冬音を挟んで雹と蒼迦は真正面から向き合う。
雹のギラギラとした瞳は少年特有のものなのか、命の輝きにも見える。
だが、その険を含んだ視線に、冬音が怯えてしまっているのも事実だ。
蒼迦はふう、と小さく息を吐くと冬音にニッコリと微笑み、同じく雹にも笑顔を向ける。
その人懐っこい笑顔―――――――
たおやかに向けるその笑顔に心動かない人間が居るだろうか。と言えるほどの笑顔を向けられ、思わず雹がたじろぐのを見逃さず、蒼迦は冬音を自分の方へ引き寄せた。
それこそ、眼にも止まらぬ速さで。
「大丈夫か」
「は、はい」
冬音は何故自分が雹から蒼迦の腕の中に居るのか解らない顔で頷く。
そして間近に迫る蒼迦の端正な顔に頬を赤らめて行く。
―――――可愛らしい。
冬音の可憐な顔に蒼迦は胸に拡がる優しい気持ちを感じながら、何が起こったか解らない顔の雹に向きなおった。
「お前、今―――――――何、した」
「何、とは?」
雹とて、幼い頃から格闘技、武術一般はこなしてきた。
兄や姉たちからも鍛えられて来たのだ。
だが―――――――――全く、見えなかった。
腕の中の冬音の体温さえいつ消えたか解らないほどに。
「やるじゃねぇか・・・・」
「・・・・・・」
「表に出ろよ。喧嘩、買ってやる」
雹の表情はまるで子供になっている。キラキラと光る瞳の輝きは先程までと違い、好奇心に満ちている。
口元に広がる微笑みは喧嘩と言うよりも試合を申し込んでいる様だ。
「止めとけ。勝てる気がしてるなら、まだまだ鍛練不足だ。目の前の力量を測れぬならば、むやみやたらに突っ込むものじゃ無い」
「抜かせ、おっさん」
「や、やめて・・・」
雹と蒼迦の中に、消え入りそうな冬音の声が重なる。その声に蒼迦は彼女を掴んでいる腕に力を込めそしてそっと撫でた。
―――――大丈夫。安心しろ。
そんな気持ちを込めて撫でる指に、冬音はそれを理解したのか一瞬目を見開きながら小さく頷いた。
「どうしてもと言うなら、後で相手してやる。俺は取り敢えず髪を切りたい」
「髪を切ったら、相手してくれるのかッ?」
その嬉しそうに返事する雹に、蒼迦は思わず微笑んだ。
この少年は自分の好きなもの、興味が有るものに真っ直ぐ過ぎるほど真っ直ぐなのだ。
不器用かもしれない。
ぶつかるものは大きいかもしれない。
しかし、どうもこの少年の真っ直ぐさを嫌いにはなれない。
まるで自分を見ている様だ。
「後でな」
その言葉に嬉しそうに頷く雹。
それを満足気に見ると、蒼迦は冬音を見つめ、軽く片目を閉じた。
「びっくりしました・・・・」
「そうか。それは済まない」
冬音の指先がくるくると動き、蒼迦の髪は一房、また一房と床に落ちて行く。
冬音の動きは無駄が無い。その動きに合わせて優しい声が蒼迦を包む。
「あの・・・・本当にごめんなさい、迷惑掛けてしまって」
「そんな事は無い。こちらこそ済まない。彼氏を怒らせてしまって」
「か、彼氏じゃ有りません」
鏡越しに見える冬音はほんの少し頬を赤らめると、また鋏を動かす。
嫌いでは、無いだろうに――――――
あの後ろで今は大人しく待つ雹。
雹だって間違い無く冬音に好意を抱いているのだろうから。
その可愛らしい反応を見せる冬音と雹に蒼迦もまた少なからず好意を抱き始めていた。
だが、このまま2人を上手く行かすのも、何となく嫌な感じもする。
―――――――嫌?何故だ?
蒼迦は自分の心の中を過った気持ちに首を傾げた。
「あ、の・・・・本当に後で雹くんと、その・・・」
「心配してるのか」
「雹くん、ああ見えても、実は強いんです。小さい頃から色々やってるらしくて、だから」
―――――――俺を心配してるのか?
「あの、雹くんには私から言っておきます。だから」
「心配はあの少年じゃ無く、俺にしてくれてるのか?」
蒼迦が問い掛けると、冬音はコクン、と頷いた。
伏し目がちに視線を蒼迦に向けている。その視線が鏡越しに蒼迦と絡むと、冬音は恥ずかしそうに頬を染めた。
遅くなってごめんなさいです!
今回も素敵イラストありがちょ、飛鳥ちゃん!!
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雹のギラギラとした瞳は少年特有のものなのか、命の輝きにも見える。
だが、その険を含んだ視線に、冬音が怯えてしまっているのも事実だ。
蒼迦はふう、と小さく息を吐くと冬音にニッコリと微笑み、同じく雹にも笑顔を向ける。
その人懐っこい笑顔―――――――
たおやかに向けるその笑顔に心動かない人間が居るだろうか。と言えるほどの笑顔を向けられ、思わず雹がたじろぐのを見逃さず、蒼迦は冬音を自分の方へ引き寄せた。
それこそ、眼にも止まらぬ速さで。
「大丈夫か」
「は、はい」
冬音は何故自分が雹から蒼迦の腕の中に居るのか解らない顔で頷く。
そして間近に迫る蒼迦の端正な顔に頬を赤らめて行く。
―――――可愛らしい。
冬音の可憐な顔に蒼迦は胸に拡がる優しい気持ちを感じながら、何が起こったか解らない顔の雹に向きなおった。
「お前、今―――――――何、した」
「何、とは?」
雹とて、幼い頃から格闘技、武術一般はこなしてきた。
兄や姉たちからも鍛えられて来たのだ。
だが―――――――――全く、見えなかった。
腕の中の冬音の体温さえいつ消えたか解らないほどに。
「やるじゃねぇか・・・・」
「・・・・・・」
「表に出ろよ。喧嘩、買ってやる」
雹の表情はまるで子供になっている。キラキラと光る瞳の輝きは先程までと違い、好奇心に満ちている。
口元に広がる微笑みは喧嘩と言うよりも試合を申し込んでいる様だ。
「止めとけ。勝てる気がしてるなら、まだまだ鍛練不足だ。目の前の力量を測れぬならば、むやみやたらに突っ込むものじゃ無い」
「抜かせ、おっさん」
「や、やめて・・・」
雹と蒼迦の中に、消え入りそうな冬音の声が重なる。その声に蒼迦は彼女を掴んでいる腕に力を込めそしてそっと撫でた。
―――――大丈夫。安心しろ。
そんな気持ちを込めて撫でる指に、冬音はそれを理解したのか一瞬目を見開きながら小さく頷いた。
「どうしてもと言うなら、後で相手してやる。俺は取り敢えず髪を切りたい」
「髪を切ったら、相手してくれるのかッ?」
その嬉しそうに返事する雹に、蒼迦は思わず微笑んだ。
この少年は自分の好きなもの、興味が有るものに真っ直ぐ過ぎるほど真っ直ぐなのだ。
不器用かもしれない。
ぶつかるものは大きいかもしれない。
しかし、どうもこの少年の真っ直ぐさを嫌いにはなれない。
まるで自分を見ている様だ。
「後でな」
その言葉に嬉しそうに頷く雹。
それを満足気に見ると、蒼迦は冬音を見つめ、軽く片目を閉じた。
「びっくりしました・・・・」
「そうか。それは済まない」
冬音の指先がくるくると動き、蒼迦の髪は一房、また一房と床に落ちて行く。
冬音の動きは無駄が無い。その動きに合わせて優しい声が蒼迦を包む。
「あの・・・・本当にごめんなさい、迷惑掛けてしまって」
「そんな事は無い。こちらこそ済まない。彼氏を怒らせてしまって」
「か、彼氏じゃ有りません」
鏡越しに見える冬音はほんの少し頬を赤らめると、また鋏を動かす。
嫌いでは、無いだろうに――――――
あの後ろで今は大人しく待つ雹。
雹だって間違い無く冬音に好意を抱いているのだろうから。
その可愛らしい反応を見せる冬音と雹に蒼迦もまた少なからず好意を抱き始めていた。
だが、このまま2人を上手く行かすのも、何となく嫌な感じもする。
―――――――嫌?何故だ?
蒼迦は自分の心の中を過った気持ちに首を傾げた。
「あ、の・・・・本当に後で雹くんと、その・・・」
「心配してるのか」
「雹くん、ああ見えても、実は強いんです。小さい頃から色々やってるらしくて、だから」
―――――――俺を心配してるのか?
「あの、雹くんには私から言っておきます。だから」
「心配はあの少年じゃ無く、俺にしてくれてるのか?」
蒼迦が問い掛けると、冬音はコクン、と頷いた。
伏し目がちに視線を蒼迦に向けている。その視線が鏡越しに蒼迦と絡むと、冬音は恥ずかしそうに頬を染めた。
遅くなってごめんなさいです!
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