私は、家に帰ってきて、着替えの為に隣の部屋に入った。

寒い部屋なので、温かい下着を着込み、温かいパーカーも着た。下には、スパッツとフリースのズボン。

小さい台所に立ち、エプロンも身に付ける。

スーパーに立ち寄り、ビビンバ丼の材料を広げる。

今日の食堂の手伝いをしていた時、おねーさんから上手くなる必殺技を聞き、今日は直ぐに実践しようと、買って来た。

色んな材料を切り分けて、ボウルに入れていく。

ガンヒョンは、英会話の日なので帰りが遅い。

一人で黙々とこなしていく料理。

フッと気がつき、顔が熱くなる。

「シン君。」私の上司だったイ・シン.。ずーっと苦手だったのに、とうとう私は。

くーーーーっ!!

信じられないーーー。と包丁を持ってバタバタとする。

体のだるさが、今日の朝までの事を思い出させる

こんな魅力もない体を、あの大きな手が何度も触り、室長の舌が肌を舐め回す。

そして、時々強く吸われ、かじられる。

あの熱い時に、聞こえてきた室長の絞り出す声。

「オレの女だって、痕つけないと。」汗が流れるカレの顔

聞いた事もない室長の声。

切ない声が何度も私の耳元に響いた。

あんなに痛かったあそこは、大分痛みを感じなくなり代わりに私は、感じた事のな・感覚を味わった。

まるで雷が体に落ちたように、飛び跳ねて、痙攣を始める。

初めての出来事に、「シン君シンくん。」真っ赤になり泣き続ける私を、シン君はギュッと抱きしめてくれた。

「チェギョン。」カレの私の名前を呼ぶ声と、繰返す優しいキスで、落ち着き始める。

「こんなの初めてで、混乱してしまいごめんなさい。」

「お前の初めては、皆オレだな。」嬉しそうに言う室長。

思い出して、顔体中が熱くなり、へなへなと崩れ床に座り込んだ。

もう、シン君の事ばっか考えてしまう。

今日の仕事中もやばかった。(泣)

大分室長のいないこの部署に慣れ始めたのに。

あんなにシン君の事覚えさせておいてずるいよ。

今度会ったら、言ってやらないと。と鼻息を荒くしたが。ふーっと溜息を吐く。

でも、シン君の涙見てしまった。

男の人ううん、シン君は絶対に泣かない部類の人種と思っていたのに。

切ない顔から、流れる涙は綺麗だった。

本当に私の事好きなんだ。

頬に手を当て、熱くなった頬を冷まそうと思って台所の窓を、開けた。

すると向いの低い丘に、車が止まっていた。

車?

前も止まっていたよね。夜なので真っ暗だけど、あの形は。

私は慌てて、外に飛び出した。

部屋から出て階段を降り、向かいの丘の階段を走り続けた。

1台だけ止まっていた車。
近づく度に、自分の予想が外れていない事が判る。

窓ガラスをトントンと叩いて、中の様子を伺った。

ちょっとの間があき、窓ガラスが自動に降りた。

そこには都合の悪そうなシン君がいた。

「やっぱり。窓開けたら、見覚えのある車がいて。着たって言ってくれれば。」

「お前に会ってしまうと、離せなくなるから。」メガネに黒いコート姿のシン君、かっちょえー。

「シン君。」寒い夜、私の息は白く広がる

「今日、体辛かっただろう?ケーキ食べても乗り越えられなかっただろ?」

「大丈夫です、平気でした私が頑張れる子だって知ってるじゃないですか。」笑ったけど、寒さでガタガタ震えだした。

「おい!!家に入れ。」言われた。

「私だってシン君に会いたかったんです。ちょっとだけ話していたいです。いいですか?」ガタガタ震えながら話す。

シン君の顔がハッとなった。

「オレだって。」車から降りて、私の手を引っ張る。

「えっ?話ししたいのにーーー。」言っても、シン君の足は止まらない。

無言なカレに手を引っ張られて、家の中に入れられた。

「暖かいとこにいろ。女子の体は繊細だから、大事にしろ。」睨まれた。

「・・・・。」ブツブツ

「小さすぎて聞こえない。」と睨まれたままだ。

「朝まであんなにしてたのに。壊れちゃったかと思いました。」ジロッと見上げた。

ウッとなるシン君。
ゴホゴホッと咳払いをして「とにかく、温かくして早く寝ろ。」ぶっきらぼうに言い、部屋から出て行こうとした。

「待って。待って下さい。これ食べてみてください。」

ちょっとばかり待たせながらも、大きいお椀にゴハンとビビンバの材料を並べた。

ラップで覆いながら「これ作ってみたんです。シン君まだ食べていないんですよね。今日の食堂のおねーさんに聞いたんです。必殺技入れると良いよって。必殺技聞きたいですか?」おわんを持って話しした。

「・・・。」

「もう、答えてくださいよ。最後にね愛情入れれば良いそうです。ふふっ、愛情だったらこのおわんの大きさ足りません。もう、溢れちゃってます。」ニッコリと渡そうとしたら。

シン君の顔が近づき、私の頬にキスをしながら。

「やっぱ、ダメだ。お前なー反則技だろう。そんなベタな思いつき。」ギューッと抱きしめられた。

そして大きく息をして、「お前の体を思って、このまま帰ろうとしてたが、無理だ。行くぞ!!」私からおわんを奪って、戸締りをさせそのままの格好で車に乗った。