生体におけるタンパク質合成は、粗面小胞体に存在するリボソームにメッセンジャーRNA(mRNA)が到着し、そこに書かれているコードに従ってアミノ酸が連結されていき、そして、アミノ酸がつながったポリペプチドが延長されていきます。
もう少し具体的に掘り下げていくと、リボソームは大小二つのサブユニットからできています。
小さい方のサブユニットにはトンネルがあり、この中をmRNAが通り抜けていきます。
mRNAにはコドン(遺伝暗号)があり、そのコドンを読み取っていくのですが、塩基配列のアミノ酸に対応させるためには、両方をつなぐなんらかの因子が必要になり、それがトランスファーRNA(tRNA)、あるいは転移RNAと呼ばれるRNAになります。
tRNAの一部にはアンチコドンと呼ばれる三塩基からなる配列があり、それはmRNAのコドンと1対1で対応する。
こうしてリボソームの中で、次々にアミノ酸がつなぎ合わされていきます。
このアミノ酸は、ぺプチド結合という結合様式によって繋がれており、順々に繋がれているアミノ酸のヒモをポリペプチドと呼びます。
このポリペプチドは、親水性のアミノ酸が密に存在している部分と疎水性のアミノ酸が集まって存在している部分が混在しています。
疎水性の水になじまない部分は、水に触れている状態では不安定なため、できるだけ水から遠ざかろうとします。
これはすべての疎水性のアミノ酸に当てはまることであり、相互作用によってお互いが集まりくっ付いてしまうことにつながり、せっかくつくられたポリペプチドも正しいものではなくなってしまう可能性が高まります。
ポリペプチドが正しくなければ、タンパク質を正しくつくることができないということになるので、細胞は生命を維持していくことができなくなってしまいます。
そうならないために人間には素晴らしい機能が備わっており、それが「分子シャペロン」というタンパク質です。
HSP70と呼ばれる分子シャペロンは、βシート(二次構造)からなる溝があり、その溝が疎水性となっています。
上記したように疎水性同士はくっ付きやすい特徴があり、この溝に疎水性のアミノ酸からなるポリペプチドがはまり込みます。
そうするとポリペプチドの疎水性の部分はこの分子シャペロンの溝によってマスクされ、安定することができるようになります。
今回のまとめ
・リボソーム内でアミノ酸がつなぎ合わされてポリペプチドを形成する
・ポリペプチドは疎水性、親水性アミノ酸でできており、疎水性アミノ酸同士がくっ付くことがないように「分子シャペロン」が存在している
今回は以上になります。