COXから車で、前に行った事のある場所に向かった。

 
トソッチョン (土俗村)にあるサムゲタンの美味しい店。
 
家に帰って一人寂しい食事をするより、外食したほうがいい。
 
席に座り注文をしていると、LINEが鳴った。
 
「シン、なーなーっ、一緒に遊ぼうぜーー。インも誘ったから。」明るい文章。
 
「何度も言ってるだろう?。オレは行かないって。」最後には、怒りマークをつけた。
 
「シーーーンーーー!」泣きのスタンプ。
 
 全く何時もオレに冷たくされてもへこたれない、コイツ
 
ドM。
 
だから、ガンヒョンがタイプ。(笑)
 
まっ、オレもギョンの事は嫌ってないから。(フッ)
 
「後で、遊んでやるから。今日は許せ。」LINEを送る
 
 「絶対だぞーー!」嬉しそうなスタンプ
 
ちょうどサムゲタンもきた。
 
美味しそうな香りが辺りに漂い、鼻を動かしこの匂いを楽しむ。
 
 「いただきます。」両手を合わせて、食事を始めた。
 
 
 
 
 
 
食事も終わり、家に着き玄関に置いてあるリングケースを開く。
 
彼女とのお揃いのカップルリングを嵌める。
 
これが、ここの部屋に入る為の儀式に成りつつある。
 
一箇所毎に電気を付け部屋を明るくし、一人でこの広い部屋に佇む。
 
テーブルにカバンを置きながら、ネクタイを外し上着は椅子に掛けた。
 
何時もだったら、チェギョンが片付けてくれる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
パタパタと忙しく、クローゼットを開ける彼女。
 
オレはカバンからパソコンを出し、電源ボタンを押しながら、目は彼女を追う。
 
彼女は着替える為に、寝室のドアをしっかりと閉めた。
 
チェッ。
 
追いかけて、ちょっかい掛けようかと思ったが、パソコンが立ち上がったので止めた。
 
彼女が夜飯の支度をしている間に、自分の実家の会社のメールや状況をチェックしていく。
 
夢中でやっていると「シン君、ごはん出来ましたからね。」小さな声を掛けてくる。
 
「う・・・ん、これ、あともうちょっと。」キーボードは止まらない。
 
しばらくして「よし、これで良いな。」送信ボタンを押して、電話を掛けた。
 
実家のオレ担当のコンに電話を掛けて、色んな事を言い合う。
 
ソファから立ち上がり、チェギョンが一人で待っているテーブルの椅子に向かう。
 
椅子に座り「じゃ、宜しくです。」通話が切れた。
 
ふっと見上げると、彼女はジーッとオレの事を待っていてくれていた。
 
「すまない。待っていないで先に。」
 
「ご飯は一緒に食べた方が美味しいんです。毎日の出来事、楽しい事、悲しい事を言い合いながら食べる。
 
だから、待ってます。シン君のお仕事が終わるのを、待ってます。」チェギョンは眩しい笑顔で笑ってくれた。
 
 
 
 
 
「まったく、ここにいなくてもチェギョンの事ばかり想ってしまう。」リラックマの紙袋から、箱を3つ取り出した。
 
一つの箱を手に取り、中身を取り出す。
 
そこには、彼女の大好きなリラックマのスマートフォンカバー。
 
ポケットに入れていた、自分のスマホを取り出し、チェギョンから貰ったカバーを外し、リラックマのカバーを付けた。
 
リラックマのカバーを付けたオレのシンプルなスマホは、一気に可愛くなってしまった。
 
手に持ち、ジロジロと前から後ろから横から、色んな角度でこれを眺める。
 
「イ・シン。好きな女とペアをする、かっ。」アハハハっと笑う。
 
「スカして生きていたあの頃よりも、今のオレの方が好きだぞ。イ・シン。」
 
電源ボタンを押し、待ち受け画面が出る。
 
そこには、キラキラ光るチェギョンの笑い顔があった。
 
オレが日本から買って来た、日本限定のリラックマのぬいぐるみを、ギュッと抱きしめて笑っている彼女。
 
可愛い、早く女子会終わらないのか。
 
スマホの時刻は、まだ8時半。
 
女子のおしゃべりは長いからな。
 
フーーーッと溜息を吐きながら、ワイシャツのボタンを外し、袖口も外す。
 
「早く、喜ぶ姿が見たいな。」ワイシャツを脱ぎ、バスルームに向かう。
 
一人寂しい日には、お湯を張らずにシャワーだけにする。
 
全ての物を脱ぎバスルームの扉を開けた。
 
 
 
季節は春を過ぎ暖かい日々が続いている。
 
シャワーで洗い流した体を、バスタオルで拭く。
 
何時も丁寧に、彼女を拭いてあげているのに、彼女に「拭いてみるか?」と言っても拭いてくれない。(チェッ)
 
ボヤーっとしか見えない視界が嫌で、洗面台に置いていたメガネを取り、耳にかけた。
 
するとクリアな世界が戻ってくる。
 
髪の毛からはまだ水滴がポタポタと落ちている。
 
洗面台の鏡には、髪の毛が長くなったオレがいる。
 
そろそろ、髪の毛切るか?
 
置いていたスマホを持ち、何も着信がないのを確認した。
 
オレはバスルームから出て、火照った体の熱を冷まそうと、腰にバスタオルを巻いたまま、キッチンに向かった。
 
最初の頃、彼女がギャーッギャーッとうるさかったが、今では慣れたかな?
 
テーブルにスマホを置き、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、蓋を外し一気に飲んだ。
 
 
流し台の上に置いていた、スマホの着信音が鳴り始めた。
 
「うん?」飲みながらスマホを取ると、画面には「ねーさん?」急にどうしたんだ?一緒に暮らしていない両親を思い浮かべた。
 
何かあったのか!?慌てて通話ボタンを押した。
 
「ねーさん?」
 
「あっ、ちょっと大変なの。直ぐに迎えに来て頂戴。」後ろからは、ガヤガヤと音がうるさい。
 
「どうしたんだ?」
 
「あっ、チェギョンちゃんがね。」
 
「今直ぐに行く。」言葉も終わらないうちに切ってしまった。
 
パーカーにジーンズを出し、あっペンティも。
 
慌てて、部屋を出て行こうとしたら又鳴った。
 
「なに?今出るとこだ。」スニーカーを取り出し、履きだした。
 
「あんた、ここがどこか分かってるの?」ねーさんの言葉にビックリする。
 
「!」言葉にならない声が漏れる
 
「まったく!私の店まで来て。」ブチッと切られた。
 
すっかり場所を聞くのを忘れていた。
 
車のキーを手に持ち、どんだけ慌てているんだ。(苦笑)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「このネックレスの指輪は、オレのおばあさまから頂いた物だ。結婚するまでお前が付けていてくれ。」

私の初めての日。
 
シン君が膝まつきながら、自分の胸元から外して私の胸元に下げながら言った言葉。
 
 
それから今日までずーっと私の胸元でキラキラと光っている大小の指輪。
 
シン君は何時も無意識にこの指輪を触り、その存在を確かめる。
 
「おばあさまは何時もオレの味方だった。若い時に粋がっていて、誰も寄せ付けないオレに優しく接してくれた。
 
何時も笑顔で、冗談が好きで可愛らしいおばあさまだった。」
 
私の顔をじーーッと見て「お前似てるかも?」私の体をギュッと抱きしめる。
 
「えっ?」
 
「オレは、おばあさんっ子だったからな。だから、お前に一目惚れしたかも。」にやっと笑う。
 
「シン君のおばあさまにですか?」シン君に抱きしめられ、ドキドキが止まらない。
 
「亡くなる前に頂いた大事な指輪なんだ。シンの本当に大好きな人に渡して。婚約者とは仲が悪いと感づいていたから」苦笑いのシン君。
 
「大切にします。絶対に無くしません。」そう、シン君に誓った大切な指輪。
 
 
 
 
 
 
 
シン君の大切な指輪なのに、違うって先輩に言ってしまった。
 
ズッキン、胸が痛い。
 
大事なのに、大事な指輪なのに本当は嘘を付きたくない。
 
自分のイチゴの味のマッコリのグラスを持った筈が、先輩のワインを飲んでいた。
 
「うっ。」キツイ。
 
「チェギョン。アンタ、ワインとかまだ飲めないはずじゃ」ガンヒョンが止めようと。
 
「うん、まだ。うーーーーー。」即効に酔いが回った。
 
「チェギョン、私、ワインの度数が高いの飲んでいたから大丈夫?」先輩が体を擦る。
 
「グラン、グランしますが、まだ大丈夫ーーーー。」でも、相当頭にきていた。
 
イチゴ味のマッコリを飲み、ワインを忘れようとぐいぐいと。
 
「そんなに慌てて飲まないの。」止められたが、指輪の事で嘘をついてしまった自分の対処が悔しくて、ピッチが早い。
 
女子会もお開きの時間になり、このまま帰る人や2次会に行こうーーとガヤガヤ。
 
そこにおねーさんがやってきた。
 
立ち上がり皆会計に移動しているのに、頭を下げて「今日はどうもありがとうございました。」何度も言っている。
 
殆どの人が出て行ったとき、ちょっとばかり酔ってしまった私は、立ち上がろうと、腰と足に力を入れたら、ガタンーーーーっと尻餅をついてしまった。
 
「腰に力が。」真っ赤になりながら。
 
 それに気がついたおねーさんが「チェギョンちゃん、大丈夫?」近寄って来てくれた。
 
「あっ?おねーさん。ちょっとバランス」口が回らない。(汗)
 
「もうーーっ、そんなにお酒強くないのに。待って今シンに迎えに来てもらうから。」おねーさんはスマホを取り出し、シン君に電話を掛けた。それも2回も。
 
「もうーっ、場所も聞かないで直ぐに切っちゃうなんて。慌て過ぎよねー。」ニヤニヤ笑うおねーさん。
 
「チェギョンちゃんもたまには、羽伸ばしたらいいのに。ずーっと馬鹿弟と一緒で飽きない?」
 
「あきませんよ、だって大好きですから。」と言ったはずなのに。
 
「チェギョンちゃん。ろれつ回ってないわよ。」マジな顔。
 
「あれ~~?」真っ赤になった頬をギュッと触る
 
「もう、完全に酔っ払いね。」クスクス笑う。
 
 
会計を終わって、次の場所へ移動しようと、先輩とガンヒョンが戻ってきた。
 
そして、先輩は私達を見てビックリしていた。
 
「えっ?知り合い?」
 
しまった。3人の顔がいやーな顔になる。
 
黙ってしまう3人。
 
「オーナーシェフとは、初めてでしょう?」先輩の顔が怪しくなっていく
 
「チェギョンちゃんは、私の弟の大事な彼女なの。」おねーさんがしっかりとした声で言う。
 
「えっ?チェギョンのカップルリングのお相手のおねーさん?」
 
「そうよ。」おねーさんは、はっきりと言う。
 
「おねーさん。」私の眉毛が下がる。
 
「もう、言っちゃいましょう。それに見た所、悪そうな人じゃなさそう。」私を支えながら私を見つめる。
 
 
そこに荒い靴音がした。
 
「ねーさん、チェギョンは?」荒い声は私の名前を呼ぶ。
 
先輩の目がとんでもなく見開いた。
 
座り込んでいる私の傍に、シン君が駆け込んできた。
 
「チェギョン、顔真っ赤だぞ。」おでこを触り、ちょっとだけ熱いなとブツブツ言う。
 
「シン君、先輩に・・・」私より後ろの先輩って、言おうとしたのに。
 
「お前、ろれつ回ってないぞ。」からかうカレ。
 
「もうーーっ、姉弟で同じ事に突っ込まないで下さい。」言った筈なのに「酔っ払い。」私の頬を触る。
 
「ねーさん、チェギョンに冷たいタオル。」私の髪の毛を撫でながら、隣のおねーさんに言う。
 
「もしかして、室長・・・ですか?」恐る恐る話す言葉は、震えている。
 
シン君の目がビっクリしている。
 
ガンヒョン、おねーさん、私の他に、聞こえた声の方にゆっくりと顔を向けた。
 
「・・・イ・ジイさん・・・。」
 
「室長ですよね。髪の毛下ろしてそんな格好していて、パッと見は判りませんでした。」余りの驚きに先輩の声が小さい。
 
「チェギョンのカップルリングの相手は、室長なんですか?でも、室長は普段は、指輪してないし。」先輩はアハハッと辛く笑う。
 
でも、先輩はシン君の指元を見て、悲しい目をする。
 
「カルティエ、そんなーッ」
 
「事実だ。チェギョンとオレは付き合ってる。」私の体をギュッと引き寄せる。
 
「室長とチェギョンは、お互い嫌ってたじゃないですか!」先輩の声が荒くなっていく。
 
「なんで?チェギョンなんですか?だって室長、会社の女には手を出さないって。私に言ってたじゃないですか!」先輩の体が震えだす。
 
シン君は、ガンヒョンとおねーさんに、私を任せて、立ち上がった。
 
「イ・ジイさん。オレの一目惚れなんだ。去年の入社式で、チェギョンに一目で恋に落ちた。初めて好きになった女なんだ。」優しく誠実に先輩に言う。
 
「好きで好きで、好き過ぎて。どうしようもないほど惚れてる。」シン君の良い声がこの部屋に響く。
 
私は酔っ払いながらも、シン君のはっきりと真剣に言う言葉に、涙が出できた。
 
 
 
 
 
 
 
 
皆様、こんばんは。
 
今日のイラストは、欲しかったi phone5のカバーを描きました。
 
シン君の指、長すぎて気持ち悪いのは、見逃してください。(汗)
 
ちょっと前にi phone11が発売して、そっかーこの話を書いてから結構な年月が経ってますね、としみじみと思い
 
まだまだシンチェの事が大好きなんだなーと改めて思いました。
 
パートと深夜のバイトの二つ掛け持ちで、全くお話を書いてませんが、四葉の移動が終わったら少しづつ頑張ろうと思ってます。(汗)
 
では、又明日ー。だばねー。