2人っきりのエレベーターに、室長の声が響く。

間の開く空間。

「冗談ですよね・・?」顔が引きつる。

「本気だ。」とシレッと言う。

「じゃっ、お断りします。」と頭を下げた。

「お前・・上司の誘いを断る事が出来ると思うなよ。」と般若の微笑み。

「ヒーーー!!」と壁に張り付く。

「あははっ!!お前ってヤッパ、面白いな。付き合っても退屈しなそうだ。」と今度は普通の笑い方。
2人っきりのエレベーターに、室長の声が響く。

間の開く空間。

「冗談ですよね・・?」顔が引きつる。

「本気だ。」とシレッと言う。

「じゃっ、お断りします。」と頭を下げた。

「お前上司の誘いを断る事が出来ると思うなよ。」と般若の微笑み。

「ヒーーー!!」と壁に張り付く。

「あははっ!!お前ってヤッパ、面白いな。付き合っても退屈しなそうだ。」と今度は普通の笑い方。

だから、室長。

普通の笑い方だと、印象が全く違う。


それは、犯罪ですよ。

この笑顔で、あの人と付き合っていたんだ。

ボーーーッと室長を見つめていると。

笑いの収まった室長が、私を見る。

「うん?見惚れているのか?」と真顔で近づいて来る。

「わーーーー!!!そんな事ないですーーー!!近寄らないでーーー!!」壁沿いに這う。

「なーーーっ。男が苦手なのか?それとも、オレが苦手なのか」

「ぐっ!!」

答えずに口をゴモゴモしていると、経理部のある階に止まった。

自然に開く扉。

室長の顔が変わった。

何時もの仕事の顔つきだ。

脇に抱えていた新聞。

室長に良く似合うカバンを持ち、颯爽と進む。

高そうな靴が良い音を響かせて、部屋に入ろうとする時、私の方を向いて少し笑った。


ボン!!と赤くなる私。

この会社に入って、経理部の回されてから、ずーーと苦手だったのに。


世界で一番苦手な男なのに。

ユルくーーーん!!早く迎えに着てーーー!!と私は天井を向いた。





「シン・チェギョン!!」

「あっ!!はい!!」と私は般若の顔をした室長の元に駆け寄る。

「なんだ、このファイル。」パソコンの画面を見ながら、室長の目が鋭くなる。

「それは、今期の予算。」

「お前ーーー、ちゃんと見ろ!!此処のが一桁間違っている。3千万が3億になってる!!」と指をさす。

「あっ!!」間違いを見てビックリした私は、青ざめた。

くどくどと説教が始まった。


又、説教されてる。

この人なんで私に付き合って言ったんだろう?

こんなに怒られているのに。

ジーーと室長を見つめる。


私の何処が良くて言ったの?


しょんぼりとしていると、カレの口元が段々減っていった。


「じゃっ判ったな。」と室長はパソコンの画面を見始めた。


「ハイ。判りました。」と頭を下げトボトボと席に戻った。

「アンタ、又こっ酷く怒られたね。昨日のあの優しい室長はどこへ?」と私の頭を撫でる。

「ガンヒョーーーン。」と泣きつこうとしたら、休み時間に説教されてたから、今休んできなさい。」体を押された。


「えーーー?一人でーーー?」

「今日のお菓子、ポッキーにしておいたから、それ食べて元気出しなさい。」休憩室を指差した。

「えっ!!ポッキーー!!大好きだよーー。」喜んだ。



休憩所に行くと本当の名前は給湯室なんだけど4人が精一杯なのに室長の説教のお陰で(本当は私が悪いんです。)一人でお菓子を食べている。

ポリポリ。

一人でココアを飲みながら、ポッキーを食べていた。

「オイ。」と突然、室長が入り口に立った。

「ヒッ!!」とビックリする私。

「あんまり大きな声、出すな!!」中に入って来た。

私は少しずつ奥に入っていく。


「逃げるな!!」室長の声。

私の体がビクッと止まる。

室長は溜息を吐きながら「さっきのは悪かった。」言いづらそうに言った。

えっ?

悪かったって、般若が悪かったって。

「早く、お前に一人前になってもらいたくて、焦りすぎた。」

「・・・・。」

「お前は人より、ゆっくり型だから、ちゃんと見極めて指導するようにしていたんが、どうも私情が挟んで。」居心地が悪そう。

私情が挟むと、厳しくなるの?

マジでーーー!!普通反対でしょッ。

「だから、これからは気をつける。じゃっ、今日の夜飯オレが奢るから。」室長は行ってしまった。

私は壁伝いにズルズルと落ちて行った。

室長が謝った。

それに早く一人前になってもらいたくてって。

昨日の室長の言葉から、急激に室長の態度が変わっている。

その態度の豹変に付いていけない。

たださえ世界一苦手なのに。

座りながら、私の手は甘いものを探した。

脳ミソが甘いのを求める。

ポッキーをパクパクと入れ込む。

いっぱい食べないと、食べていると。


「お前、ポッキー食べすぎだ。」頭上から声がした。

ギクッ!!

私は口の中にポッキーを咥えたまま、上を見上げた。

表情が変わる室長。

私の前にしゃがみ「オレを誘ったな。」言いながら顔が近づいていた。


えっ?誘った?誰が?

室長の口がゆっくりと開き、私が加えているポッキーを口に入れた。

ポキッ。

2度ほど咬み締め私から離れていった。

「甘い、チェギョンとキスしたらもっと甘いな。」口の端に付いたカスを、親指で落としながら立ち上がった。

「早く戻れ。休み時間は終わった。」室長が私の視界からいなくなった。



腰が、腰が抜けたーーー!!



このコメントがガンヒョンに入り、彼女は室長に断りを入れ、迎えにいった。




オイオイ、ポッキーかじっただけで腰抜かしたのか?

クックック。

予想外な事をする。

キスしたらどうなるんだ?

室長の小さな笑いは、皆を驚かせていた。