくりとなぞっていく。
 
「このフォーム、必ずつくのに飲む時に忘れて、又思いっきり飲むんだお前は。」そして親指に溜まったキメ細かい泡達は、シン君の舌先が口の中に連れ込んでいく。
 
「確かに、泡まで甘いな。」私を意味ありげに見る。
 
周りのお客さん達が真っ赤になり、ざわついてきた。
 
「シン君!!こんなとこで、何時もやってる事しないで下さい!!」真っ赤になり怒ったが。
 
周りの人達が、「あんなの、何時もなの?」皆の目がハートマークに変わっていく。
 
「わっわっ。」慌てて言ってしまって、自分で墓穴を掘ってしまった。
 
「じゃあ、もっと何時ものを」急に中腰に立ち上がったシン君。
 
「ここじゃダメです!!」私の手は口元を覆う。
 
「はははっ。冗談だ。」ストンっと座った。
 
口元を手で塞ぎながら、フガフガと怒った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
夜になり全ての事を終え、二人並んでソファに座る。
 
テレビのリモコンを取り何かを見ようとしたら、カレの手がリモコンを奪う
 
「えっ?」
 
Tシャツにスウェットパンツのシン君はリラックスモード。
 
私はシン君のブカブカなプルオーバーのパーカーをすっぽり羽織、下はスパッツ。
 
カレはニッコリと笑い、メガネを外してテーブルに置いた。
 
「今日はもう寝る。」カレの体は私にもっと近づく。
 
私の気持ちも聞かずに、カレの手は私のパーカーを脱がせ始めた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
味わい尽くされてぐったりと寝ている彼女から離れ体を起こして、ベットサイドの引き出しを開けた。
 
帰ってきた時に、仕込んでいたモノを取り出し、彼女の左腕に当てた。
 
「まさかお前まで買ってるとは。ビックリだった。」
 
腕に嵌めたのは、穴を増やして貰い、彼女の腕に丁度良い。
 
そして、寝ている彼女の頬に優しいキスを落とす。
 
「何時も幸せを、ありがとう。」彼女の体を引き寄せ、ギュッと抱きしめる。
 
あんなに熱かった体はもう、火照っていない。
 
普通の体温がオレの体に行き渡る。
 
寝ている時まで一緒にいたいオレは、腕の中で幸せそうに寝ている彼女にもう一度キスをした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
次の朝、月曜日なので今日から仕事。
 
私とシン君は同じ部署なので、別々に出社する。
 
一旦アパートに降ろして貰い、行ってきますのキスを交わす。
 
「今日も仕事ヘマするなよ。」
 
「もーー、入社2年目の私ですよ。シン君にしごかれた私は大分よく・・・。」うっ、ヘマしたら今の言葉はヤバイ。
 
「おいおい段々声が小さくなっていくな。」意地悪そうな声。
 
「とにかくがんばります!!」急いで車を降りて、アパートに走って行った。
 
 
 
 
 
仕事場に着き、更衣室で制服に着替えようと脱いで、ブラウスを着てボタンを嵌めていったら。
 
「うん?」
 
左腕に何かある。
 
そこには、昨日シン君に買ってあげたブレスレットが!!全然気がつかなかった。
 
「えっ?」ビックリし過ぎて、私は着替えの途中で、経理部に駆け込んだ。
 
奥の室長の机には、シン君がニヤニヤしながら座っていた。
 
そして、左腕のワイシャツからは、昨日あげたブレスレットが見えていた!!
 
私にも同じ物が!!
 
急に、スマホのラインが鳴り、慌てて開くと。
 
 
オレもあの時に、バックと一緒にお前用にブレスレットを買った。それも、同じモノだとは。
 
カフェでお前から貰った時に、ビックリし過ぎて越し抜かすとこだった。
 
次から次へと鳴るラインの音。
 
オレこそ、お前を束縛したい。オレのオンナだって言う事を。それ、外すなよ!!
 
 
 
ボーーっとラインを見ていると先輩が私を見つけて、「チェギョン!!アンタそんな格好で!!着替えまだ終わってないのに、何でここにいるの!?もーー!!着替え直しなさいって。」ベストも着ずにブラウスのタイも結んでいない私は、先輩に引っ張られていく。
 
カレが付けてくれたブレスレットに気持ちを込めてキスを何度もした。
 
 
 
 
 
 
皆様、こんにちは。
 
お久し振りです。
 
お話の投稿が開いてしまいましたね―、私の事おぼえてますかー?(笑)
 
最近ネットも繋がりにくく、又パソコンも調子が悪く、まったく投稿できないでおりました。
 
もうSバンクのコンセントをさすだけでWiFiが繋がるというのを止めて、Dの光に入ります。
 
毎日繋がらないのに、お金を払うのはもう疲れましたー。契約解除の電話の時も、もう勘弁してくださいと言いました。(苦笑)
 
で、私の近況としては・・。
 
孫が産まれましたー。そして今同居をしております。
 
息子夫婦が家を建てるまで一緒に住むという事で、毎日孫の世話のお手伝いをしております。
 
赤ちゃんの世話は28年振りなので、てんてこ舞いですわー。
 
 
 
 
だば、またねー