東京の病院から県外の自宅まで夫をどうやって連れて帰るか…






悲しみも癒えぬまま、また違う現実と向き合わなければいけません







東京の病院から自宅までは直線距離でも50キロ以上






高速を使うと80キロ以上走る事になります






自宅までの距離が遠い事も心配でしたが、私が心配したのは






夫が若干規格外なサイズだという事







183センチの体重110キロ…ラグビー選手ばりのガッチリ体型






病院のご飯がまずいまずいと言っていたのでICUで再開する時痩せ細っていたら…と心配していましたが、全く痩せてなかった夫







とりあえず姉と手分けしてネットで調べ、地元の上位にヒットした葬儀社何社かに、東京の病院にいる夫の搬送が出来ないか問い合わせの電話しましたが、電話での反応はすこぶる鈍い…というか反応が悪い






見積もりをくれた業者から言われたのは、往復になるので搬送だけで15万円以上かかるとの返答でした






それに加えて夫の身体が大きいと伝えると、






割り増し料金がかかるだの





ドライアイス代が倍になりますだの






どの葬儀社も言いたい放題で、概算の金額すら教えてくれず、





『ぶっちゃけ言い値です』





なんて所もありました






そんな感じだから相見積もりの比較になりません






そしてもはやお手上げ…と思って、病院に出入りしている葬儀屋さんに相談した所、そちらの提携している遺体の搬送専門の業者さんなら東京から片道の料金でいけるかもしれないと言われ、見積もりを出して貰う事にしました





搬送を専門にしている業者さんがいる事なんて知りませんでした(早く教えて…)






見積もり額は地元の葬儀社で聞いた金額の半額以下






それに特に体重による割り増し料金もなければ、ドライアイス代の追加も無し







ネットで調べた時に病院に出入りしている業者さんは高額になるから避けた方がいいって書いてあったけど、一番良心的じゃないですか(あの記事訂正して欲しい…)






なのですぐにその業者さんに自宅までの搬送をお願いして、その後の葬儀などは地元の別の業者さんにお願いする事にしました







既にこの時点で夫が亡くなってから既に3時間以上経過していました…






搬送業者さんは決まったはいいものの、葬儀をお願いする業者さんも決めなくてはいけない…






さっき搬送の件で問い合わせた葬儀社では絶対葬儀はしない!!と心に決めたので、また他の葬儀社を探す事にしました






病院の葬儀社の方からは






「家に帰られてから決められても大丈夫ですよ」






と言われましたが、私には一抹の不安が…






それは搬送してくれる人と私の家族だけであの大きくて重い夫を家の中に連れて入れるのか…という事でした







葬儀社を決めて夫が帰る時間を伝えれば迎え入れを手伝ってくれる所があるかも…






そう思ってCMでも見たことのある葬儀社さんに電話をした所、夫の自宅に到着する時間に合わせて来てくれ、迎え入れを手伝って下さると返事を頂けたので







『ここで頼もう(もう探すの嫌)』





そう決めました







有名どころの葬儀社さんですが、実際葬儀をお願いして特に安いという感覚はありません






むしろ高いらしい…







でもね…担当してくれたおじちゃんが本当にいい人で、夫の迎え入れから葬儀が終わるまで、本当に何から何まで初めてで心細い私をサポートして引っ張ってくれました





なので金額はかかったけれど、葬儀社選びは間違っては居なかったと今でも思います






そして葬儀社がようやく決まった所で、私は先に自宅に戻って夫が帰ってきても大丈夫なように受け入れの準備をする事にしました






病院からの夫の送り出しは姉に頼み、







夫に「先に家に戻るからね、まだ魂が病院にいるなら車に乗って」







そう言って乱雑にバッグに放り込まれた夫の荷物を車に積み込み病院を後にしました






この時前日の朝起きてから既に24時間以上寝ていませんでしたが、不思議な位帰りの車の運転でも全く眠くありませんでした






通い慣れた首都高を走りながら





もう東京の病院まで車で行く事も無いんだな…






13年間、いい結果が出た時も悪い結果が出た時も






いつも隣に座っていた夫がいなくなり、こうして自分だけで帰る日が来るなんて想像してなかったな…






きっと隣に座っているであろう夫との病院からの最後のドライブになりました






家に着くと夫の荷物は夫の部屋に押し込み、リビングのテレビやテーブル、ソファーの位置を変えました






しかし、どうやっても息子の介護ベッドが邪魔になってしまう…






我が家は平屋の小さい家なので、ベッドがあると夫を布団に寝かせて弔問の方に入ってもらえるスペースがない…






どうしよう… 






こうなったら






息子の介護ベッドに夫を寝かせるしかないか…







でもこの考えが、規格外の身体のサイズの夫にとってベストな選択でした