異常タンパク質が生じた場合の対応方法の2つ目は、アミノ酸にまで分解されてリサイクルに回されることです。

 

その代表的なメカニズムが以下の2つになります。

 

①ユビキチン-プロテアソーム系

②オートファジー

 

2つの違い

①ユビキチン-プロテアソーム系

→個々のタンパク質ごとの小規模の分解方法

②オートファジー

→一度に多量のタンパク質をまとめて処分する分解方法

 
さらに詳しく記していきたいと思います。
 
①ユビキチン-プロテアソーム系

 

異常なタンパク質だけでなく、正常なタンパク質であってもその寿命や役目が終われば、この系によって分解されます。

細胞内に処理すべきタンパク質(標的タンパク質:黄緑)が生じた場合、まずその1つ1つにユビキチン(ピンク色)という小さなタンパク質が複数結合され、このことをユビキチン化と言います。

 

この複数結合されるのは1つのポイントであり、その意味合いは、分解をすることに念には念を入れてということが考えられます。

 

1個のタンパク質をつくるには、膨大なステップを踏んで、かつ膨大なエネルギーを消費して育てあげたものなので、壊すのはできるだけ慎重にしたいということです。

 

次にユビキチン化されたタンパク質はプロテアソーム(分解工場)に捉えられ、内部で分解されます。

 

それによって、ペプチドあるいはアミノ酸にまで分解され、再利用されます。

 

②オートファジー

まず、異常なタンパク質や過剰なタンパク質がある程度集積すると、それらは生体膜によって包み込まれる。

 

上記の図の場合、細胞質やオルガネラが異常なタンパク質や過剰なタンパク質のことを指し、隔離膜が生体膜のことを指します。

 
これによって生じたものはオートファゴソームと呼ばれます。
 
次に、分解酵素を含んだリソソームがオートファゴソームと融合し、内部にあった分解酵素が混ぜ合わされます。
 
この融合物はオートリソソームと呼ばれます。
 
そして、タンパク質は分解酵素によって分解され、リサイクルされるのが一連の流れになります。
 
リソソームには、分解に関わる酵素だけが詰まっているようなものであり、仮にリソソームから分解酵素が漏れ出してしまうと細胞内は大きなパニックに陥ります。
 
人間のカラダはそうならないようにうまくできており、その鍵となるのは酵素が働くのに最適なpH(水素イオンの濃度)になります。
 
リソソームに詰まっている酵素は酸性条件下でしか働くことができないという仕組みになっており、万一に漏れ出してもリソソーム内以外は、酸性条件下ではないために酵素が働くことができないということです。
 
今回の内容のまとめ
 
・リサイクルされる代表的なメカニズムは、「ユビキチン・プロテアソーム系」と「オートファジー」である
・ユビキチン・プロテアソーム系は、個々のタンパク質ごとの小規模の分解方法

オートファジーは、一度に多量のタンパク質をまとめて処分する分解方法

・複数結合する意味合いは、分解を慎重に行うため
・リソソームの分解酵素は酸性条件下で働く仕組みになっている(リスク管理)
 
今回の内容は以上になります。