「我らがアイドル。シン・チェギョンちゃんが指輪してるって、知ってたか?それも、カルティエだそうだ。」
 
食堂の隣にある喫煙ルームに、声が響く。
 
「なにーー!!??」
 
「嘘だーー!!」
 
「マジーー?俺達のアイドルがーー!」
 
「清純アイドルがいなくなった。」色んな声が聞こえる。
 
「彼女だけは、してないって思ったのにーーー。」
 
「彼女の初めて、俺がって狙ってたのに。」
 
「相手が誰か、分るってるのか?」
 
「嫌っ、相手の事は、笑ってごまかすそうだ。」
 
「クーーーっ、俺達の理想の嫁がーーーー。」様々な声が飛び交う。
 
「でも、指輪しているだけで、結婚したわけじゃないから、まだアタックできるんじゃないか?」悲しみの声から急に希望を見出した男達
 
「そっかー、まだ希望は捨てないぞーー。」一気に高まる男達
 
その様子を、タバコを吸いながら、ボーっと見ていた。
 
「オイ、張本人。」ニヤニヤと隣のインが笑う。
 
「我社で嫁にしたいNO,1の彼女が指輪しただけで、ショックな男がいっぱいいる。凄いなー。」
 
「ふんっ。」タバコの灰を捨てる。

そして又、口元に持っていき、深く吸う。

肺まで行き届きそうになったときに、タバコの煙を吐き出す

スマホの画面を見て、タメ息を吐く。

「オイオイ、張本人。なに暗くなってるんだ?」インもタバコを吸いながら、オレを見る。

「早く、結婚してーーーー。」立ちながら、ポケットに手を入れてしみじみと言う。

「なんだ、なんだーー?」インが慌てる。

「毎日が心配で、身が持たない。どいつもこいつも、チェギョンを狙っていて、一番はムン・ジェウォンがヤバイ。」

スマホのチェギョンは、可愛く微笑んでいる。

「じゃあ、すればいいじゃん。」インはニヤッと笑う。

「直ぐに、したい。」フッと笑う。
 
昨日の彼女との愛を確かめ合った事を思い出しながら、呟く。
 
「カップルリングをさせても、オトコどもは諦めないようだ。」騒ぐオトコを見て、ため息を付く。
 
「結婚しちゃえよ。」インは笑う。
 
「マジでしたいが、チェギョンは仕事もようやく覚えて、独りできるようになった。今が一番仕事が楽しいのに、結婚したらそんな事も出来なくなってしまう。
 
だから、オレは待つしかないんだ。タイミングを逃さないように、ずっと彼女のそばにいる。」タバコを終え、吸殻入れに先を潰して入れた。
 
「じゃあ、な。あのバカ社長にもよろしくなっ。」軽く手を上げる。
 
「お前の忍耐力が、どこまで続けれるのか、見届けてやるよ。」ニヤッと笑うイン。
 
「ふん。」
 
 
 
 
経理部に着き、自分の席に着こうとしたら。
 
チェギョンが男子にファイルを持ってきてあげたようだ。
 
「チェギョンちゃん、ありがとう。お礼に夜飯奢るよ。」
 
「何言ってるんですか。この位で食事って、お礼多過ぎですよ。」軽くかわしていた
 
イライラする。オレのオンナに話しかけるな!
 
イライラしながら席に着くと、LINEが鳴った。
 
まだ休み時間なので開くと、そこには。
 
 
「シン君、ガンヒョンが風邪引いたみたいで看病したいので、今日はシン君のおうちに行けません。ごめんなさい。」謝っているスタンプ画像と共に。
 
机に肘を突き、呟いた。
 
「結婚してーー。」誰にも聞こえないように呟いた。
 
 
 
 
 
シン君、もう帰らないと。」
 
 
「ん。」
 
 
「シン君、明日も会社ですよ。」
 
 
 
「まだ。」ギュッと抱き寄せられる。
 
 
 
「寝る時間遅くなりますよ。」
 
 
 
「・・・。」もっと抱きつかれた。
 
 
「何かあったんですか?」ボソッと言った言葉に、シン君の体が反応する。
 
 
「嫌。」肩に顔を乗せて、大事そうに抱かれる。
 
 
私は、カレが帰るのを諦め、自分からも抱きついた。
 
 
 
暫く抱きあっていると。
 
 
「・・やっぱ、お前の体キモチ良いな。落ち着く。」私のおでこにキスを落とす。
 
 
 
「私もシン君に抱きしめられているの好きです。それに、香りも。」
 
 
 
「チェギョン」
 
 
 
あっ、いつものカレの顔。
 
 
キス
 
 
 
私もそれに答えようと目を瞑る。
 
 
 
 
 
「はい、そこまでーーー、。全くーっ私の風邪を看病するって言ってくれてたのにー。」ガンヒョンに、ジロッと見られる。
 
 
 
熱さましシートをお凸に貼り付け、微熱があるのに怒ったガンヒョン。
 
 
「ラブラブな二人見て、少し熱上がったかも。」ヨロヨロと自分の布団に倒れこんだ。
 
 
 
ガンヒョンに言われても、私達は離れられずに、抱き合っていた。