シン君の生お着替えに、メロメロに崩れてしまった私。

只さえ男に慣れていないのに、あのフェロモンシン君がワザとやってきたんだもん、そりゃー、再起不能です。

何とか立とうとアタフタとしていると、寝室のドアが開いた。

ガチャっ

私に近寄ってくるシン君。

「シン君、助けてください。」ようやく出せた言葉は力がない。

カレは溜息を吐きながら私の腕を取り、立たせながら頬にキスをした。

「もうビックリさせるなよ。」

「ハイ、懲りました。シン君のフェロモンは体にきます。」鼻にもキスをする。

「チェギョンに触りたくて我慢している分、ここで好きなだけできるのに、ネーさんがいたら何も出来ない。オレにとっては、会社に続く生地獄だ。」

「・・。」私はヨロヨロと背伸びをしてカレの頬に無理矢理キスをする。

二人目が合う。

「そんなに写真見たかったら、今度オレの実家に行こう。」

「えっ!?」

「前から連れて来いってうるさかったんだ。」

「良いんですか?」

「付き合って直ぐに連れて行きたいほどだったけど、お前には負担だろうと思ってた。」シン君に手を引かれながら歩く。

「そうかも。」

「オイ、はっきり言うなー。」

「だって、あの頃私達の関係は不安定だったから、きっと室長の大人の冗談だって。」言った途端、鼻を摘ままれた。

「イタッ。」

「フン。カレは手を離し、私をギュッと抱き寄せる。

「今は?」

「シン君のたっぷりな愛に、溺れまくりです。」見上げるカレにちゃんと届くように言う。

シン君は笑いながら「ご褒美だ。」私の唇に重なるカレの唇。

音の鳴るリップキスは、段々と荒々しくなってくる。

もう、こんな所でシン君の荒いキスに流されようと

「こら、そんなとこで何やってる。さっさとしないと冷めるよ。」リビングの扉からオネーサンが覗き込む。

二人の動きが止まる。

「早く離れないと、スマホで撮っちゃうよ~~。」オネーサンの手には、スマホが揺ら揺らと揺れる。

バッ。と離れる二人。

「ほらっ、食べるよ。リビングの扉は閉じた。

あっ、シン君からの目線が痛い。

「もう2度と入れるなよ。」ジロッと睨まれる。

「はい。」小さくなった。





オネーサンの持って来た禁断のシン君のアルバムは、私の母性本能を昂らせた。

「可愛すぎますーーー。シン君、赤ちゃんの頃、メチャクチャ可愛いです。」

「でしょう?女の子のように可愛かったでしょう?だから、シンって人にあまり見せないよ。」

「オレのイメージと全く違うからな。」何枚もの写真を見ていても、まだまだ可愛かった。

「何時頃から、目付きが悪くなったんですか?」ポツリと言った。

「チェギョンちゃんって直球ね。」ケタケタ笑う。

「小学校の高学年頃から、視力が落ちちゃって、でも、意地張って教えないから段々目つき悪くなっちゃってねー。メガネにしても、くせでこんな目になっちゃった。」

「えっ?もしかして、視力悪くなかったら。」私は口元を押さえる。

「そうそう、少女のような目だったかも。」大笑いする2人。

「ねーさん、もう帰れ。」

「えっ?まだまだシンのお話終わってない!!」私の肩を掴む。

「いいから、イイ時間だ。」フッと時計を見ると、まだ9時半

「えーーー。まだ9時半じゃん。」ブーイングなおねーさん。

「お肌が大事な女子はもう寝る時間だ。」オネーサンのコートを持ってあげて、引っ張った。

「ハイ、これも持ってけよ。」アルバムも持たせる。

「シン、又来てもいいよね。」

「2度と来るな。」

「えーーー。」

「今度、チェギョン連れて実家に帰るから。」

「マジ?」オネーサンの顔が驚く。

「そっ。オレの嫁さん候補っていうか絶対嫁にするチェギョンを連れて行くから。」

「初めてだね。シンの本当に結婚したい人を連れて来るの。」おねーさんは嬉しそうに言う

「そうだな。ッて言うか何人もいたら変だろう?」般若の顔。

「じゃあ、チェギョンちゃん、私は家で待ってるからね。早く会いに来てね。オネーサンに抱きつかれる

「はい、皆様の都合の良い日に伺います。」

シン君は上手くオネーサンを玄関まで連れて行き、一気に帰らせた。

その手際の良さに唖然とする。

「凄いです。」

「何時までも帰らない、ネーさんが悪い。」私の肩を抱き寄せ、リビングに戻る。

オネーサンの帰った後、2人で片付け、掃除し終わって、お風呂に入る。

ゆったりと二人ではいる湯船。

あんなにシャワーとサウナしか入ってなかったのに、此処でのお風呂を楽しむようになり、色んな入浴剤を使う。
カレから抱きしめられながら、腕のマッサージをして貰い

「シン君から、毎日甘やかされて、私傲慢な人になっちゃいますよ。」

「お前は、そんなヤツにならないさっ。」

「このままならなりそうで、心配です。」

「そうならないように、程ほどに甘やかすようにするか?」

「シン君はそう言いながらも、私を結局甘やかしますよ。それがダメです」ブーーッと膨れる。

「仕方ないだろう。好き過ぎて困ってるんだから。」カレの顔が私の顔の傍に降りてくる。

ギュッと抱きしめられて、私は真っ赤になる。

「これでも、セーブしてるんだ。もっと甘やかしたい。」

「マジで、私をデブにするつもりですか?」

「まさか、あんなに汗でてるから、大丈夫だ。」ガシッと後ろから胸をつかまれた。

「シン君!!」

「仕事で疲れてるお前の為に、マッサージいっぱいしないとな。」ゆっくりと動き出すシン君の指。

毎日毎日、シン君に甘々に、蕩けさせられている私は、ズブズブと奥底まで溺れていた。



 

 

 



「ふーーーっ。」

予定より一日早く来てしまった。月のモノ。

何か、どんよりと体が重い。

スマホを取り出し、シン君にLINEを打つ。

月のモノが予定より一日早く来ちゃいましたー。でも、キタのでホッとしました。

軽い気持ちで打った言葉に、返答は返ってこなかった。

「うん?シン君、会議かな?」

休み時間が終わり、経理部の席に戻ると、シン君は自分の席に戻っていた。

あれ?読んでないのかな?

でも、私の打った後には、読んだ言葉が載っている。

ちょっとばかり、シン君を見たけど、顔を上げることがなかった。

う~~ん、どうしたのかな。

仕方なく自分の席に座り業務をこなしていく。

隣のムン・ジェウォンと話し合いながら、企画の手伝いをして、コピーをしに歩く。

コピーから帰ってくると、シン君とすれ違った。

私はフッとシン君の事を見上げると、ここに戻って来た時のような冷たい目があった。

「えっ?」ジロッと見下ろされた冷たさは、新入社員の頃を思い出す。

仕事もヘマしてないのに、その冷たさに体が一瞬震えた

「シン君?」小さい声で問いかけても、只見下ろされている。

何も反応をしてくれないシン君にもう1度「シン君。どうしたんですか?」小さい声で再度チャレンジ。

「シン・チェギョン、ボーっと突っ立てないで、席に戻れ」冷たい口調。

急に言われてビクッと体が跳ねる。

「えっ?」

シン君は冷たい言葉を残して、自分の席に戻る。

何が何だか判らない私は、慌てて自分の席に戻り、コピーの紙を置く。

シン君どうしたんだろう?席に座りパソコンを打ち続けているシン君を見続けた。