タンパク質に、その本来の力を発揮してもらおうとしたとき、タンパク質が正しくつくられていることだけでは目的は達成されない。
それはタンパク質が働くときにはタンパク質以外の要素が関わっていることが多いからである。
タンパク質の多くは、生命活動を起こしている各部品であるため、一般的な機会と同じように部品そのものに動作させるためのスイッチ機能が組み込まれています。
動くとは、スイッチが入ったり切れたりすることであり、タンパク質も同じように多くのものにスイッチ機能がついている。
そのスイッチは複数の方法がありますが代表的なものは以下になります。
・リン酸化
・糖付加
・脂質修飾
・アセチル化
上記した中で最もよく用いられている方法は、「リン酸化」と「糖付加」になりますが、その中でも生体内、あるいは細胞内で起こる膨大な種類の生命反応によって最も多く用いられているのは「リン酸化」になります。
重要になるのは、生命現象を起こしているタンパク質にはスイッチがついており、そのスイッチのオン・オフによって生命現象がコントロールされていることであり、遺伝子がコントロールしているのではなく、タンパク質とその周囲にある何種類かの物質であるということです。
リン酸化について、私も理解できていない部分が多くありますが説明していきます。
下図はグリコーゲンからグルコースを生成する反応の一部を表しています。
この生成を進めている酵素は「活性型グリコーゲン・ホスホリラーゼ」になります。
この酵素は、その左に側に罹れている「不活性型グリコーゲン・ホスホリラーゼ」に、リン酸基がついたものであり、すなわち、非活性であった酵素に「リン酸基」が付加したことによって活性化した、スイッチが入ったということです。
そして、この時にリン酸基の出どころは、ATP(アデノシン三リン酸)に付加していたリン酸基になります。
つまり、ATPがADP(アデノシン二リン酸)に変化したときに外れたリン酸基が、グリコーゲン・ホスホリラーゼに付加した状態です。
ATPはエネルギー通貨であり、ATPがADPに変わるということはエネルギーを消費しているということでもあります。
これは重要なポイントであり、生体内における化学反応を進めるためには必ず酵素を関与させるようにしておかないと、化学反応が暴走してしまうことになります。
そのため、生体に起こる化学反応は、そのほとんどが酵素反応です。
そして、酵素自体も勝手に働いてしまっては化学反応が暴走するため、普段は働かないようになっています。
すなわち、「非活性」の状態で存在しているということです。
このスイッチを入れるためにリン酸基を付加したり外したりするのであるが、これはあえてエネルギーの出入りを伴うように仕組まれています。
人間社会で例えれば、「行動するときには必ず金銭の動きが伴う」ようなもので、そうすることによって活動のコントロールが容易になるということです。
今回のまとめ
・タンパク質は働くためにはスイッチが必要であり、多くのタンパク質にスイッチ機能がついている
・「リン酸化」、「糖付加」、「脂質修飾」、「アセチル化」などはスイッチを入れる方法(そのほかにもある)
・生体における化学反応は、そのほとんどが酵素反応である
・化学反応が暴走しないように「非活性の状態」で普段は存在している
今回は以上になります。