「じゃっ、今日の業務連絡はこれで終了。各自、オレがメールで送った事を、時間内でやってくれ、以上。」室長の良い声が響いた。




「室長の頬のアレ・・・きっと女よ。」

「やっぱ、そうよねーー。」

「猫にやられたって、言ってましたよ。」

「まさかーー。そんなことないじゃない!!彼女のミン・ヒョリンが、そんな子供みたいな事すると思う?きっと新しい女だわ!!きーーー!!悔しいーー!!私なら室長に傷なんて野暮な事しないのに。」


色んなとこで囁かれる室長の頬のアレ。

チロッと室長を見てしまうと頬が熱くなる。

まだまだ微熱が治まらない私。

パソコンの画面に新着メールの表示が。

開くと、休み時間、聞きたい事があるから、顔かしな!!ガンヒョンより。

バッとガンヒョンを見ると、無心に仕事をしていた。

何だろう。

用事があるのなら、家で聞いてくれれば良かったのに。

私は深い溜息を吐き、画面を見て仕事をしようとしたら。

又新着メールが。ガンヒョンたら又ーーー!?慌てて開くと。

ボーーーッとしてないで、さっさと仕事しろ。

室長ーーーー!!

ギョッとして見上げると、室長のメガネが光る。

慌てて仕事をしている振りをする。

ドキドキ・・・、どうしよう頬が熱い。

すると又新着メールが。ゆっくりと開けると。

今日の夜飯はオレの行きたいとこにする。時間と場所も書いてあり、慌ててそのメールを閉じた。

昨日の事を言うのかな。

室長の頬のアレがやけに白く映る。

深い溜息が出る。



休み時間になり、私はガンヒョンに手を引かれながら、開いている会議室に入った。

ガンヒョンは入った途端、私を睨む。

「何よ~~。」とガンヒョンに睨まれ、泣きそうになる。

「室長の頬のアレ、アンタがやったんでしょっ?」指をビシッと指された。

ドッキーーーー!!

「そ・・・そん・・・の事ない。」オドオドしだす。

「だって、アンタが家に入る時に、室長のあの高そうな車見たもの。」呆気らカーンと言う。

グッ!!

「よくも、私に黙っていたわねーー。で、どうなの?」ジリジリと近づく。

「・・・。」口にチャックをした私。

「ウソついて後でばれた時、絶交だからね!!」ガンヒョンは私を脅した。

「それはイヤだーー!!」泣きつく。

「嫌なら白状しなさい。私がアンタの事、誰かに言うと思って?」とガンヒョンの目は優しい。

「ガンヒョンの事は高校の時から、信頼してる。」

「なら、早く言えーーー!!」迫られた。

「だって、内緒にしてろって。」モゴモゴ

「何ーーー!?内緒?」ガンヒョンの眉毛が上がる。

「それに、ただ食事しているだけだから。」

「はあ~~?食事?」

「男が苦手な私の為に、練習相手してやるって、ただの気まぐれだから。」

気まぐれ、まさにその通りだろう。

幾ら、彼女さんと別れて直ぐに私なんかとねー。

「何たって上司なんだから。部下の為に一肌脱いでくれてるんだよ。」笑う。

ガンヒョンはジーーーッと私を見る。

「中学校の時の淡い恋をズーッと追い求めているアンタには、ちゃんとした現実を見て欲しいと思ったけど。ただの上司と部下なのに、何で、上司の頬にデカイ絆創膏が張ってあるの?昨日、突然帰ってきて直ぐに寝てしまったよね。

混乱してる?

恋愛キャパが少ないアンタの為に、室長はゆっくりとしてるんだね。でも、室長には、彼女がいるじゃない。ヤッパ、遊びか!?」眉を上げてヒステリックに叫ぶ。

「まあ、まあ落ち着いて。」私はなだめた。

「あんた、遊ばれているかもしれないのに、何落ち着けって?」

「ただの上司と部下なんだから。ガンヒョンが心配する事なんかないから。」

「・・・・。」ジーーーッと私を見るガンヒョン。

「大丈夫!!室長には、ちゃんとした彼女がいるんだから。」人差し指を差す。

彼女に言いながら、自分にも言い聞かせる。

室長は彼女さんに振られて、暇だから構ってくれているだけだって。

この間の熱。そして今の微熱。

この熱は室長のせいじゃない。風邪引いただけ。

「さっ。もう仕事に行こう。」納得のいかないガンヒョンを押して、この会議室を出た。


ガンヒョンの背中を押しながら、もう室長と食事するの止めよう。

私には、ユル君の事を待っている方が、合ってる。


室長となんて、レベルが高過ぎたんだ。

男の色気出しまくりの室長の顔が近づき、怖くなって逃げ出そうと思って、室長の頬に爪痕を残す、キス一つも満足に答えられない私なんて。


室長の傍にいちゃいけない。

経理部に入り、自分の机に座る。

パソコンの壁紙には、青空に向かって四葉のクローバーが伸びている写真。

四葉のクローバーの小葉には、希望・誠実・愛情・幸運という象徴があるみたいだ。

私の机には色んな四葉のクローバーの小物が溢れていた。

可愛い。

持っていると幸せになると言う伝説。

この四つ葉のクローバーのように、小さな幸せが私には合う。







終了時間のベルが鳴る。

残業のない日。皆、片付け始め話・笑い合う。

ガヤガヤしている中、ガンヒョンが傍に寄ってくる。

「チェギョン、今日野暮用で遅くなる。」言ってイヤーな顔をする。

「野暮用って、あっ。ギョン君とデートなの?」


「デートじゃない!!」フン!!と鼻息が荒い。

最近、昼の食堂で突然告白されたガンヒョン。

同期のギョン君に「白鳥ーーー!!」言われてから、煩く付きまとわれている。

「アイツが奢ってくれるって言うから、ただ飯くいに行くだけ!!」冷たい目が光る。

そこに室長が通り

「シン・チェギョン!!お前今日ヘマしなかったな。」上司が部下に言うように接してくれた。

私は室長の事をゆっくりと見て

「はい、室長のお手を煩わせないように、何回も確認してやりましたから。」ニッコリと笑う。

室長の顔が、急に変な顔になる。

「じゃっ!!待ち合わせの時間に遅れるので、お先に失礼致します」頭を下げて、カバンの中に小物を入れて、ガンヒョンを引っ張って行った。

「チェギョン!!痛いって。私に引っ張られているガンヒョンは、叫んでいるが。

私は一秒でも早く、室長から離れてしまいたかった。