BCAAはBranched Chain Amino Acidの略で、分岐鎖アミノ酸の総称です。

 

これには3種類のアミノ酸があり、バリン・ロイシン・イソロイシンになり、いずれも生体内では合成できない必須アミノ酸です。

 

これらのアミノ酸プール中の存在割合は、決して大きくはないが筋肉を構成するタンパク質に占める割合は多く、20種類のアミノ酸のおよそ35%を占めています。

 

そのため、BCAAはタンパク質の構成要素としても動員されるが、それ以外にも遊離アミノ酸としても多くの役割を担っています。

 

遊離アミノ酸とは、細胞や血液中などに蓄えられているアミノ酸のことを指します。

 

BCAAは、肝臓ではほとんど代謝されず、骨格筋や脳で代謝され、そのときに補助エネルギーとして使われたり、グルタミン酸を生じてアンモニアを処理することになります。

 

BCAAは必須アミノ酸であるため、最初の供給源は食事中に含まれるタンパク質および遊離のBCAAであり、カラダの部位としては腸管になります。

 

腸管から血中に入ったBCAAは、アミノ酸プール中の量は維持されていることが多いため、入ってきたBCAAは主に筋肉や脳で代謝を受けます。

 

筋肉における代謝は以下になります。

BCAAは、分岐鎖アミノ酸アミノ基転移酵素(BCAT)の働きによって、分岐鎖ケト酸(BCKA)に変換されます。

 

このとき、同時にa-ケトグルタル酸にBCAAのアミノ基が転移され、グルタミン酸が生成されます。

 

筋肉内のグリコーゲンが枯渇したときには、BCKAはやがてエネルギー産生経路(TCA回路)に入ってATP生成に使われます。

 

また、BCKAの生成に伴って生じたグルタミン酸は、筋肉中のアンモニアを処理してグルタミンになります。

 

生じたグルタミンは、アミノ酸プールの補充、タンパク質合成の材料、小腸や白血球、肝臓のエネルギー源として使われます。

 

余分のグルタミンは肝臓でグルタミン酸に変換されて利用され、そのときに遊離したアンモニアは尿素として変換されます。

 

筋肉中のグリコーゲンが減少していなければ、BCKAはピルビン酸を経てアラニンに変換されて利用されるほか、肝臓において糖新生に利用されます。

 

また、同時に生じているグルタミン酸もアラニンを経て糖新生に利用されます。

 

そして、肝臓でのグリコーゲン貯蔵量が上限を迎えると、余分な糖は中性脂肪に変えられ、皮下脂肪として蓄積されます。

 

ちなみに、脳で生成されるグルタミン酸および、グルタミンの30~50%は、BCAAの1つであるロイシンのアミノ基に由来するものだと言われています。