ゆっくりと瞼を開くが、まだ薄暗い。
 
思考が上手く働かない。何か凄い事があったような。
 
体のあちこちが、甘いだるさが残っている。
 
毎日のように、シン君のおうちで寝ているので、体がだるいのはいつもの事だが。
 
腕が重い、それに腰も。体を動かしてみようと試みるが、重い
 
なんで~?風邪引いちゃったかな?
 
「おい。何一人でジタバタしてる?」朝一のかすれたシン君の声が聞こえてきた。
 
「あっ、シン君、おはよーございます。」カレの腕の中で寝ていた私は、カレにピタッとくっついた。
 
カレの手が、サイドテーブルにあったスマホを掴み、時間を見る。
 
「6時だ。体重い。」私を抱きしめ直しながら、呟く。
 
「えっ?」初めて聞いたカレの言葉。
 
「昨日は精根尽きた。ほらっ今日はオレが元気ない。」
 
うん?何時もだったらもう襲われている頃なのに。
 
「チェギョン、昨日は凄かった。」カレは私を見下ろしニヤリと笑う。
 
「・・・・・・・・・////////////思い出しましたーーーーーー。」真っ赤になって奥の奥に逃げようと、カレに掴まれた。
 
「オイ。何処に行く?」カレの長い腕に捕まれた後、カレはベットに体を起こした。
 
グイッと私の体を引き上げ、膝に乗せた。
 
私の顔をジーッと見て「何時もの可愛い顔だ。でも昨日はオンナ、嫌、雌だった。本能のまま何度も欲しがるお前を初めて見た。」
 
「////////」思い出すだけで、顔から火が出そうだ。(泣)
 
あんな凄いの、毎日味わいたかったな~~。
 
今思い出して、恥ずかしいけど。
 
でも、快感が凄かった今まで味わった事のない快楽を体が駆け巡りそして本能が記憶した。
 
叉、何度でも味わいたい。
 
「オイ。今悪巧みしてなかったか?オレが役たたずだから、他の男とする気か!?」ギロッと睨む般若の目。
 
どうして、一瞬で般若になれるんですかーーーー!!!
 
「まさか、他の男の人となんか。シン君とじゃないと嫌です。」ギュッと抱きつく。
 
「悪い。今のはオレが悪い。お前の事は信じている。」カレも私を抱きしめる。
 
ちょっと抱き合っていたが「シン君お腹減りました。」覗き込む。
 
「叉ー、どうしてお前は、空気を読めない。」
 
「だって、昨日の夜ご飯食べてないんですよ。私が作ったサムゲタン。ガスコンロに出しっぱなしですよ。」私の眉間に皺が寄る。
 
「そう言えばオレもゴハン食べてない。」お互い目を合わせ「ゴハン食べるぞ」「ご飯食べましょッ」ベットから這い出て、バスルームに向った。
 
 
 
 
 
 
カレの車が私のアパートに着いた。
 
朝のサラサラの髪型も良いけど、やっぱ仕事に行く時のセットされた髪型は、イケメンぶりを上げる。
 
コートから見える中の黒いスーツ、そしてストライプのシャツ、メガネ。カレのイケメンを上げるアイテムは、今日も完璧だ。
 
それに比べ、私のコートは仕事に行く用、服を汚してしまい、シン君のスウェットを借りてのご帰宅である。
 
トホホっ。こんなイケメンの彼女なのにこの格好。
 
キッとシン君を睨み「シン君のせいです。」
 
急に言われたカレの顔は、ビックリしていたが、コートを着て中の服を見られないようにしている私を見て「お前が大人になる為に、仕方なかったんだ。」ニヤリと笑顔に、太刀打ちできないと判っている私は「じゃっ、叉!!」逃げるようにドアに手を掛けた。
 
急に、体をゴソッと引き寄せられ、カレの細いけど男らしい指が、顔を包み私の鼻にキスをしてきた。
 
「行くの、早過ぎだ」優しく両方の頬にもキス、そしてゆっくりと重なる唇。
 
「よし、夜までのチャージ完了。今日も一日頑張るか。」私を見てニコッと笑うシン君
 
「シン君、今日会社行かない方が良いです。フェロモン只漏れです。」抱きついた私。
 
「今日のシン君、めっちゃ気だるそうで。先輩達が騒ぎ出すんだから。」ますます抱きつく。
 
「騒がせておけって、オレはお前しか見てないから気にするな。」ゴリゴリと撫でられた
 
「もー。髪型、まったくもう言葉でも。もうー。行きますね」私は車から降り、寒い朝の中自分の部屋に向った。
 
 
 
 
 
 
車を出そうとしたら、前から車が来た。
 
見覚えのあるギョンの車。ふーーん、アイツもか。
 
ギョンの車は止まり、慌てて降りて行くガンヒョン。
 
オレは車を降り、寒い中ギョンの車に向う。
 
「あれ~~、シン?」オレを見て、アホな声を出す我が会社の社長。
 
「よっ、今日も、チェギョンも乗せて行ってくれ。」
 
「いいけど、シンここまでオンナに尽くすタイプだったとは」
 
「アハハッ、凄いだろう?アイツの為なら何でもしてやりたいから。」俯きながら照れていう言葉。
 
ジーーッとオレの事を見るギョン。
 
「?なんだ?」
 
「お前、今日フェロモン漏れまくりだぞ。一晩中やったのか?」冗談混じりに笑う。
 
「あっ、あぁ。精根尽きるまでな。元気のないの、風邪引いた以来だ。」ニヤーッと笑う。
 
「マジかよ。冗談で言ったのに、あのアヒルにどんな魅力があるんだ?」アパートを指差す指を見て、オレはギョンの指を捕まえる。
 
「なんだよ」
 
「オイ、お前この爪の長さは何だ。」ちょっとばかり伸びた爪。
 
「えっ?何時もこの位だけど?」オレの剣幕にビビるギョン。
 
「お前なー、ガンヒョンが大事なら、ちゃんと爪切れ。もしそれで病気にでもなったら、どうするんだ。」オレの声は、この辺りに響き渡る。
 
「シン。」
 
「大事なオンナの、大事なとこに入るんだぞ。指先のケアは大事だ。」オレは自分の指を見せた。
 
深爪に近い短い爪が10本並ぶ。
 
「オレはチェギョンの為に、毎日切ってる」はっきりと告げる
 
「もーーーー、シン君。何言ってるんですかーー。」階段を転がるように降りてきた。
 
「コイツがちゃんとしていないから、注意してたんだ」
 
「もーー、こんな外で。誰が聞いているのか、判らないんですよ。」オレの体を叩く。
 
「チェギョン、これは真面目に付き合う彼女への最低限のマナーだ。場所なんか選んでられない。」
 
「私も、本部長の意見に賛成です。」ガンヒョンがゆっくりと降りてきた。
 
「チェギョンの彼氏さんはしっかりしているから、ケアは完璧だけど。ほらっコイツの爪、見て御覧なさい。
 
有り得ない。女をバカにしてる。だから自分で気が付くまでは、そういうのは禁止してたの。」
 
「ガンヒョン。だからさせてくれなかったんだ。」なさけないギョンの顔。
 
「常識。ここはとてもデリケートなとこなのよ。何かあったら大変だわ。」オレの事を見て、ガンヒョンは笑う。
 
「さー、もう時間です。会社に送ってて。」ドアをあけた。
 
「シン君、私、ごめんなさい。大事な事なのに。」モジモジと彼女がオレに触る。
 
「いいさっ。チェギョンの親友の為だ。オレの親友がアホだから仕方ない。」オレは彼女の頭を撫でてやる。
 
彼女の髪型を見て「今日もカワイイ髪形だな。」素直な意見を言った。
 
ボンっと赤くなるなるお前。
 
こういうのも可愛いけど、昨日の彼女も捨てがたいなっ。オレはニヤッと笑いながら「じゃっ、先に行くから。」軽く彼女にキスをして、車に乗って走り出した。
 
 
 
 
 
 
 
 
休憩時間、私とガンヒョンは何時もの休憩所、いわいる給湯室で休んでいた。
 
「もう、」アンタ達カップルで何フェロモンプンプン振り回しているの?」ニヤニヤ
 
「えっ?私も?」
 
「もう、漏れまくり。男子達がソワソワしちゃって、まッ、一番はムン・ジェウォンだけどね。」
 
「私にフェロモンなんかないよー、ただ体がだるくて。」
 
「えっ?風邪引いたの?」彼女が私のオデコに手を当てる。
 
「ううん。」モジモジ
 
私の姿を見ていたガンヒョンは、ハッと気がついたようだ。
 
「もしかして叉本部長が?」
 
「もう、ガンヒョン。室長でしょっ。経理部での役職は室長だったから、室長って読んでくれって。シン君言ってたでしょッ。」
 
「あっそう言えば。なーんて騙されないぞーー。昨日何があったの!?」
 
モジモジ、テレテレ。何分かこの調子。
 
ようやく「大人の階段登ってしまいました・・。」モジモジと言う。
 
「大人の階段って、どんなだろう。おもちゃ?興奮剤?」真面目なガンヒョン。
 
「もーー。そんなのやらないって。」バン!!と叩く。
 
私はガンヒョンの耳元でボソボソと言う。
 
「聞いた事ない。初耳。それって凄いの?」ガンヒョンが珍しく頬を赤く染めている。
 
私は、ペコッと頭を下げた。
 
「凄いよー。全然違うから。もうシン君なしじゃ生きていけないくらい。」
 
「アンタ顔蕩けそうだよ。」
 
「うん。シン君見る度へナへナになりそう。だから、見ないように努力してる。」
 
「全く、アンタこの間、ようやくご卒業したばかりなのに。レベル高過ぎ」
 
「だってシン君だよ。」デコピンが飛んできた
 
「顔。直しなさい。甘過ぎる。もう、ほんと一緒に仕事するなんて、考えてもなかった。アンタ、こんなんで大丈夫?」
 
「仕事はちゃんとするよ。大人ですから。でもたまに仕事するシン君ちゃんと見てもイイ?前一緒に働いていた時、怒られたり微妙な時余りいい思い出がないんだよね。ちゃんと彼女として働く彼氏を見てみたいーー。」私の両手は合わせる。
 
「フン!!勝手にしなさい!!でも、ムン・ジェウォンに気を付けなさい。」
 
「何で?さっきも出てたけど、彼がなにか?」
 
「もーっアイツはアンタばかり見ているから、バレないようにねーっ。」ビタンっ!!叉デコピンが飛んできた。