ジムのルームランナーで黙々と走り続ける。

 
1時間位走り続けていると「シン、もう上がるぞ。」オレと同じように走っていたギョンがバテて、ルームランナーから降りた。
 
オレの足はまだ止まらない。
 
「何悩んでるんだ?」ギョンがポツリと言う。
 
オレは無視をして、走り続ける。
 
「シン、俺にも頼れよ。」
 
ギョンの顔をちろっと見る。そこには、犬のような顔をして、オレが何かを言うのを待っていた。
 
ルームランナーの停止ボタンを押し、ゆっくりと止まる。
 
オレの足も動きが止まる。
 
1時間も走ったのに、まだまだ物足りない。
 
このモヤモヤを晴らす為には、まだ体をいじめないと。
 
「シン、飲みに行こうぜ。そこで、鬱憤晴らせよ。」背中をバシッと叩かれた。
 
オレとギョンの目が合う。
 
「たまには行くか。」ボソッと答える。
 
「久し振りだな。お前が秘書の時は、海外のホテルでは良く飲んでいたけどな。」
 
「何処に行く?」
 
「あーッ。前に行ってたとこでいいんじゃね?」二人並んで歩き出すとジムに来ていた女がオレ達に声を掛けてきた。
 
「ねー、私達もこれで終るんだけど、一緒に食事にでもどう?」モデル並な体のオンナ二人。
 
昔は必ず手を付けていたけどな。
 
ギョンと目を合わせて、お互い首を振る。
 
「他を当たってくれ。」女達を置いて行く。
 
「ちょっとーー。私達の誘いに乗らないなんて、オトコじゃないわ。」
 
「大人になると、そういう遊びはしないんだ。」
 
「そうそう、彼女がいるのに遊んだら、結局はバレちゃうからねー。一夜のお遊びで、大事な女と離れたくないから。」ギョンがたまに良い事を言ってる。
 
「そのスリリングが良いんじゃない。」オンナ二人は笑い合う。
 
先に歩いてたオレは、後ろを振り向き「本気の恋しろ。」一言だけ言って、ジムから出た。
 
 
 
 
 
 
シャワーを浴び終わり、タオルで体を拭いていると、ギョンが。「おっ!!初めて見た。」
 
何だろうと思って、自分の体を見る。
 
あぁ、これか。首の後ろ側に、うっすらと鬱血の後。
 
「アヒルもオンナだな。」
 
「・・・。」横の鏡を覗き込んで、首もとの痕を触る。
 
1個だけ。
 
それも次の日には凄く謝っていた。
 
チェギョンには何箇所も、オレの痕がある。
 
チェギョンが、「付け過ぎです。」って怒っていた。
 
これも想いの差か?
 
「何悩んでるんだ?」ギョンはたまに核心をついてくる
 
 
 
 
 
月のモノが予定より一日早く来ちゃいましたー。でも、キタのでホッとしました。
 
チェギョンからのLINEが届いた。
 
読んだ途端、オレの思考は止まった。
 
経理部の自分の席に座っていたから良かった。
 
じゃなかったら、倒れてたかも。つまりショックだった。
 
ホッとしましたと言う言葉は、子供が欲しくないって事。
 
彼女の未来には、オレと結婚して彼女に似た可愛い女の子がいるというのはない。
 
判る。
 
オレもチェギョンの年の頃、子供の事なんて考えた事もなかった。
 
オレみたいなヤツに、子供?ありえないと思っていたから、ホッとしましたという言葉は判るが。
 
後もう少しで30を迎えるオレの、本当に愛している女から言われるのは、少しじゃなく凄くショックだった。
 
スマホの言葉を只眺める。
 
彼女と付き合えて、直ぐにでも結婚したかった。
 
全てがオレの好みで、結婚して家から出したくないほどだったが、それだと彼女が離れていくと思って。
 
結婚という言葉は出さなかった。
 
子供が出来ないように、完璧にしていたが、でも万が一の事を願っていた。
 
「シン君、月のモノが遅れているんですけど、どうしたら。」毎月叶わない言葉。
 
その代わり「きて、ホッとしました。」オレには辛い言葉
 
彼女とオレの温度差があるのを、感じる言葉。
 
 
彼女の全てを欲しがるオレは、何処までも貪欲に求めてしまう。
 
ショックだったオレに、彼女のなんとも思っていない口調が、気に入らなかった。
 
だから仕事中、ワザと冷たくしてしまった。
 
子供のような態度に、自分でもあきれてしまったが、これでも我慢したほうだ。
 
ただ、ちょっとばかり、彼女から離れたかった。
 
オレの想いが強すぎて、彼女の思いとは間が有り過ぎる事を、思い知らされた日は、落ち込む。
 
で、ギョンを誘ってジムに来てしまった。
 
何時もは真っ直ぐにチェギョンが待っている家に帰るのに、オレは無我夢中でルームランナーを走っていた。
 
仕事が終わった時、チェギョンにLINEで「今日は、ギョンに付き合って遅くなるから、自分のアパートに帰れ。」軽くウソを付いてしまった。
 
付き合ってじゃなくて、付き合ってもらってだ。
 
小さなウソは、1回ついてしまうと、転がるように大きくなっていく。
 
 
 
 
 
「悩みか?」
 
「そっ!!オレはインやファンみたいに、気が利かないけど、聞いてあげる事は出来る。」エッヘンと胸を張る。
 
オレは、ギョンの体に、鬱血の痕がない事を知った。
 
「最近の女子は、恋に淡白なのか?」ポツッと言った。
 
「へっ?」
 
「イヤッ、聞かなかった事にしてくれ。着替えて飲みに行くぞ。」オレは体の水滴を全部拭いて、ロッカーに向った。
 
 
 
 
 
 
 
ギョンと二人、着替えが終わり、ロッカー室から出て歩いていると、さっきの女達が,玄関で待っていた。
 
「やっぱり、私の目に狂いはなかったわ。貴方随分イイオトコね。」オレの事を上から下までゆっくりと眺めている女。
 
「ちょっとー、私が最初に見つけたのに。」二人は言い合う。
 
オレとギョンは知らない振りで歩いていくと、後から付いて来る。
 
「やっぱり、一緒にのみに行きましょう。こんなイイオトコと遊んだ事ないのよ。」
 
「そうそう、皆アホか?カスばっかだった。」
 
「モデル並な体型に、セットした髪型、メガネ、カバン、靴、全てが貴方に合ってる。余程遊んできたよね。」意味ありげに笑う。
 
「遊んでない。」
 
「まさか、こんなイイオトコが!?ありあえない。」ワザとかん高い声で言う。
 
「オンナなんて、ただの性欲の捌け口だった。だから遊びじゃないんだ。」オンナ二人を見下ろす。
 
「貴方、寂しかったの?」オンナとオレの目は合う。
 
「じゃっ。黙って家に帰ろ。」オレはギョンと一緒に歩き出す。
 
突然、グイッと引っ張られた。「性欲の捌け口でもいいわ。貴方としたい。」必死に見上げる目。
 
「・・・。」
 
「貴方のその冷たい目に惹かれたの。それに寂しそう、私が温めてあげる。」
 
チェギョンの言葉に打ちのめされたオレに、何時もは届かないその他大勢の女の声が届いた。
 
「温めてくれるのか?」
 
「シン、お前何言ってるんだ?」隣で慌てだすギョン。
 
「アンタは私が遊んであげるから、もう行きましょ。」ギョンはグイグイ引っ張られる。
 
「シン、お前。チェギョンを裏切るつもりか!?」ギョンの声が高くなる。
 
「裏切る?オレが、チェギョンの事を?」腕にしがみ付くオンナを見下ろす。
 
「貴方の好きな体位で好いわ。早く温めてあげたい。」ギュッと腕に絡まる。
 
久々な感覚。
 
チェギョンに恋してから、中々こういう風に触られた事がなかった。
 
チェギョンは、ちょっとだけ遠慮してオレに腕を回してくる。
 
手を繋いでも、オレが何時も強く握る。
 
こんなグイグイと強く力を入れない。
 
嫌悪感。
 
過去にウジャウジャといた女なんかいらない。
 
オレの今には、チェギョンしかいない。
 
オレは何やってるんだ。
 
彼女の入社式の時、一目惚れしてからずっと好きで好きで、気持ちを持て余していたオレに、振り向いてくれなかったチェギョンは、何度ものアタックでオレの気持ちを受け止めてくれた。
 
この出来事は奇跡だった。何も悩む事なんかない。
 
お前は黙って、チェギョンの心、体を温めろ。
 
他の女なんかに触ったら、チェギョンに2度と触れなくなる。
 
オレの腕にしがみ付いているオンナを振り払った。
 
「えっ?痛いじゃない。」オンナは腕を掴みながらオレを見る。
 
「オレに触るな。」
 
「何言ってるの?ちょっとだけ自分の好きな体位しようと思ったけど、貴方の好きなのだけにするから、早く行きましょう。」
 
「ギョン、今日の飲み却下だ。」首もとのネクタイを少し直す。
 
「シン。」嬉しそうな犬。
 
「さっさと帰って、チェギョンに温めてもらう。」ニッと笑う。
 
「アア、そうした方が良い。この事はチェギョンに、いやガンヒョンにも黙っておくから。」
 
オレとギョンは、又玄関に向かい始める。
 
「ちょっとーー、アンタ達ーー。私達を追いてくのーーー?」女二人が騒いでる。
 
オレは足を止め「そこら辺に転がっている一瞬の温かさより、オレの奇跡に温めてもらうから。あっ、言い忘れていた。お前らみたいなゲソ痩せの体なんかに、たつ訳ないだろう。」ニヤッと笑って、ジムの玄関を出た。
 
 
地下に停めていた車に乗り込む時「じゃあっ、、アパートに迎えに行く。ギョンは?」
 
「お前がアヒルを連れて行くんだから、ガンヒョンが一人になってしまう。何たってか弱いからなー」ニヤニヤ顔のギョン。
 
「・・・・。」
 
「なんだよその顔。」ギョンの目が疑いの目になる。
 
「イヤッ、でも助かった。お前の一言効いた。」
 
「誰にだって、心弱くなる時がある。俺もガンヒョンの気持ちが判らなくて、弱くなる時がある。」
 
「お前大人になったな。」
 
「シン、せめて違う言葉で、褒めないのか?」
 
「アハハッ、これでも褒めたつもりだがな。じゃあな。」車に乗り込み、スタートボタンンを押し、窓ガラスを開け「ギョン、ありがとうな。」この言葉をギョンに伝えた。
 
隣に立っていたギョンは手を上げ、俺を見送ってくれた。
 
一分一秒でも早くチェギョンの元へ、オレの車は、漢江の横の道路をチェギョンのアパートに向って走り出した。
 
 
 
 
 
 
 
 
急いで着いたチェギョンのアパート。経理部に戻ってから、こんな時間に来たのは、久し振りだった。
 
見上げたアパートの先には、光が灯ってる。
 
オレは、急いで2段飛ばしで階段を上がっていく。
 
ドアをドンドン叩くと、ゆっくりとドアが開く。
 
そこには、メガネをかけたガンヒョンがいた。
 
「チェギョンは?」
 
「室長、なんで此処に来たんですか?」
 
「チェギョンは?」玄関の中に入り、キョロキョロを見渡しても彼女はいない。
 
「チェギョンは、室長の家に行きましたよ。」オレは驚きガンヒョンを睨む。
 
「もう1時間も前に、料理作って持って行きましたよ。」オレは慌てて玄関を飛び出した。
 
後から、ガンヒョンの声が聞こえる。
 
「室長ーー。チェギョン、何回もLINE打ってたけど返事返ってこないから、行ってみるって。」
 
車に乗り込んで、ダッシュボードに入れていたスマホを取り出す。
 
エスタートボタンを押し、シートベルトをする。
 
スマホの画面には、チェギョンの顔。解除をするとLINEの言葉が。
 
チェギョンの優しい言葉がずーっと続いていた。
 
「シン君、今日どうしたんですか?」色んな言葉が並んでいた。
 
ずーっとオレの態度がおかしかった事について書いていたけど。
 
出逢いから、だんだんオレへの気持ちの変化を書いていた。
 
「チェギョン。」永久保存版のラインを読みたいけど、今はオレの家まで行かないと。
 
アクセルを踏み、自分の家を目指す。
 
春は近いけど、夜はまだまだ寒い。
 
チェギョンはオレの家の暗証番号知ってるから、中で待ってるはずだ。
 
車を走らせ、自分のアパートの地下に車を入れ、エレベーターに乗った。
 
自分の階数の場所に着き、部屋を目指す。
 
部屋の前に立ち、チャイムを鳴らしても誰も出ない。
 
中に入ると暗い部屋、電気を付けながら彼女を探した。
 
、焦るオレはスマホを出し、彼女に電話した。
 
チェギョンへの電話は直ぐに繋がったけど「今何処だ?」
 
「あっ、シン君。ようやく繋がりました。心配しましたー。」
 
「チェギョン?部屋にいないんだが何処だ?」
 
「アパートの玄関にいます。」
 
「はあ?何でだ?この部屋で待ってればいいだろう。今直ぐ迎えに行くから、そこに居ろ。」
 
オレは慌てて部屋を飛び出し、又、エレベーターに乗った。
 
1階に着き、もどかしく開く扉の隙間から飛び出し、エントランスに向う。
 
そこにも居ない、自動ドアのとこに足を乗せると、ガラスドアが開いた。
 
真面目なチェギョンは、外で待っていた。
 
頬を赤くして白い息に包まれて、オレのマフラーをギョッと結び、この間オレの手袋が欲しいと無理矢理奪った大きな手袋を嵌め、紙袋を持っていた。
 
「シン君。」オレの奇跡は外に居た。
 
オレの姿を見て、ニコニコと笑う。
 
「お前はバカか!?ちゃんと家の中で、待ってれば良かっただろう?」彼女に近寄り、怒った。
 
「今日のシン君の様子おかしかったし、ギョン君との付き合い邪魔したくなかったんですけど。シン君が、前褒めてくれた料理が、上手に出来たんで、これ食べて元気になって欲しい・・・。」彼女の言葉が終らないうちに、オレは彼女を抱きしめた。
 
ギューッと抱きしめる。
 
「オレが帰って来なかったら、どうしてたんだ・。」オレの体の中にもっともっと包み入れる。
 
「えっ。そうだ。そうですよね。帰って来なかったら、オットケ、オットケ。」
 
「チェギョン。」ジムでの事を思い出す。
 
「ギョン君とジムに行って、飲みに行って必ず帰って来ます。」オレの腕にギューギューッと潰されているチェギョンの温かい笑顔にオレの胸は痛くなる。
 
「チェギョン。」
 
「シン君はちゃんと私の元に帰って来ます。だって信じてるから」マフラーで顔が半分なくなっているのをちゃんと出し、彼女の頬を包み込み、愛しそうに撫でる。
 
「遅くなった。ゴメン。」オレの手に、自分の手を重ねる彼女。
 
「大丈夫。大好きな人を待っているのも、楽しいんですよ。スマホに溜め込んでいるシン君の画像見たり、シン君の動画見たり電池があっという間になくなり、慌てて充電器差しました。」
 
「チェギョン。」又ギューッと抱きしめる。
 
「シン君~~~。さっきからどうしたんですか?って言うか、今日途中からずーっと変ですよ。」
 
「ちょっと抱かせてくれ。」
 
「判りました。」諦めた彼女はずーっとオレに抱きしめられていた。
 
でも、途中でクッシュンとクシャミをした彼女に気がついたオレは、慌てて彼女をアパートの中に入れ、自分の部屋に急いだ。
 
 
 
 
 
 
 
部屋に入り、彼女をソファに座らせ、オレはその足元に膝を付く。
 
「今日の休み時間、お前からのLINE貰った時、ホッとしましたという言葉がショックだった。オレとの未来は、まだお前には見えてないんだて。
 
オレの想いとお前の想いには、差がある。ショックでお前に初めてウソついた。」
 
「ウソ、ついたんですか?」オレは頷く。
 
「ギョンのジムに付き合ってじゃなくて、ギョンに付き合って貰った。ゴメン、素直にお前はオレの事を待っていたのに。
 
オレの事怒ってもいい。挫けてしまったバカなオレを罵っても良い。」
 
「そんな事しません。、シン君の心を弱くさせてしまった言葉。私がホッとしたって言ったのは、やっぱり結婚もしてないのに、先に子供できちゃうと。シン君のおうちのお方々に認められないと思っていまして。ちゃんと結婚してから、シン君との子供が欲しいなーっと密かに思ってるんですよ。私は、シン君とよく似た男の子が欲しいんです。プロポーズもされてないのに、気が早いでしょッ。」苦笑いをする。
 
「ちゃんと考えてます。こんなに毎日愛されているのに、結婚考えないオンナはいません。わたしが結婚したい相手は、シン君だけです」オレは優しく頬を撫でられた。
 
「泣いちゃダメです。」オレのメガネを外して、彼女の唇はオレの目元に向かう。
 
「お前の前でしか泣かない。」一生懸命オレの涙を吸う彼女。
 
「じゃあ、いっぱい泣いて下さい。」彼女の香りにゆっくりと包まれる。
 
泣き続けるオレの涙、頬、鼻、唇、優しくキスをする彼女。
 
彼女の優しい愛を、ちゃんと受け取っていなかったオレ。
 
自分の愛だけ一生懸命注いでいて、彼女の気持ちをちゃんと見ていなかった。
 
彼女にギューッと抱きしめられ、彼女からの温かい愛を全身に受け取る。
 
「温かい。」
 
「シン君も温かいです。」
 
「ゴメン、こんなオレだけど。愛してる。」彼女を見上げて、ちゃんと言う。
 
「私も。」彼女からのキスを受ける。
 
 ようやく泣きやんだオレは、恥ずかしさでいっぱいになった。
 
「大人の涙ってイイですね。」彼女にジーッと見られている。
 
話を変えようと「あっ、チェギョンの作った料理は?」すっと立つ。
 
「テーブルの上です。」
 
オレはテーブルに向かい、紙袋に入っているタッパ2つを取り出した。
 
「おっ、もしかして餃子鍋とキンパッか?」
 
「はい。でも、もう時間たったからふやけてるかと。」
 
「お前が一生懸命作ったんだ、ちゃんと食べる。」
 
二人で、準備しあい、テーブルに付く。
 
彼女作った餃子鍋は最高に上手かった
 
「この間のより実家の味に近い。」
 
「本当ですか?」
 
「ああ、美味しい。」何度も味わう、マジで美味しい。
 
彼女が一生懸命、この美味しいのをオレの為に作っている時オレは。
 
彼女を見て、箸を置いた。
 
「どうしましたか?」
 
「今日、ギョンとジムに行った帰り、10秒ほど浮気した。」真剣に彼女を見る。
 
「シン君?」
 
「お前に恋してからずーっと、お前しか見ていなかったけど、今日初めて浮気した。」
 
「10秒ですか?」
 
「誘われて弱ったオレは、昔みたいに誰でもいいから温めて貰いたくて、言葉を返してしまったが。ギョンが止めてくれた。チェギョンを裏切るのかって!?あんなにお前の事反対していたのに。アイツは、この事を黙っていてくれるって言った。チェギョンが、これを持って寒い中ずーっとオレの事待っていてくれたのに、オレは。」
 
「ギョン君が止めてくれたんですね。止められなかったらついて行ってましたか?」
 
「ついて行ったとしてもお前以外の女にはたたないから、やれない。」
 
「シン君はバカです」
 
「チェギョン。」
 
「そんな事言わなくてもイイのに。バカ正直です」
 
「お前だけには、ウソ突き通せない。」オレの気持ちをちゃんと彼女に伝える。
 
「お前に会う前のオレは酷い男だったけど、今はお前の為に正直でいたい。」
 
「じゃあ、10秒デコピン攻撃です。浮気モンには、罰を与えます。さーッ、目を瞑ってください。」
 
「デコピン?そんなもんで良いのか?」チェギョンは指を一生懸命動かしながら
 
「だって私もシン君の事好き過ぎて、シン君に甘いんです。じゃっやりますよ」彼女の綺麗な指がオレに近づいて来たのを確認して、ゆっくりと覚悟を決めた。
 
デコピン攻撃が来ると思い目に力を入れた。
 
すると、オレの唇に彼女の唇が触れる。
 
ゆっくりとオレの唇と合わせる彼女の唇は、段々と早くなっていく。
 
只あわせているキスは、深みを増していく。
 
オレの舌を誘い出し絡めたと思ったら、ゆっくりとかじられた。
 
「デコピン止めました。このお仕置で。」全くドンだけ好きに。
 
オレは彼女のお仕置に身を任せた。