今年5月に天寿を全うした黒猫、月光。
『もう埋葬して』と言われているように感じながら、8月に逝った黒猫チコと棚で並んでもらってました。
過日、
やっと埋葬しました。
真っ黒だった月光だけど、白い鉢が欲しかった。
準備したのは鉢と、軽石、花や野菜用の土、スコップ、お骨用の割り箸。
そして遺骨の入った骨壺。
なぜ花や野菜用の土を選んだのかは後ほど。
月光は女の子で、ずっとずっと痩せっぽちで、3キロ前後くらいしかありませんでした。
火葬をお願いしたお寺さんで、電話した時に言われていた骨壺よりひと回り小さいものを勧められて、それでピッタリなくらい。
月光は長生きで18年も生きてくれましたが、この世や人に、普通以上に執着していなかったと思います。
食べ物にも。
5月23日に旅立ってから今日まで埋葬しなかったのは、私が引き止めていただけです。
『早くして』と月光から言われているような気がしながらも、お盆の少し前にチコの白血病発症があり……それからすぐに彼が旅立ったので、猫が好きで優しくて、ちょっと寂しがり屋だったチコのそばに、少しついてて欲しかったのです。
でも、もう遅くなり過ぎたから。
「ありがとう」の想いをたくさんたくさん込めながら……
鉢にまず軽石を敷き、その上に土をかぶせて、月光のお骨が石に当たらないようにします。
骨壺からお骨を出して、なんとなくの位置ですが、頭と背骨、手足、などを丸い形で乗せて行く。
丸くなって眠ってるような感じで。
これからも心やすく、彼女が眠れますようにと願いながら。
その上に土をかけ……。
一見、何も特別ではない鉢植えのようですが、プランター葬として月光の眠る最後の場所ができました。
最後に、私の中で月光と強く結びついているアガパンサスという花の種を。
実家のそばで数年前に見て一目惚れしたのに、その後何年も見かけなかった花。
3年ほど前、突然うちのヌシたる大木の足元に生えてきて。
それがアガパンサスだと気付いたのが一昨年前くらい。でも全然、蕾すらつかないままだったのに。
月光の遺骨を連れて帰ってきてすぐに、一斉に咲いたんです。
3本もの花の茎が、一斉に!
澄んだ綺麗さに感激しました。
私にはそれが、月光からのメッセージに思えたりして。
抱っこも、ちゅ〜るも、楽しいはずの触れ合いに全く慣れてなかった月光。
ネグレクトからの保護猫だった彼女を引き受けた時には、もう性格も体格も出来上がった8歳でした。
年老いた両親との距離が、それなりに適度だった様子の月光。
抱っこすると「イヤ〜ン」と鳴いて手を突っ張った月光。
だから、あんまり好かれてないなあと苦笑いしたりしてた。
遺骨からも、いわゆる私達が普段考えているような愛情みたいなものは伝わって来なくて、そういうものを学ばせてあげられなかったことを、私は密かにずっと悔やんでた。
でも、それも、私の思い込みなのかもと、アガパンサスが咲いてやっと思えたんです。
月光には月光なりの思いがちゃんとあった。
私達の考えや思いだけでは判断できない思いが、ちゃんと。
そう初めて思えました。
だから、その種を、鉢に植えました。
真ん中のちょっと白いやつが種です。
見えづらっ!笑
これが、花や野菜用の土を選んだ理由です。
芽が出れば良し、出なくてもそれで良し、と思ってます。
プランター葬は、好きな草花を植えて、その様子に心を慰めてもらうという目的というか、意味も備えています。
月光には、そうしたいと思った。
一瞬だけ月光と一緒に暮らした黒猫ビビが10年前に病気で先立った時、墓地に埋めた後に、遠く感じて寂しくて辛くて、掘り返したくなってしまったから。
こんな感じで完成です。
最後に棚に置く時に、見守ってくれていた存在があります。
ん?どこ??
まだ見えませんね。
もう少しクローズアップしてみましょう。
いました!
うちで面倒を見ている地域猫君です。
黒猫を白い鉢に埋葬し、白い猫に見守ってもらう。あはは。何となく、色のトーンがあってて面白い。
雨が降り、日が照らし、骨はきっと少しずつ土の中でほぐれていくでしょう。
私があと何年か何十年か生きる間に、形がなくなってしまうかもしれません。
それでいいのです。
残し過ぎても、託された人が困るから。
私が執着しすぎても、きっと月光が困るから。
ゆっくりゆっくりこの世を忘れて、眠って、ほぐれて。
それでいい。
もし、もしも、魂が本当にあるのなら。
のんびりしてね、月光。
これからはすべてあなたの良いように。