高層ビルの屋上―――――――吹き抜ける風が今日は強い。
人間なら、そうそう立ってはいられないだろう。
だが、そこにその「風」を心地良さげに身体に任す2人が立っている。

「だからさ」
「何だ」
「何も考え無しに探すって、やっぱり無謀だと思うのは俺だけか?」
「仕方無いだろ!」
「ハイハイ・・・・・弟を探しに出た姫さんと連絡が取れなくなってしまったから、だろ」
「全くあの人は・・・・・僕の心配なんていつも理解してくれないんだ」
「そう言うな。それに、だいぶ近いはずだぜ。この気配は、間違い無く風の姫さんのだ」
「間違い無いか」
「無いね」

全く同じ風貌の2人――――――――水の王子で有る涼と鴻はお互いに頷き合うと、風の王から賜った風の力を少々使い、その身を地上へと翻した。

まだ、陽は高い。
今の流迦の気の強さなら、今日中に流迦にまで辿りつけるはずだ。
それが燦に繋がる唯一の道だと、そう信じて―――――――




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



通い慣れたはずの学校のハズなのに、まるで初めてこの場所に来た様な感覚だ。

―――――――不思議。

流迦は校門をくぐり、緑豊かな場所に思わず目を向ける。
陽炎の如く舞い踊る精霊たちの姿に、思わず微笑みを向けると、精霊たちの囁きが流迦の耳に聞こえて来た。

『風姫さま』
『やっと見て下さったのね』
『流迦さま』

ちらほらと聞こえる囁きは自分にしか聞こえていないのだろう。
流迦はほんの少しだけ頭を下げ、心の中で「今まで気付かなくてごめんね」と呟いた。

きっと、今までも、こうやって何度も話し掛けていてくれたかもしれない。
流迦がしばらく精霊たちを眺めていると、不意に肩を叩かれた。


「ルカ」

聞き慣れた声に振り向くと、そこにはいつもと変わらない友達がいるはずだった。
だが流迦はその声に思わず身体が止まってしまう。

――――――違う、この、声は。

「さ、くら」
「・・・・・流迦」

記憶を思い出した流迦の前に居るのは、学校での友人でも有った、桜。
いや、咲良だ。

「思い出したのね」
「さ、咲良」

にこやかに微笑む咲良の胸に流迦は飛び込むと、その身体を力の限り抱き締めた。

「心配したわ。貴女を見付けたのは良いけれど、記憶が全く無くて。だからこの学校に留まって、貴女の記憶を何とか戻そうと頑張ったのよ?」

咲良はそう言うと流迦の身体を離し、また微笑む。
咲良の話によると、最初に人間界に降りた流迦を探し出したのは咲良だった。だが、流迦の記憶は全く無く、咲良の術を使っても効果は無かったらしい。
仕方無く天界に連絡し、咲良自身も流迦の傍にいる事にした。
しかし、天界からの返事は無く、不審に思っているところに、綾迦の気配を感じたと言う。

「何とか、綾迦さまに連絡を、と思っていたら。貴女が先に出会ったの」
「そうだったの」
「昨日青藍に頼まれて、また術を。――――綾迦さまたちがいるなら、流迦の風の力も目覚め易いかも、と思ったのよ」
「でも、思い出せ無かったわ・・・・肝心なところが」
「・・・・・焦ってはいけないわ、流迦」





咲良ちゃん、お帰り。
最近コメントお返事遅れています。
すみませんッ。ホントすみませんッ!