「いいか、いくら男がいないとはいえ、気をつけろよ。」

 
「大丈夫ですよ。先輩達とですよ。」
 
朝のちょっとした時間。

カレの腕枕で目が覚めた私は、髪の毛をなでて貰いながら、シン君のやりたいようにさせていた。

「心配だ。」

「何、心配することがあるんですか?」

「オレが目を光らせていないと。」

「もーー!私はシン君と違って、いたって平凡な女子です。だから、心配なんかいらないんですよ。」

その言葉を聞いて、私を自分の身体にぐいっと乗せる。

「お前なーっ!!自覚のないのは、ほんと。困る。」サラサラ髪の毛の間から、般若の目が光。

「(゜ロ゜;。」ヤバイ、素直に般若って言いそうだった。

「なんだ、は、は?」ジロッと睨む。

「いえ、何でもないです。」
 
般若の言葉をごまかそうと、カレの鼻の上にキスをする。じーーと見つめあって、又頬にキスを落とす。

カレは私の首もとに下がっている指輪をさわり、クルクル回す。

シン君の体の上に体をくっつけ、シン君の心臓の音を聞く。

「シン君の心音聞けるのって、私位ですよね。」

「じゃあ、ここは私の特等席です。」瞼を閉じながらカレの心臓のリズムに一瞬眠りにつこうと。

「オイ、甘える振りをして眠る気だな?」ビシッと鼻を摘ままれた。

「イターーーイです。」

「起きないと、大変なことが起きるぞーー。」

「はっ!そうでした。」体を起こし、そこらへんに転がっているバスタオルで体を隠して、馴染みのバスルームに駆け込んだ。
 
「まったく前を一生懸命隠したって,後ろは丸見えだ。」苦笑いをしてしまう。
 
「さっ、オレも行く準備するか。」ベットから降り、チェギョンのいるバスルームに向かった。
 
 
 
 
 
「じゃあ、室長、お疲れ様でしたーー。」金曜日、今日は定時退社日なので、皆帰りが早い。
 
気がつかれないように、チェギョンを探す。
 
いた。
 
隣の同期入社のイ・ジイと話をしていた。
 
昨日、突然決まった女子会だそうだ。
 
だから、チェギョンが「見えるとこに付けないでくださいね。」何度も念を押されたが。
 
つい癖で一個付けた後に、思い出した。でも、首もとの後側だから大丈夫だろう。
 
10人位の女子達が集まり、嬉しそうに話をしている。
 
そこに、LINEの音が。
 
ギョンの名前が、嫌な予感がする。
 
「お互い彼女のいない日は、羽目を外そうーー。」ビールを飲んでいる青いぱんだのスタンプが貼ってあった。
 
「・・・。」飲む前から具合の悪そうなイラストだ。
 
「オレは、遠慮しておく、用事がある。」送信。
 
「一緒に遊ぼうよー。」また着た。
 
「用事がある。」次から次へとラインが鳴っていたけど、無視。ギョンなんかと遊んでられない。
 
オレは、COXに入っているリラックマの店舗に予約していたスマホのカバーを取りに行かないといけない。
 
スマホをポケットに入れて、行こうとした時に又LINEが鳴った。
 
くそっ。ギョンのヤツ、うるさいって呟きながら開いたら、チェギョン。
 
「じゃあ、行ってきますね。帰りはガンヒョンと帰ります。」手を振る青いぱんだのスタンプ。
 
真面目なチェギョンは、何時もLINEをくれる。まったく可愛過ぎる。
 
経理部の女子達がゾロゾロと出て行くのを確認して、帰る準備をした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今日の女子会の場所は、なんとシン君のおねーさんのお店だった。
 
「ほらっ、ここってソウルで一番美味しくて予約取れない店で、有名なんだからね。」
 
女子会のメンバーは10名。
 
私とガンヒョンは結構来ていて、予約が取れないと聞いて、ビックリした。
 
だって何時もカウンター席に簡単に入れたから。
 
「昨日、駄目もとで電話したら、キャンセルがでたのでおkですって言われた時には、すっごく嬉しかったのよーー。」
 
中に入りながら、案内係りのオニーさんが出て来て、後ろの並んでいる私を見て、あっ!という顔をしていたが、私は内緒で!ってジェスチャーをした。
 
こんなソウル一美味しくて、高級店が馴染みって入社2年目の女子は、バレちゃいけない。(汗)
 
それに、オーナー直々に料理教えて貰ってるって知られたら。(汗)
 
案内されながら、奥に進んでいくと、カウンター席が見えてきた。
 
何時も座っている席。
 
つい、シン君と一緒に並んでいるのを、思い出す。
 
「あっ、あのカウンター席って、凄いのよー。ネットの噂だけど、シェフが認めた人しか座れさせないんだって。常連客もあそこには座られないんだって。それに、あそこに座るとシェフ自ら作ったデザートが、タダで出てくるんだってよーー。」他の8名の女子がキャーキャー言いながら、盛り上がる。
 
ヤバイ、そんな凄いもんだったの?ガンヒョンと目を合わせながら、苦笑いをする。
 
おねーさんが作るデザートを、何時もペロッと食べてしまう。今度から、味わって食べよう。(汗)
 
 
席に着き、皆メニューを開き、テンション高く色々と悩んでいると、個室の扉が開き、シン君のおねーさんが入ってきた。
 
「今日はわがレストランへ、ようこそ、皆様、初めてですか?」おねーさんの営業スマイルが光り輝く。
 
あーーっ、ほんと、シン君に似ている。
 
女と男の姉弟だから、パッと見は似ていないけど、仕草、時々見せる表情そっくり。
 
「初めてです。オーナーシェフ自ら出てくるなんて。」先輩達の頬が赤くなる。
 
「皆さんが綺麗だからですよ。秘訣を聞きに来ました。」オネーさんの旨いトークで、皆笑いメニューを相談していく。
 
私とガンヒョンの番が来た。
 
「うーーん。貴方は好き嫌いはなさそうなので、シェフお勧めで良いかしら?」
 
「はい。」おねーさんの意地悪そうな目はシン君にそっくりです。(汗)
 
「デザートもたっぷりとね。」ニッコリと笑い、ガンヒョンにも同じようにシェフお勧めにしていた。
 
なんたって、ガンヒョンも此処には、何度も来ているので、好みはおねーさんがバッチリわかっている。
 
「では、料理が来るまで、飲み物でお楽しみください。」頭を下げおねーさんは出て行った。
 
 
扉が閉まりシーーンとした部屋
 
すると「きゃーーー、本当に今日は凄いわ。あのオーナーシェフが出てくるなんて、奇跡よ!」皆ガヤガヤと騒ぐ。
 
「えっ?そんなに?」
 
「そうよ、出て来ても、カウンターから出ないって言われてるんだから、今日は本当にどうしちゃったんだろう。」皆興奮する。
 
私とガンヒョンは苦笑いをするばかり。
 
LINEが鳴った。
 
「もーー、ビックリしたわよ。私達の事は内緒なのね。今日はチェギョンちゃんとガンヒョンちゃんの先輩達だから頑張るわよーー。」
 
私は、ガンヒョンにも見せ「はい、美味しいの食べさせて下さい。」青いパンダが大きな口をあけたスタンプを貼った。
 
 
 
 
 
 
 
食事も進み、お酒も入り皆饒舌になっていく。
 
「ネネ、今年の新入社員&女子が選ぶ我がホテルNO1のイケメン。又、うちの室長だったねー。」
 
「そうそう、私も室長に入れましたよ。」我が経理部に今年配属になった子。
 
「もう、殿堂入りじゃないですか?」
 
「あのスタイルでしょっ、あの冷たそうな顔が又良い!」先輩が叫ぶ。
 
「そうよねー、センスも良いし、身長高いし、優しいし。」皆シン君の事を褒めちぎる。
 
「何たって、声。あの声を耳元で囁かれたら、絶対腰抜けるって。」皆、ウンウン頷く。
 
うーーん、聞いていると段々眉間に皺が寄る。
 
「チェギョンったら、嫌いだからってそんな顔しないの。」
 
「先輩嫌いじゃ。」反論して根掘り葉掘り聞かれるのは無理だと思い、言葉が小さくなっていく
 
「アンタには、急上昇のムン・ジェウォンが合うんだけどな。」
 
「ムン・ジェウォンさん?」
 
「我が経理部のホープ、仕事もできるし、優しいし、で、水泳で鍛えた逆三角形の体系たまらん。」
 
「せんぱーーい。話、横にずれましたよ。」
 
「で、そんな彼がわが社の社長を押さえつけ、3位ーー!パチパチ。2位はカン・インさんー。4位チャン・ギョン社長ーー、まっ、ガンヒョンという彼女がいるからねーっ。」先輩はワインを飲みながら、ガンヒョンを指差す。
 
「まっ4位にいるなんて勿体無いくらいですよ。」ビールをグイッと飲む。
 
「先輩、私には彼氏がいるので、ムン・ジェウォンさんはないですよー。」手を横に振る。
 
「おっ!今日の女子会のメイン、チェギョンの彼氏を聞く!だったわ。」先輩の目の色が変わる。
 
「アンタ。入社2年目で、彼氏にカップルリングなんて早いわよ。」そうだそうだ!と周りの先輩も言う。
 
「そうなんですか?」みんなに言われて、指輪を触る。
 
「で、どんな人なの?写真みせなさいーー。」
 
「えっ?どんな人ってカッコイイですよ。」真っ赤になる。
 
「おーーー、あの?ずーっと待っていた人?」
 
ユ、ユル君かな?・・・忘れてた。下着の時にしか現れなくなったユル君。今度お店に行ってみようかな。
 
「何、呆けてるのよ。」バシッと背中を叩かれた。
 
「あれはあれで大切な恋でした。ただ想うだけで、いつ迎えに来るのか分からない恋。ずーっと夢の中の人に恋してたんですね。
 
私の彼氏は、そんな私を現実に引っ張ってくれた人です。好きじゃなっかったです。むしろ嫌ってました。」アハハッと笑う。
 
そこにおねーさんが扉を開けて、デザートを持ってきた。
 
あまりの綺麗さに皆目が輝き興奮の声をあげる。
 
ほらっ、ガンヒョンでも、デザートに目が行ってる。
 
皆デザートに夢中になっている時、先輩が私に小さな声で話し掛けてきた。
 
「チェギョン、胸元にぶら下がっている指輪のネックレス室長と同じに見えるんだけど?」先輩の真面目な顔。
 
「えっ?」ヤバイ、イヤッなんで指輪を見た事があるの?
 
嫌な汗が出てくる。
 
二人の間に言葉がなくなったが、時間と共に言葉が出た。
 
「前に飲み会があって、室長、サマーセーターにコットンパンツで、胸元にそれによく似た、指輪を下げてたの。」
 
「先輩、違います。」本当は違うって言いたくない。シン君から貰った大事な指輪なのに、嘘つきたくない
 
動揺した私は、先輩が飲んでいたワインを一気に飲み干した。
 
「あっ!チェギョン!」止めた言葉は遅かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
COXの駐車場に着き、中に入っていく。
 
金曜日の夜。凄い人だ。
 
ここは、映画、ゲームセンター、カジノそれに店達も沢山入っている。
 
ここは昔、アイツらと騒ぎ何度も女をチョイスした場所。
 
自己嫌悪。
 
若い時のオレッてほんと、最悪だったなー。
 
髪の毛も肩まであって粋がっていた頃。
 
今、、目指す場所なんか、見向きもしなかった。
 
幼かったチェギョンは、あの店に来ていたかもしれない。
 
そして、もしかしたら、遭遇していたかもしれない。
 
あの頃のオレは酷かったから、運命もチェギョンに合わせてくれなかった。
 
イ・ユルを待ち続けていた彼女には、男の影はない。
 
それに比べてオレには婚約者も、遊びの女がうじゃうじゃと、チェギョンの耳に入っているだろう。
 
イ・ユルの事だけでも、凄く心乱れる事があるのに。
 
きっとオレの過去で悩んだかもしれない、だから過剰にチェギョンの為に買ってしまう。
 
申し訳ないという気持ちで。
 
でも、今はチェギョンの為に、まともな人間に少しはなったと思う。
 
ポケットに手を突っ込み、ちょっとだけ笑う。
 
 
目的の場所まで突き進む。
 
皆より頭一つ分出ているオレは、目指している店を早く見つける事ができる。
 
窓ガラスいっぱいに、リラっクマや、コリックマ、キイロイトリが並ぶ。
 
入り口から入り、レジを目指す。
 
「あっ、いらっしゃいませ。」頭をペコッと下げる店員
 
「イ様、予約していたのが、届きました。」
 
 
この間、映画を見に来た時、見つけたリラックマのグッズ新作情報。
 
チェギョンは目を輝かせ、「欲しいですーーー。うん?でも、高過ぎです。129600ウォンですよ。無理です.」ヘナーーっとなった顔。
 
i phoneカバーとしては、高過ぎるかもしれないが、ピンクのコリラックマでハンドメイドの革製品。
 
「何時ものリラックマじゃないのか?」
 
「ピンクのコリラックマと、この四葉のクローバーがとっても似合うんです。」彼女の目がキラキラと光って見える。
 
ドキンッ。ヤバイ可愛過ぎる。オレは体を屈み込み、チュッとキスをした。
 
「!!!!」ビックリした彼女は、真っ赤になる。
 
「今のは、カバー代。」ニヤニヤ笑いながら、注文ナンバーを引っこ抜き、ふっと横を見るとリラックマリングが目に入る。
 
ピンキーリングにしても良さそうだ。
 
彼女が真っ赤になって、ブツブツ怒っている横で、その注文ナンバーも隠れて取った。
 
 
 
 
後ろの棚をゴソゴソと探していると、箱を2つ取り出してきた。
 
「はい、コリラックマのスマホカバー1点と、リラックマリングですね。」箱の中身を確認して、会計をしようと。
 
「あれ?それは?」
 
「これは、キャンセルが出たんです。又再募集しないと」箱にはリラックマスマホカバーと書いてある。
 
その箱をジーーッと見る。
 
「お会計は259200ウォンです。」
 
「あっ、ちょっと待ってください。」オレの手は,店員の手を止めた。
 
「私が買います。」指はリラックマの箱を目指していた。
 
「えっ?イ様、2つ買ってあげるのですか?あの可愛い彼女さんですよね。あんなに可愛いと何でも買ってあげたくなりますよね。」店員は笑いながら、ウンウンと頷く。
 
箱をもう1つレジの横に置いた。
 
財布からカードを取り出して「いえ、自分で付けようかと。」ボソッと言った。
 
「えっ!?このカバーをですか?」店員の目が落ちそうだ。
 
「はい。彼女とペアに。」このオレが彼女とペアが欲しくてとうとう
 
「何か不安でもあるんですか?」
 
「えっ?」
 
「何か、必死に見えて、あの彼女さんならイ様の事好き好きオーラたっぷりですよ。何も心配要らないと思います。
 
こんな店だから、彼女の為に付き合って入ってくる彼氏さんがいっぱいいますけど、イ様カップルほどラブラブはいませんよ。
 
イケメンさんとカワイイ彼女、見た目はギャップはあるかもしれませんが、何時も手を繋ぎ堂々としている。
 
お似合いですよ。」
 
店員から、初めてオレたちの事をお似合いと言われた。
 
「ありがとうございます。」胸がジワーと温かく満たされていく
 
「このカバー止めますか?」
 
「いえ、それも下さい。」3個分の支払いを終え、オレはこの店から出た。
 
カップル、家族、友達達と溢れている場所にオレは仕事帰りの姿で立つ。
 
でも、手にはリラックマ紙袋を持つ。
 
女子達がビックリした目でオレの事を見るが、まったく気にしない。
 
堂々とこの紙袋を持って、駐車場に向かった。
 
 
 
 
 
 
 
みなさまこんばんは。
 
四葉のお話も後半を過ぎましたー。
 
毎度読みに来てくださり、本当に有難うございます。
 
さて、四葉の中でもこの女子会の話が好きなんです。
 
少し間を開けて四葉のお話を書く時には、必ずこの女子会を読んで、シン君とチェギョンになりきって書いてます。
 
それに、イラストのシン君の横顔が一番のお気に入りです。(ニヤリ)
 
この話を書いている時に欲しかったi phoneのカバー。リラックマ、コリラックマどちらも可愛いーー。
 
なんたって、四葉のクローバーも革でついてました。
 
気が付いた時には販売が終わっていたので、泣きました。で、シン君に持たせました。(笑)
 
では、明日ー。だばねー。