「ふーーー、終ったーー。」私は、残業時間まで掛かったグラフを保存する為に、キーボードを押した。
「ようやく終ったか?」私の傍に、経理部の室長がやってきた。
「はい、終りました。」もーー、ずっとパソコンの画面見ていたので、目が開くのが辛い。
「どれ?」室長は私の真後ろに立ち、カレの体はゆっくりと屈み、私の右肩から画面を覗き込む。
私の体を覆い被さるように、グラフチェックをしていく。
マウスに手を掛けていたのに、その上から自分の手を書け、スクロールしていく。
「此処、判りずらいな。」カレの両腕はさらに私を挟み込んでいく。
グラフをひっぱたり伸ばしたり、カレの指は色んな風に操作していく。
私は、室長の凄さを確認しないといけないのに、もっぱら室長の体にノックダウンしていた。
幾ら残業だからって、こんな体勢で直さなくても。
それに、室長の指。私の指の上に置いてやってるし、一緒にマウス動かしている。
それに肩に、室長の顔がーーーある。動けない顔の目線だけ動かしてみた。
フゲッ!!完璧な造形に頬に熱が集まる。
そして、顔が近いのに言葉を発したら、私の頭が真っ白になった。
暗い中で蠢く体、喘ぐ声にベットのシーツの擦れる音
カレの激流に飲み込まれないように必死に足に力を入れて、シーツが寄せる音。
間接照明が部屋の角に1つだけある。
それもごくわずかに灯る。
その淡い光に照らされるカレの顔、体はうっすらしか判らないけど。
私の体の中心にずっと居続ける存在は判る。
何度も奥へ奥へと突き進む度に、私の体はカレの力により段々ベットの上へ押し追いやられ、頭をぶつけそうになると、カレが気がつき、体を直される。
「済まない。無我夢中だった。」荒い息の間から、漏れるように聞こえる声は、私の体の感覚を奮い立たせる。
腕を伸ばし、カレの体にしがみ付く。
「シン君。」只カレの名前を呼ぶ私。
今にも食べられてしまうんじゃないかと思う位に、カレはキスと舌で私を骨抜きにしていく。
カレがオトコってことを、怖いくらい感じる。
何時ものイイ香りに、カレの汗ばんだニオイが、ますます私の嗅覚を襲う。
もっと、もっと。
こんなに私の中に入り込んでいるのに、私はもっとカレを欲しがる
「チェギョン、もっとか?」一瞬止まった動きは、私とカレの目線を合わせる。
「もっとです。もっと奥へ。」懇願する目は、カレの目にも写っている。
「チェギョン、それは週末だけだって言ってるだろう。」鼻をギュッとされた。
「残念です。」ショボンとした顔にカレのキスが何度も落とされ。「愛しかあげれない。」きつく吸い上げられ、絡まる舌。
「それはもっと下さい。」息も出来ないくらいカレの愛と、私の体は段々禁断の蜜の味を覚えていく。
ほんのちょっと前までは、キスもオトコの人も知らなかったのに。
「よし、これが良いな。」室長の言葉にハッとなった。
「どうした!?」カレの顔の向きが私の顔を見る。
「いえ、なんでもないです。」昨日の事を思い出していた私の顔はドッカンと噴火状態。
「ふーーーん。」カレの体が急に離れていった。
「えっ?」隣のムン・ジェウォンのイスに座り、私の体を引き寄せる。
「さて、仕事も終わった。家に帰るか?」カレの右手は私の体を固定して、左手は、私のスカートに手を入れていく。
「今日は、金曜日だ。残業頑張ったお前にご褒美をしないといけないな。」カレの手は奥へ奥へとゆっくりと動く。
「シン君。」こんな所でそんな事をしゃちゃダメだってわかっているが、今日は金曜日。
あの凄すぎる快楽に身を堕としてしまうかと、体が火照りだす。
「STOP----。そこの2人、さっさと離れるーーー。」経理部に響く女の声。
私と室長は、目線をその女性に合わせる。
「全く、私もいるんですけど。」ガンヒョンがゆっくりと立ち上がり、メガネが光った。
「ガンヒョン、忘れてた。」室長の膝の上に乗っている状態なのも忘れ
「全く、まッ、チェギョンはマジで忘れていると思いますけど。室長はワザとですね。」メガネがギロッと光る。
私を膝に乗せている室長のメガネも「まさか。」光るメガネ同士。
「まっ。イイです。全く貴方達のお陰で、今日は一人優雅に過そうと思ったのに。」
スマホを取り出し「今直ぐ迎えに来なさい!。」言う言葉を吐き、電源を落とし歩き出した。
「チェギョン、月曜日の朝に帰って来るのは良いけど。2人でフェロモン垂らしながら出社しないでよ。じゃあっ、叉来週会いましょう」その言葉を私たちに投げ捨て、彼女は颯爽と帰って行った。
「無理かも。だって、週末楽しみにしてたんです。」小さな声はシン君の耳のも届いた筈。
私は、シン君の膝から膝から下ろして貰い、立ち上がったカレに手を握られ「さっさと帰らないと、週末の時間がなくなっていくぞ。」ニヤリと笑う。
早く恋人同士になりたい私達は、慌てて経理部を飛び出した。
室長は、スーツだからこのまま帰れば良いが、私は、更衣室で着替えないといけなかった。
で、着替えをしていたらロッカーの足元にポーチが落ちた。
慌てて取ろうとしたら、自分の体がゆっくりと床に倒れこんでいった。
「へっ?」
ドッシーーン!!
一人しかいない更衣室に響く音。
「オイ、どうした?」勢いよく開いた扉から、室長が入って来た。
あれ?室長の角度がおかしく見える。
そっかー、取ろうとして、転んだ。
「チェギョン!」私に近寄り心配そうに覗き込む。
「シン君。モノを取ろうとして、転びました。」眉毛が何処までも下がっていく
「頭からか?」心配そうなカレ
「いいえ、右肩からです。」
「じゃあ、大丈夫だな。」カレは倒れたと聞いて、動かさないようにしていたが、場所を聞いて安心して私を持ち上げた。
「全く子供じゃないんだから。転ぶなんて。」呆れたような言葉。
「だって、ポーチの中からこれが落ちていったのを見たんです。」私の右手には、四葉のクローバーがあった。
「まったく。」
「だって、あの時の四葉のクローバーなんですよ。大事なんです。」
「あの時?」
休日のお昼。
ようやくベットから抜け出した私達は、近くのスーパーに歩いて行った。
買い物を終え、フッと横を見ると、クローバーがいっぱい咲いていた。
「わーーーー、クローバーです!!」私は大小様々なクローバーを見て、興奮する。
「この中に四葉のクローバー、ありますかね?」シン君と来ていた事を忘れ、四葉のクローバー探しに夢中になる。
「あったーーー。」何十分も掛けて見つけ出した四葉のクローバー。
普通のクローバーの奥の奥に隠れていた四葉を見つけた。
「すっごーーーい。」
「もう諦めろって言うとこだったぞ。」突然の声に慌てて振り返る。
そこには、仁王立ちのシン君がいた。
「オイ。その顔、えっ?いたの?ッて言う顔してるんじゃないぞ。」私に近寄り、鼻をギュッとする。
「エヘヘヘッ、そんな事ある訳ないじゃないですか。」痛い鼻を押さえながらいう。
でも、私は懲りずにシン君に四葉のクローバーを掲げた。
「四葉のクローバー^です。このいっぱいの中に1つだけありました。」自慢げに見せた。
「そっかー。」
「あっ、シン君の分まで探せば、きっとあると思います。」私は叉探そうと屈み始めたが、カレの右手は私の体を元に戻す。
「いい。四葉のクローバーは1つだけあれば良い。」
「えっ?だってシン君にも幸せが行くように。」
「四葉のクローバーって、この何百何千何億本の中で、たった1つだけ突然変異で生まれたクローバーだ。何本も四葉があったら、希少価値がなくなる。オレとお前に1本だけあれば良い。」
「シン君。」私は持っている四葉を優しく掴み直した。
カレは、このいっぱいなクローバーを見渡し
「四葉のクローバーって、お前みたいだな。」
「えっ?」
「この空き地いっぱいに咲くクローバーは、この世の中の女性。その中のたった1本の四葉のクローバーは、オレのたった一人の女性。
シン・チェギョン。
このいっぱいある重なり合うクローバーの奥の奥から、何十年も掛けてようやく見つけ出した。奇跡の四葉のクローバー、シン・チェギョン。」
ちょっとした沈黙
「何で泣く?」カレの指が私の涙を拭こうとして、何度も行き交う。
「だってーーー。そんな言葉、ずるいです。何度、シン君の事好きになれば良いんですか?」ボロボロ流れる涙。
「感動したか?」カレの顔は近づきキスをする。
「なんだろう胸の奥まで響いちゃいました。」
「オレが毎日毎日、お前の事愛していくから、お前はたまにオレに愛をくれれば良い。」
「そんな贅沢な事。」
「ほらっ、鼻水出てきた。もう帰るぞ」カレの腕に引っ張られたが、四葉のクローバーだけはしっかりと私の手の中で守ってあげた。
「ねっ?思い出しました?」
「ああ。」
「シン君の凄い愛情が入っている四葉のクローバーなんです。」
うん?
「シン君?何してるんですか?」カレの抱き上げられたままの体勢で聞く。
私がこの四つ葉のクローバーを語っている時にシン君は
「えっ?オレの目の前に・・。」
「チョッ、ダメですって、此処更衣室です。」
「下着まで外しているのが、悪い。」
「シン君、なんで私が怒られるんですか?」私もちょっとばかり強気に出た。
「オイ反論したな。」ワーーーーメガネが光ったーーー。
呆れた私は、ちょっと目線の中に四葉のクローバーを見た。
「この四つ葉のクローバーが、シン君にとって私だったら、やっぱ、私にとって四葉のクローバーはシン君ですね。」私のを遊んでいたシン君の動きが止まった。
「あのいっぱいのクローバーの中から、たった一人の、輝く綺麗な葉揃いのイケメン四葉を見つけました。
シン君は何十年掛って、私の事見つけてくれたけど、私はちょっとだけでイケメン四葉を見つけちゃいました。私って、運持ってますね。」カレに弄ばれて体が熱い私は、息を天井に向けて吐き出した。
カレの動きが、あれ?服を着させていく。
「シン君?」
テキパキと着せられて、もう後は帰るだけになった。
「お前なー、本当に今日は寝かせないからな。オレの精●果てるまで絞りとれ。」
「えっ?」
「そんな言葉言われたら、こんなとこでイタズラしているよりも、家帰ってお前に愛注いだ方が良い。」私にキスをして、しっかりと手を繋ぎ、更衣室を出た。