恋までもう少し 3 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「何だ、そんな事かよ」

萌姫の話を聞き終えた俺は思わず笑いながらそう言い、その言葉に萌姫は思いっきり俺の顔を睨み付けた。

「そんな事?」
「燦はそんな事、気にもして無いさ。緋冴姫さんだって、同じだと思うぜ」

そんな事解らないわ、と言いたげな萌姫の鼻先をちょんと指で突いてやると、真っ赤になって鼻を抑え、また睨み付けて来た。

「何するのよッ」
「そんな可愛い反応する姫さんにあいつらがいつまでも怒ってる訳無いだろ」
「―――――なッ」
「だいたいだな、謝ったんだろ?大丈夫だって」
「・・・・・・だけど」
「反省してるんなら被せて苛めたりなんかしねぇよ、あいつらは」

俺はそう言うと、小さな紅い唇を噛み締める萌姫にこれでもかって笑顔を向ける。
大丈夫に決まってる。
燦や緋冴姫なら。

何て言うか、確信みたいなもんで、あいつらがそんな事気にもして無いって解るから。
だけど、そう言うのをずっと気にしたりするこの萌姫も可愛らしい。

「水の王子さまもこう仰って下さってるし、ね?萌・・・・気にし過ぎも良く無いわ」
「そうよ、萌さま。さ、こちらでお茶にしましょう」
「おっ、姫さんのお茶美味しんだよな。この綺麗な薔薇色がさ」

宵姫や咲良姫、それに俺がお茶の入った器を持ち上げると、萌姫もおずおずとお茶の入った器を手にする。

「綺麗」
「この爽やかな甘みに俺はまってるんだよな」

クイッと中の薔薇色のお茶を飲みながら俺が呟くと、咲良姫は嬉しそうに微笑む。

「そう言って下さるのは、鴻さまだけです」
「そうか?こんな上手いもん、毎日飲んでたいぜ、俺は」
「まあ、鴻さま」

口元に手を添えながら艶やかに咲良姫が笑うと、宵姫が微笑みながら首を傾げた。

「あの・・・・もしかしてお二人は・・・・」
「恋人なのッ?!」

宵姫の問い掛けが終わる前に、萌姫が好奇心に瞳を爛々と輝かせながら、顔を突き出して来る。
さっきとはうって変わったその表情に、俺は思わず口に入ってたお茶を噴き零した。

「ゴホッ・・・・・ッ・・・・な、何言って・・・・」
「まあ」

俺がむせてる間に、咲良姫はほんの少し頬を染めて顔を背ける。

おいおい、そんな誤解が誤解を産むような態度はきっとヤバい状況に陥りそうな予感がするぞ・・・・。
何とか説明しようにも、気管に入ったらしいお茶のお陰で、俺は全く声が出せなかった。



咲良も満更じゃ無かったりする?